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地域の力で難病患者を支えるー新潟県地域おこし協力隊の挑戦ー


自己紹介

皆さん、はじめまして。

2023年11月に新潟県長岡市に移住し、「難病支援の地域おこし協力隊」として活動している、丸山雄也です。

身長は184cm(自動販売機とほぼ同じ高さ)

経歴

大学卒業後、フォントメーカーにて、UD(ユニバーサルデザイン)フォントの営業マンをしていました。

UD(ユニバーサルデザイン)フォント=誰にでも「見やすく・読みやすく・わかりやすく」制作されたフォント

その後、「20代のうちに海外で経験を積みたい!」という想いから、JICA海外協力隊に応募。東南アジアの国ラオスにて、デザイン制作支援に取り組んでいました。

活動場所はラオス国立大学 / 主にソフトウェアの使い方を教える / 他にも日本語スピーチ大会のポスター制作や、地元の手工芸品店のリーフレット制作にも携わった

帰国後は東京都のコンサルティング会社で働いていたものの、これまでの経験から「ICTの支援が必要な人に対して、直接的にサポートしたい」という想いが日に日に強くなりました。

そのような日々の中で、『身近なICT機器で難病患者への支援を行う地域おこし協力隊の募集』を偶然見つけました。


この募集のきっかけとなったのは、新潟県長岡市に住む1人のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さん。両腕の筋力低下が進行し、日々できることが少なくなっていくストレスがありました。

そこで、新潟県長岡市にある長岡保健所(県保健所)が、スマートスピーカーとスマートリモコンの導入支援(※以下、「スマートホーム導入支援」と略す)を実施。

スマートスピーカー
音声認識技術を使ってユーザーの声を聞き取り、インターネット経由で情報を提供するデバイス。音楽再生や天気予報、ニュースの読み上げ、家電の制御が可能。また、カメラ付きのスマートスピーカーであれば、専用のアプリケーションを通じて、ビデオ通話も可能。

スマートリモコン
ネットワーク接続機能を備えた、スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーからリモートで家電などを制御できるデバイス。

この支援により、様々なことができるようになり、ALS患者さんの生活の質(QOL)の向上につながりました。

できるようになったこと
・スマートスピーカーで音楽やラジオといった娯楽を気軽に聴けるようになり、楽しみが増えた
・毎日の日課としてスマートスピーカーに「天気予報」や「占い」などを聞く機会が増え、楽しみながら発声のリハビリを行えるようになった
・スマートスピーカーとスマートリモコンの連携により、病気の進行とともに制約された照明やエアコン、テレビ等の家電操作を家族に頼まずとも、患者さん自身が声で指示できるようになった

数値としても生活の質(QOL)の向上が確認できた|SEIQoL-DWによる評価

ご家族からは「外出する回数が増えた」、「身体的負担が減った」といった意見もありました。

カメラ付きのスマートスピーカーの導入によるご家族への効果
スマートスピーカーとスマートリモコンの連携によるご家族への効果

長岡保健所によるこの支援は、新潟放送をはじめ、多くのメディアで取り上げられました。

その一方で、こうした身近なICT機器を活用した支援は全国的にも珍しく、この支援を専任で行える人材がいない…。より多くの難病患者さんやそのご家族、そして支援者に対して、この支援を届ける役割の人材がほしい…。


という、地域おこし協力隊を募集するまでのストーリーを見た瞬間に「これだ!」と思い、すぐに応募。面接を経て、無事合格をいただき、現在に至ります。

「ICT支援」というカテゴリーにおいてはキャリアに一貫性がある…と思う

難病患者がICT機器を利用するメリット

この活動のきっかけとなったALS患者さんのご協力により、身近なICT機器を利用することで、生活の質(QOL)の向上に効果があることがわかりました。

また、この支援には「専門機器移行への準備性を高める」という効果も期待されます。

専門機器の導入(コミュニケーション支援)は、病気の進行がある程度進んでから行うのが一般的です。

しかし、これまでスマホやパソコンなどの機器を触ったことがない患者さんの場合、専門機器の導入に対して抵抗感を感じる方が多いのが、現状としてあります。

また、もともとスマホやパソコンなどの機器を使用している患者さんの場合でも、病気の進行に伴い、身体に制限が出てきて、機器を使えない期間がどうしても生じてしまいます。

