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大学サークルによる神経難病患者へのICT支援『2024年度 長岡崇徳大学ICTサポーターサークル研修会』|実施レポート

新潟県地域おこし協力隊として、神経難病患者への汎用ICT機器導入支援に取り組んでいる、丸山です。

※ 私の自己紹介や活動内容の詳細に関しては、以下の記事を参考にしてください。

私は現在、「神経難病患者の生活の質(QOL)を向上させる持続可能な支援の仕組みを地域で構築する」という活動目標の達成のため、大きく分けて、以下の3つの活動をしています。

① 神経難病患者への汎用ICT機器導入支援(新潟県全域)
② 学生と連携した難病支援の仕組み作り(長岡・柏崎地域)
③ 新潟県内外への広報活動

今回は、その活動の1つである「②学生と連携した難病支援の仕組み作り(長岡・柏崎地域)」に関連し、2024年2月28日(水)に長岡崇徳大学にて実施した研修会の様子をお伝えしていきます。

長岡崇徳大学では2023年頃から、サークル活動として「神経難病患者さんへの汎用ICT機器導入支援」に取り組んできました。

『神経難病患者の生活の質(QOL)を向上させる持続可能な支援の仕組みを地域で構築する』ことを目指す地域おこし協力隊が着任したことにより、このサークル活動をより本格化するため、今回の研修会の開催に至りました。

この研修会には長岡崇徳大学の学生10名のほか、長岡技術科学大学の学生15名にも参加していただきました。

それでは、研修会の実施レポートをどうぞ。



研修会実施レポート

司会進行は、新潟県地域おこし協力隊の丸山が務めました。
研修会の内容は上記の通りです。

開会挨拶

まずは開会挨拶。長岡崇徳大学4年生のサークル長の八木寧希さんにしていただきました。
開会挨拶の様子

長岡崇徳大学4年生|サークル長 八木寧希:
本日は、お忙しい中今回の研修会に参加していただきありがとうございます。

今回の研修会の目的は、神経難病患者さんのお宅に訪問しICTサポーターとしての活動を行うために、サークル活動の意義や支援全体の流れを理解することです。

昨年度は、2件のお宅に訪問させていただきました。訪問では、療養者さんがICT機器の活用について不安なこと、分からないことを保健師さんと確認し、学生が実際に療養者さんの活用しているICT機器を用いてSNSの活用方法などを説明しました。学生からのサポートにより、療養者さんの他者との交流を広げることができたと思います。

昨年度は2件のみの訪問となりましたが、学生の活動が療養者さんの生活を少しでも豊かにすることができるんだという喜びや達成感を感じ、もっと療養者さんのお宅に訪問したかったとの声が多かったです。

この活動は難病患者さんの生活を豊かにすることができるだけでなく、授業では得ることができない学びがあることで自分を成長させることができます。それは、今後の実習や就職活動にも必ず良い影響を与えます。4年生のなかには、卒業後もこの活動に携わっていきたいという学生もいます。

ぜひ、今回の研修会でたくさんのことを吸収して今年度のICTサポーター活動をより良いものにしていきましょう。本日はよろしくお願い致します。

開会挨拶に続き、私の方から今回の研修会の目的を共有しました。

新潟県地域おこし協力隊|丸山雄也:
サークル長からの開会挨拶にもあった通り、この研修会は「サークル活動の意義や支援全体の流れを全員が理解し、訪問支援活動を開始すること」を目的としています。本日参加いただいてる方は、訪問支援活動をしたことがない人や、このサークルに入ろうか悩んでいる人が大半でしょう。

まずは患者さんやそのご家族とお会いすることでこの活動への理解を深めていただきたい。そういった想いでこの研修会を企画しました。
そのため、「研修会」というよりも「決起集会」という言葉の方が近いかもしれません。

汎用ICT機器、例えばスマートスピーカーやスマートリモコンの設定/設置に関する研修会については、別途開催を予定していますので、本日はこの活動について最低限知っておいてほしいことを皆さんに学んでいただきたいです。

事業説明

続いては、長岡保健所(県保健所)の大井保健師による「事業説明」。
「神経難病患者への汎用ICT機器導入支援」が始まったきっかけについて、BSN(新潟放送)に取材された際の動画とともに説明していただきました。

長岡保健所(県保健所)|大井保健師:
神経難病を患っている患者さんは病気の性質上、進行するにしたがってできないことが増えていく。自分は一人では何もできず、迷惑をかけるだけと暗い気持ちになる人も多くいます。

そこを汎用のICT機器(テクノロジー)を使ってサポートできないか、患者さんたちに前向きに希望をもって生活してもらいたいと、支援を通して感じたのがこの事業のきっかけです。

サークルの活動紹介

続いては、「サークルの活動紹介」
現在、私が新潟県内全域で実施している「汎用ICT機器の導入支援」を、長岡・柏崎地域においては、この長岡崇徳大学のICTサポーターサークルの学生に担っていただく、といった説明を行いました。
この図の支援の流れに沿って、私が中間組織となり患者さんとそのご家族・保健所・学生をうまく繋げながら支援に取り組んでいきます。
このサークル活動は全国的に見ても他にはない取り組みであり、学生にとって大きな学びの機会になります。

