見出し画像

アイデアを自動的に思いつく方法〜思考ツールとしての付箋の使い方

最近、私の中で、付箋を思考ツールとして使うのがバズっています。

付箋に書き出してまとめるだけで、自動的にアイデアが出るようなのです。

今回は、なぜ効果があるのかを私なりに考えてみます。


付箋の使い方

一つ前の記事でも書いたのですが、使い方は簡単です。

  1. テーマを決める
    何について考えるか決める

  2. 書き出す
    思いつくままに付箋に書き出す

  3. グループに分ける
    ある程度出したところでグループ分けする

  4. 追加する
    グループを見て、さらに思いついたことを付け加える

  5. 眺める
    2,3,4を繰り返して眺める

  6. 思いつく
    なにか思いつく


たったこれだけなのですが、やってみると不思議に何か思いつきます。

うんうん頭をひねっても出ないのに、ただ付箋に書いてまとめるだけで思いつくのですね。


結論から言うと、これは

  • 頭で考えるのではなく、手で考える

ということなのだと思っています。

手でやっている作業が、そのまま、思考することと同じだということです。

よくわからないと思うので、以下から説明していきましょう。


考えるとは何か

まず「考える」とは何かを考えてみます。

ちょっと乱暴ですが、「考える」というのは以下のような情報操作のことだと言えるでしょう。

  1. 並び替え

  2. 分類

  3. 関連付け

  4. 構造化


情報を並べて分類し、それらの関連性を踏まえた上で、ある構造にまとめあげる——単純に言うと、これが思考です。

これは、とりもなおさず、上で書いた付箋でやる作業とほぼ同じだということがわかると思います。


もちろん全部が同じではないのですが、ごく基本的なところを見れば、付箋を扱う作業は思考という情報操作そのものです。

ですから、付箋の作業というのは、頭ではなく手で考えることだ、というのが今のところの私の考えです。


おそらく、この考え方はいろんな人が言っているのではないかと思いますが、実感として理解できたので、ちょっと感動しているところです。


難しい問題であるほど効果がある

ところで、付箋を使った「手で考える」作業は、複雑で難しい問題であるほど効果を発揮するようです。

具体例を出して見ていきましょう。


たとえば、私が小説のプロットを考えるとき、頭の中でやっていることはこういうことです。

  1. ある制約条件の元で

  2. 多数の変数を調整し

  3. 出力結果を最大にする


具体的に言うと、こうなります。

  1. 制約条件

    1. 主人公が活躍しなければならない

    2. ヒロインの見せ場がなければならない

    3. 物語上の秘密が徐々に明かされなければならない

    4. 強い敵が出なければならない

    5. 主人公が認められなければならない

    6. など……

  2. 変数

    1. 主人公がどういう言動を取るか

    2. ヒロインほかキャラたちの言動

    3. それぞれの動機、思惑、理由

    4. 読者にどの情報を開示し、どの情報を隠すか

    5. どう見せ場を演出するか

    6. など……

  3. 出力結果

    1. 読者の欲望を最大限満足させる


つまり、ある条件によって区切られた解の空間で、相互に関係する変数を調整し、最大になる解を見つけるのが小説のプロットづくりです。

これが、かなりややこしい情報操作だということはわかると思います。


「うんうん唸って考える」というのは、この操作を頭の中だけでやろうという試みです。

操作しなければならない情報がたくさんあるというのは、頭の中のテーブルに大量の部品が載っている状態だと言えるでしょう。

このテーブルの上で部品を組み合わせ、何かを作るのが「考える」ということです。


ですが、下の絵を見てわかるとおり、そもそも部品が多すぎて、それらを組み立てる空間がありません。

なんとか組み立てようとすれば、他の部品を脇に寄せなければなりませんし、その際に部品がテーブルから落ちたり、紛失してしまったりと面倒なことが起こるでしょう。

そんな状態で、考える(部品を操作する)ことなどできないのです。

情報がありすぎる


では、どうすればいいでしょうか?

その簡単な解決法が、付箋を使う方法というわけです。


付箋で作業することには、以下のようなメリットがあります。

  • 頭の中から情報を書き出し、脳の空間を空ける

  • 思考作業を付箋の操作で肩代わりし、脳の負荷を下げる


このように、付箋を使えば、脳に充分な操作空間を作ることができ、かつ、脳の処理能力を解決のために有効に使わせることができます。

ですから、難問であればあるほど、付箋を利用するのが効果的なのです。

脳の空間を空ける


考えていることに気づいたら作業をする

私はアイデアを出そうとして、腕組みをしならが頭をひねっていることがよくあります。

「どうすればいいかなあ……」と頭の中だけでどうにかしようとしているのですね。

上でわかったように、難しい問題に対して、このアプローチは間違っています。


いくら考えてもアイデアが出ないなら、その問題は、頭の中だけで解決できる簡単な問題ではありません。

考え続けていることに気づいたら、すぐに作業をしましょう。

頭で考えるのではなく、手に考えさせるのです。


単純な思考作業は手に任せましょう。

思考を、手にアウトソーシングすると考えてもいいですね。

脳の資源は貴重です。

その貴重な資源を、何かを覚えておくことや、簡単な思考作業に使うのは大いなる無駄です。


「腕組みをしたら、手で作業する合図」と考えるのが良さそうです。

それ以上、頭の中で考えても無駄でしょう。

ですから、そうなったら、すぐに付箋に書き出せばいいのです。


ひとまず、いまのところの私の考えは以上のような感じです。

おそらく、私のように、どちらかというとトップダウンで考えがち(上部構造から考える)な人には特に有効な方法だと思います。

付箋作業は下から考えるボトムアップ型なので、今まで手薄だったところを補えるからかなと思ったりしています。


向き不向きがあるかもしれませんが、「考えても何も出ない……」と悩んでいるようなら、一度試してみるといいと思います。

ある程度、コツもありそうなので、それについては別の記事で考えてみるつもりです。


今回のまとめ

「思考ツールとしての付箋の使い方」でした。

  1. 付箋作業は頭ではなく手で考えること

  2. 考える=情報操作

    1. 並べ替え

    2. 分類

    3. 関連付け

    4. 構造化

  3. いくら考えても何も出ないなら、頭の中だけで処理できる問題ではない

  4. 難しい問題ほど効果がある

    1. 情報を付箋に書き出し、頭の空間を空ける

    2. 付箋作業で思考の肩代わりをし、脳の負荷を下げる

  5. 考え続けていることに気づいたら付箋作業に移る

    1. 腕組みをしたら付箋作業の合図

    2. 考えるのではなく作業をする

いまのところ、うんうん考えるより、すぐに付箋に書き出した方が良い考えが浮かぶようです。

矛盾した表現ですが、よく考えたいなら、考えない(ただ作業をする)ことが重要なのかもしれません。

それではまたくまー。


(2023.6.19追記)

シロクロさんに記事を紹介していただきました。
ありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?