夢を追うときのエネルギーの使い方
作家志望者だったころは、夢を追うためのエネルギーについてよく考えていました。
私にはエネルギーがないので、有効に活用しなければ作家になれないと考えていたからです。
今回は夢を追うときのエネルギーの話です。
エネルギーには2種類ある
おおざっぱに言って、夢を追うときのエネルギーには以下の2種類があると考えています。
「負けたくない!」というネガティブエネルギー
「楽しいなあ!」というポジティブエネルギー
おそらく、この2つは混ざっており、どちらか一方だけを使うということはないと思いますが、私が作家志望者だったころは、9割くらいは1のネガティブエネルギーを使っていました。
それぞれを簡単に説明していきましょう。
1.ネガティブエネルギー
1つ目は「負けたくない!」というネガティブエネルギーです。
簡単にセリフで表現すると、以下のような感じのエネルギーです。
「絶対にあいつらを見返してやる!」
「俺の才能を世間に認めさせてやる!」
「落選させた奴らに目にもの見せてやる!」
性質はこんな感じかなと思います。
源泉 : 恐怖
エネルギーレベル : 高い
注意点
満足すると消えてしまう
自分を責める方向に働くこともある
ネガティブエネルギーの源泉は恐怖でしょう。
生き物の一番の恐怖は死ぬことです。
「負けたくない」というのは要するに「死にたくない」ということですね。
負け(死)を回避するために、文字通り、死に物狂いで発揮されるのがネガティブエネルギーです。
ですから、エネルギーレベルはかなり高いです。
夢を追うエネルギーとしてはとても優秀だと思います。
注意点としては、満たされると消えてしまうので、いつも不満足でいなければならないことです。
むやみに肯定されるとエネルギーレベルが下がりますし、受賞した場合は一気に失われます(夢が叶うとなくなります)。
また、思うように結果が出ないと、このエネルギーが自分に向いてしまうことがあります。
つまり、
「俺はどうしてこんなに無能なんだ……」
「どうせ私には才能がないんだ……もうやめた方がいい」
「僕の作品は一次選考も通れないクズだ! 諦めよう」
といった感じで、自分を責める場合にも使われるのですね。
総合的に言うと、
メリット : エネルギーレベルが高く、かなり有用
デメリット: 自分を傷つける諸刃の剣でもある
といったところでしょう。
2.ポジティブエネルギー
一方「楽しいなあ!」というポジティブエネルギーもあります。
同じようにセリフで表現すると、以下のような感じかなと思います。
「○○をするのが楽しい!」
「夢を追っている時間が好き!」
「上手くなっていくのが嬉しい!」
性質はこんな感じでしょうか。
源泉 : 喜び
エネルギーレベル : 中〜高?
注意点
プロセス重視
結果を軽視しがち
ポジティブエネルギーの源泉は喜びでしょう。
ネガティブエネルギーが損失回避(死の回避)だとすれば、ポジティブエネルギーは利益獲得(より良い生の追求)と言えるかもしれません。
ある意味、贅沢なエネルギーです。
上でも書いたとおり、生き物は負け(死)を回避するのに最優先でエネルギーを使います。
ですから、生き延びた後で使われるエネルギーは、死の回避よりエネルギーレベルは下がると考えられます。
したがって、夢を追いかけるという用途で言えば、一般的には、やや使い勝手の悪いエネルギーと言えるかもしれません。
ポジティブエネルギーは、結果よりプロセス重視で発揮されるのが特徴です。
結果が出て嬉しいというより、やっている最中が楽しいというイメージです。
ですから、結果を追い求める必死さはありません。
生き延びた後の余裕の中で生まれるエネルギーなので、必死さがないのは当然と言えるでしょう。
というわけで、総合的には、
メリット : 自分を傷つけるような副作用はない
デメリット: エネルギーレベルはやや低め?
といった感じかなと思います。
おすすめの使い方は?