ビデオメッセージ

続いては、「ビデオメッセージ」
長年、難病の研究に取り組んでいる国立病院機構新潟病院の中島孝院長に対談の機会をいただきました。

グループワーク

続いては、「グループワーク」
まずはじめに、グループごとに1人2分間の自己紹介を行いました。
その後、取り組んだのは「実際の支援依頼に対するアイデア出し」です。
『「自宅で1人でできることを増やしてあげたい」というご家族からの要望に対して何かできることはないか?』というテーマに対して…
対象となる患者さんの「身体的制約」や「好きなこと」、「現在持っている機器」を考慮して、グループ別に20分間のアイデア出しを行いました。
全5グループ。1グループ5〜6人でアイデア出しを開始。
普段あまり関わることのない長岡崇徳大学と長岡技術科学大学の学生が、それぞれの知識を出し合っていました。グループの中には、立ちながらディスカッションを行うグループも!
1グループ3分でアイデアを発表。
対象となる患者さんの生活の質の向上につながるような、様々なアイデアが出ました。

質疑応答

続いて、「質疑応答」
学生からは「今後の研修会の予定」や「難病に関する質問」などがあり、この研修会を通じてICT機器を活用した難病支援に興味を持っていただいたことが実感できました。

閉会

最後に各大学の先生方および関係者より、閉会の挨拶をいただきました。

長岡崇徳大学|平澤 則子 先生(ICTサポーターサークル顧問):
本日は貴重な時間を共に過ごしていただき、誠にありがとうございました。皆様の熱心なご参加により、有意義な研修会となりましたこと心より感謝申し上げます。

これからも、今日学んだ知識やスキルを活かし、サークル活動に励んでいただければと思います。お互いに刺激を与え合い、成長し続けることが大切です。引き続き、より良い未来のために努力し、共に歩んでいきましょう。

また、新潟県は「難病支援の先進県」と言われています。皆様の熱意と努力により、私たちはさらなる進歩を遂げることができると信じています。今後も患者さんやその家族のために、知識と情熱を持って取り組んで参りましょう。そして、新潟県が難病の支援と研究の最前線に立ち続けるために、一丸となって助け合い、共に歩んでいきましょう。皆様のご協力に心より感謝申し上げます。

長岡技術科学大学|南部 功夫 先生:
皆さん、最初は少し内気で、アイデアがなかなか出ないのではないかと思っていましたが、意外にも皆さんが活発に議論してくださり、非常に良かったと感じています。

また、今回はわずか1時間や2時間でこれほど多くのアイデアが出されました。それが実際に患者さんのお役に立つ可能性があるだけでなく、皆さんの視野を広げることにもつながると考えています。

少しでも皆さんが参加し、こうしたことを考えていただければ、さまざまなことが変わるかもしれないと思っています。これからも、今日のように楽しく参加していただければ幸いです。

長岡技術科学大学|永森 正仁 先生:
支援を求める他者との関わりにおいて、その他者への理解の途上にとどまり続けることが大事と感じます。そして、その理解の途上「共感」に基づいた「親切」が必要とされる参加が、ボランティアと思います。

また、ボランティアには「先駆的な」という意味が含まれます。皆さんの先駆的な参加に敬意をおぼえます。皆様が皆様の活動と参加を通して、自らの「共感」と「親切」、自らの「先駆的な」という意味を、より考えて頂ければ嬉しいです。

本日は参加させて頂き、ありがとうございました。

長岡技術科学大学|塩野谷 明 先生:
支援が必要な人々には多くの不便がありますが、自身の専門知識を活かし、少しでも取り組んでいただきたいと思っています。

皆様には今後も病気を抱える患者さんのための研修会を続けていただき、発展させていくことを期待しています。今後もよろしくお願いします。

長岡地域振興局|伊野 智彦 局長:
皆さん、お疲れ様でした。今回の活発な議論や興味深い発表は本当に素晴らしかったですね。特に、二つの大学の合同意見交換は珍しい機会であり、学校間の連携が大切だと感じます。

これは、看護の心と技術の融合にもつながるもので、今後の発展に期待が寄せられます。そうしたなかで、難病患者の皆さんに対するICT支援の意義が議論されました。この取り組みが将来的に高齢者などにも拡大する可能性があることを考えると、その重要性はますます高まりますね。

しかしながら、人口減少や高齢化の問題に対処するには、県が講じる施策だけではなく、地域全体での取り組みが不可欠です。また、今回の議論で、自身も将来的に支援を必要とする側になる可能性について気づかされました。

現場主義が重要であり、患者様の声に耳を傾け、現場での実践が大切だと感じます。社会は一歩踏み出す若者を求めていますが、同時に、支援を必要とする人々に寄り添うことも大切です。サポーターの皆様のご活躍を期待しています。本日はご参加いただき、ありがとうございました。


まとめ

今回の研修会では、長岡崇徳大学と長岡技術科学大学の学生が参加し、神経難病患者への支援活動について学び、議論しました。学生たちは熱心に議論し、患者さんやその家族のために有益なアイデアを出し合いました。

このような取り組みは、難病患者の生活を豊かにするだけでなく、学生の成長や地域社会への貢献にもつながります。今後もこの活動を継続し、より多くの人々に支援を届けるために努力していきたいと思います。

次回の研修会では、さらに具体的な支援方法や技術の習得に焦点を当て、参加者がより実践的なスキルを身につけられるような内容を提供したいと考えています。

今後も患者さんやその家族、地域社会のために、学生と地域おこし協力隊が連携し、支援活動を進めていきます。また、地域全体での連携や協力が不可欠であり、新潟県が難病支援の先進県としてさらなる進歩を遂げるために、一丸となって取り組んでいきます。

お問い合わせ

新潟県地域おこし協力隊と学生が取り組んでいる「神経難病患者への汎用ICT機器導入支援」について、ご質問や疑問点、支援依頼等ございましたら、こちらからご連絡ください。

また、地域の力で難病患者を支えるこの活動を継続するために、機器提供やサービス提供等でご協力いただける企業様・団体様からのお問い合わせもこちらからお待ちしております。

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