小説にちょっとした深みを与える簡単なコツ
長編を書くことに慣れてきたら、ちょっとだけ工夫してみると新たな発見があると思います。
今回は小説に深みを与えるコツです。
少しだけ複雑にする
たいていの長編はメインストーリーが1つあり、そのストーリーが終われば物語も終わります。
それでまったく問題ないのですが、慣れてきたら、もうちょっとだけ複雑にしてみると、物語に奥行きが生まれます。
複雑にするといっても大したことではなく、メインストーリーに、薄いストーリーを重ねて二重にする、くらいに考えればいいでしょう。
今回は以下の方法をご紹介します。
主人公の問題と事件をリンクさせる
サブプロットを走らせる
それぞれ見ていきましょう。
1.主人公の問題と事件をリンクさせる
1つ目は主人公の問題と事件をリンクさせることです。
長編では何らかの事件が起こります。
その事件と主人公が抱えている問題をリンク(関係)させると、説得力が増して、結末の収まりがよくなります。
これは、意識していなくても、そう書いている人が多いかもしれません。
直感的に「そうした方が収まりがいい」と思うものだからです。
分かりやすい例で見ていきましょう。
たとえばこんな話だとします。
この場合、主人公が現実でどういう問題を抱えていれば、事件とリンクするでしょうか?
こんな感じがあり得るでしょう。
主人公にも横暴で優秀な兄がいる
非力な主人公は兄に従って生きてきた
だが人生の岐路に立たされ、兄に従うか、立ち向かうかを迫られている
これらの問題は、異世界の王子が抱える問題と同種のものです。
こう設定しておくと、主人公は、異世界の事件を解決する課程で、自分の問題を自覚し、解決策を模索し始めるかもしれません。
異世界での解決が、現実世界での解決に繋がる可能性があるわけです。
このように、物語で起こる出来事と、主人公の問題や内面の葛藤などをリンクさせておくと物語がより深くなります。
この場合なら、異世界の話と現実の話が重なるイメージでしょう。
物語の二重性は、読者にとっては物語の奥行きとして感じられるのです。
これを実践するのは簡単です。
事件を主人公と切り離さず、適切な関係性を作っておけばいいだけです。
手軽にできるので、ぜひ試してみてください。
2.サブプロットを走らせる
2つ目は、主人公、あるいは別の人物のサブプロットを走らせることです。
メインプロットに対して、サブプロットがあります。
メインの話を走らせながら、サブの話を併走させるイメージですね。
といっても難しいことはなく、たとえば、
メインプロット :物語で起こる事件の解決
サブプロット :主人公の成長
くらいでもいいと思います。
最初はヘタレの主人公が、事件を解決していくうちにどんどん成長していくというのは王道のストーリーでしょう。
物語を通じて主人公の変化が描かれるなら、その変化はサブプロットと考えてもいいと思います。
あるいは、別の人物の変化をサブプロットとして入れてもいいですね。
メインプロットが進むうちに、ある人物が抱えている悩みが解決したり、誰かの心情が変化したり、どんどん成長していく、などが分かりやすいと思います。
これも、意識しなくてもけっこう実践しているかもしれません。
ただ、意識的に考えると、話を複数走らせながら次々に着地させていくイメージになるので、より書きやすくなると思います。
意識していないと、誰かのサブプロットを未解決のまま終わらせてしまい、読者に「あれどうなったんだろう?」と思わせてしまうかもしれないので注意が必要です。
大きな問題を進めつつ、小さな問題も平行して走らせておくと、読者の興味を引き続けることができます。
ごく単純に言うと、問題があればあるほど、読者は興味を覚えるからです。
物語をより魅力的にするためにも、小さな問題の解決(サブプロット)を意識的に組み込んでおくといいでしょう。
最初は、主人公の成長や変化をサブプロットと考えるのが簡単です。
物語の最初と最後で、主人公を変化させておけばいいので手軽に試せると思います。
ぜひやってみてください。
今回のまとめ
「小説にちょっとした深みを与えるコツ」でした。
少しだけ複雑にすると話に深みが生まれる
話を二重にする、または複数走らせるイメージ主人公の問題と事件をリンクさせる
起こる出来事を、主人公が抱える問題と同種の構造にしておく
出来事の解決が、主人公の問題の解決にも繋がる
サブプロットを走らせる
主人公の成長や変化をサブプロットと考えてもいい
他のキャラの悩みや問題を解決するサブプロットを併走させてもいい
他のキャラのサブプロットを走らせる場合は、複数視点になる場合があります。
複数視点の練習にもなるので一石二鳥かもしれませんね。
それではまたくまー。
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