さて、それぞれのエネルギーについて説明してきましたが、おすすめの使い方はこうです。
2つのエネルギーの性質を知ってバランスを取る
どちらか一方に偏って、それで上手くいけばいいですが、そうでないなら、バランスを取ることを意識するといいでしょう。
最初にどちらに偏るかは、その人に動機によります。
ゴールを目指す人は : ネガティブエネルギーに偏る
創作を楽しみたい人は : ポジティブエネルギーに偏る
それぞれがどうなるのか、簡単に見ていきます。
1.ゴールを目指す人
目指すゴールが決まっている人は、ネガティブエネルギーを使うことになります。
ゴールというのは、たとえば、新人賞に受賞する、ランキングで上位に食い込む、書籍化する、などのことですね。
ゴールを目指すということは、ほかの人を蹴落として、生き残ることです。
ですから、「負けたくない!」というネガティブエネルギーを主に使うことになるわけです。
ネガティブエネルギーに偏ったとしても、それが悪いわけではありません。
ネガティブエネルギーはとにかくエネルギーレベルが高いので、ゴールを目指す場合にはうってつけなのです。
ですから、「見返してやる」「認めさせてやる」「悔しい」「今に見てろよ」といったネガティブなエネルギーを大いに利用するといいでしょう。
このように、ゴールを目指す際には有用なネガティブエネルギーですが、以下のような状態になると、困った問題が起こります。
思うような結果が出ないとき
ゴールを達成したとき
なかなか結果が出ないとき、ネガティブエネルギーはすぐに自分を傷つける方向に発揮されてしまいます。
「自分には才能がない」「諦めた方がいい」と自分を責めることに使われるのですね。
また、ゴールを達成すると、ネガティブエネルギーはなくなってしまいます。
「認めさせてやる!」という思いで動いていたのに、認められてしまったら、もうその思いで動けなくなることは簡単に分かるでしょう。
これら2つの状態になったら、ポジティブエネルギーの出番です。
創作を始めたころに感じていた、「小説を書くのが楽しい!」「物語を作るのはワクワクする!」といった感情を思い出しましょう。
結果ではなく、プロセスの楽しさを思い出せば、結果が出なくて落ち込んだときも、ゴールを達成してエネルギー切れになったときも、エネルギーを補充できます。
つまり、ネガティブエネルギーでは乗り越えられない問題が起こったら、エネルギーをポジティブなものに変換すればいいのです。
このことを覚えておけば、ある程度、ネガティブエネルギー絡みで起こる問題を回避できるでしょう。
2.創作を楽しみたい人
一方、創作を楽しみたい人は、ポジティブエネルギーで活動することになります。
たとえば、「小説が好きで、自分でも書き始めた」といった人は、書くことがとにかく楽しいので、それだけで執筆を続けられます。
プロセスの楽しさが、ポジティブエネルギーの源泉です。
ところで、ポジティブエネルギーだけで夢を追う場合、もっとも理想的な状態はこうでしょう。
楽しんでいたら、いつの間にか夢が叶っていた
こうなったら最高ですね。
ですが、これが出来るのは、もともと才能のある人ではないかと思ったりもします。
ですので、私自身は、「楽しんでいたら受賞した」などということは、ほぼ起こらないと考えています。
「楽しむ」というエネルギーは、もしかして総量はかなり多いのかもしれませんが、方向性がありません。
発散するエネルギーの印象です。
ですから、何かを目指す場合には、かなり使い勝手の悪いエネルギーに思えます。
したがって、ポジティブエネルギーの人が、新人賞を目指すなどといったゴールを設定した場合、途方に暮れてしまう可能性があります。
自分にとっての「楽しさ」と、読者にとっての「楽しさ」がマッチしているかどうかという、ただの相性問題になりがちだからです。
ポジティブエネルギーの人が夢を叶えたいと思うなら、少しだけネガティブエネルギーを使ってみるといいでしょう。
ネガティブエネルギーは生き残るためのエネルギーなので、企むことができます。
ポジティブエネルギーの人はどちらかというと子どもであり、ネガティブエネルギーの人は大人だと言えるでしょう。
子どもっぽいエネルギーだけで目標を達成できるならそれでいいですが、もし無理なら、少しだけ大人のずるさを使うといいです。
あるいは、戦略を立てること自体を楽しんでもいいですね。
新人賞に受賞するというゲームを楽しむ、というのが、もしかして最強の戦い方かもしれません。
それが出来るのは「面白い!」「楽しい!」「ワクワクする!」というエネルギーで動く、ポジティブエネルギーの人だけでしょうね。
今回のまとめ
「夢を追うときのエネルギー」でした。
エネルギーには2種類ある
「負けたくない!」というネガティブエネルギー
「楽しいな!」というポジティブエネルギー
それぞれに性質が異なる
ネガティブエネルギー
源泉:恐怖
エネルギーレベル:高い
収束するエネルギー
結果重視
注意点
満足するとなくなる
自分を責めるのにも使われる
ポジティブエネルギー
源泉:喜び
エネルギーレベル:中〜高?
発散するエネルギー
プロセス重視
注意点
結果を軽視しがち
ゴールを目指す場合は使い勝手が悪い
おすすめの使い方
偏らずにバランスを取る
ゴールを目指す人
ネガティブエネルギーに偏る
問題が起こったらポジティブエネルギーに変換する
創作を楽しむ人
ポジティブエネルギーに偏る
ゴールを目指すならネガティブエネルギーを利用する
または、ゴールを目指すゲームを総合的に楽しむ
私はほぼネガティブエネルギーで動いていたので、受賞したときはエネルギー切れを起こしてやる気がなくなってしまいました。
そういう場合は、ポジティブエネルギーへ切り替えるか、あるいは、新しいゴールを設定して、もう一度ネガティブエネルギーを使うという手もあります。
それではまたくまー。
(2023.9.25追記)
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