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どうする依存症対策③

精神科病院へのよくある質問

依存症の入院処遇について

Q:依存症は、精神科救急(24時間365日)の非自発的入院の対象となりますか?
A:原則・対象ではありません。
但し、うつ病の強い自殺念慮、妄想、双極性感情障害の躁状態による離脱等の場合は、非自発的入院となります。ただ、2023年10月16日、日本精神科救急学会より以下の声明文が出されています。「~人権擁護を基調としており、一定割合の非自発入院を要件とするケアシステムは許容されない。」、「~ケア対象に一定の重症(略)を求める(略)入院形態を代用する考えは時代遅れ~」と。
〈全文 日本精神科救急学会ホームページ参〉
Q:依存症の入院は開放処遇ですか、閉鎖処遇ですか?
A:何をもって開放処遇とするのか、何をもって閉鎖処遇とするのか。法的にも、制度的にも、定義は存在しません。一方で、すべての施設で医療安全を配慮したセキュリティー管理が課題となっています。よって少なくとも夜は病棟の戸締まりはしっかりしないといけません。だから、私たち精神科医(精神保健指定医)は開放、閉鎖には囚われず、精神保健福祉法第20条が定める「精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない」(「・・・任意入院に努める」)を第一義にすべきだと思います。
Q:依存症の入院治療とは?
A:入院期間は、素面で『暇』と『退屈』の過ごし方を、まず身に付けていただきたいと願っています。それと、「依存症」の病状をしっかり見極め、その病状に合った適切、かつ必要な薬物療法等を行います。また、家族への危機回避、静養入院も精神科病院の大切な役割、ご利用いただけます。もちろん当事者の静養入院も可能です。

Q:これまでの回答は依存症者のみに適応されるものですか?
A:いいえ、依存症者の他、自殺予防対策、過労死防止対策、孤独・孤立対策、DV防止対策、ヤングケアラー対策、PTSD、妊婦のメンタルヘルス相談支援体制等々、つまり2022年6月9日厚生労働省より発表の「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」報告書、総論で分類されている「精神保健(メンタルヘルス)上の課題を抱えた方」への精神科医療機関における対応は、依存症者に準じて行う必要があります。

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