ICT機器を少しでも利用し続けていくことで、そこの溝を埋めて、後に必要となる専門的な支援にスムーズにつながることが可能になります。

「生活の質(QOL)の向上」と「専門機器移行への準備性を高める」というメリットがある

活動内容

現在、「神経難病患者の生活の質(QOL)を向上させる持続可能な支援の仕組みを地域で構築する」という活動目標の達成のため、大きく分けて以下の3つの活動を実施しています。

① 神経難病患者への汎用ICT機器導入支援(新潟県全域)
② 学生と連携した難病支援の仕組み作り(長岡・柏崎地域)
③ 新潟県内外への広報活動


① 神経難病患者への汎用ICT機器導入支援(新潟県内全域)

活動の1つ目は、神経難病患者への汎用ICT機器導入支援。

新潟県内全域の神経難病患者およびそのご家族の要望に合わせて、身近なICT機器の貸出/設定・設置/活用レクチャーを無料で行う、汎用ICT機器導入支援を実施しています。

汎用ICT機器導入支援:身近なICT機器の貸出/設定・設置/活用レクチャーを無料で行う

この支援は「プランA」と「プランB」の2つの無料貸出プランを用意しており、神経難病患者さんとそのご家族の要望に合わせて、適宜対応しています。

プランA|「スマートスピーカー(音声操作で便利な機能が使える機器)」と「スマートリモコン(音声で家電操作をできるようにする機器)」の貸出/設定・設置/活用レクチャーを無料で行う
プランB|「タブレット端末」と「ボタンスイッチ(1つのボタンでカーソル移動、クリック、ドラッグなどの操作ができる機器)」の貸出/設定・設置/活用レクチャーを無料で行う

また、現在の支援の流れは以下になります。

支援の流れ
① 新潟県内の保健所からICT機器の無料貸出と活用支援の情報を提供
② 神経難病患者やそのご家族から「興味がある」「使ってみたい」という要望があれば…
③ 新潟県地域おこし協力隊に連絡が入り…
④ 神経難病患者のご自宅に訪問し、支援を開始する

図解|新潟県内全域における現在の支援の流れ

新潟県内であれば、ニーズがあればどこへでも支援に駆けつけるので、神経難病患者さんやそのご家族、そして支援者の方で少しでもこうした身近なICT機器の導入支援に興味があれば、こちらからお問い合わせください。

※新潟県外の方でも情報共有であればいつでも行えますので、お気軽にこちらからお問い合わせください

この活動の様子はnoteにて随時更新予定です。

② 学生と連携した難病支援の仕組み作り(長岡・柏崎地域)

活動の2つ目は、学生と連携した難病支援の仕組み作り。

「神経難病患者の生活の質(QOL)を向上させる持続可能な支援の仕組みを地域で構築する」という活動目標を達成するための直接的な取り組みとして、現在、長岡・柏崎地域では、長岡崇徳大学の看護学生との活動を開始しました。

全国先駆けて実施している学生と連携したこの難病支援の取り組みを、今後は他の地域にも展開しようと考えています。

こちらの活動の様子もnoteにて随時更新予定です。

③ 新潟県内外への広報活動

活動の3つ目は、新潟県内外への広報活動。

主にこのnoteを活用し、『活動の支援事例』と『ICT機器を活用する神経難病患者さんへの取材記事』をお届けする予定です。

今後、記事を通じて、「私も使ってみようかな」と思っていただける方が1人でも増えれば、幸いです。また、「私の地域でも支援してほしい!」という自治体関係者様がいらっしゃれば、いつでも情報共有をさせていただきます。お気軽にこちらからお問い合わせください。

ICT機器の利用経験のない難病患者さんやそのご家族に対して、「私はこの機器を、こうやって活用している!」といったことを発信したい神経難病患者さんも随時募集しております。こちらからお問い合わせください。

メディア掲載事例

この活動がメディアに取り上げられた事例を以下にまとめています。

協力機関

お問い合わせ

ご質問や疑問点、支援依頼等ございましたら、こちらからご連絡ください。

また、地域の力で難病患者を支えるこの活動を継続するために、機器提供やサービス提供等でご協力いただける企業様・団体様からのお問い合わせもこちらからお待ちしております。

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