日本の英語を考える会

私達の生活の中には、たくさんの英語が溢れています。街中の看板。行政のウェブサイト。公共…

日本の英語を考える会

私達の生活の中には、たくさんの英語が溢れています。街中の看板。行政のウェブサイト。公共施設の案内版。でも、その中にはちょっと変じゃない?これで伝わるかな?といった英語もたくさん。せっかくですもの、伝わる英語で正確に伝えたい。そんな思いの仲間達が意見交換、情報発信するグループです。

マガジン

  • 自治体の英語HPを考える

    弊会のブログより自治体の英語HPに関係する投稿を纏めております。

  • 日本の英語オブザイヤー

    弊会が毎年末に選考・発表している「日本の英語オブザイヤー」関連記事です。

  • 和製英語、カタカナ英語を考える

    弊会ブログより和製英語、カタカナ英語に関する投稿を纏めています。

最近の記事

「NHK国際放送の災害報道」講演会開催

2024年6月16日 鶴田知佳子 日本の英語を考える会では、当会アソシエイトメンバーで、当会の発足をNHK WORLD JAPANの英語ニュースでとりあげてくださるなど、当会と関わりも深いNHK職員の高橋弘行さんの講演会を、「NHK国際放送の災害報道」と題して開催しました。 高橋さんは「すべてはこの日から始まりました」と、東日本大震災が国際放送の災害報道の大きな契機となったお話から始められました。当時高橋さんはNHK衛星放送の「おはよう世界のトップニュース」キャスターでい

    • 【行政HPの英語】防災編➁ 用語集と訳出例

      今回は、防災関連のHPでよく使うワードや、英訳でまちがえやすいポイントなどを解説します。 ・緊急速報 emergency alert emergency rapid mail と訳出している例がありましたが、rapid mailという表現は一般的ではありません。 ・避難 evacuation よくある間違いが「run away」。困ったことや嫌なことから逃げ出す、というニュアンスの熟語で、災害避難の意味合いはありません。避難はevacuationが定訳です。空っぽ

      • 【行政HPの英語】防災編①

        新連載「行政HPの英語」、第一回は「防災」です。地震や台風など、日本は世界でも有数の自然災害大国で、日ごろから防災についての知識を備えるだけでなく、いざというときに避難や支援の情報を適切に得ることは命に係わる重要な問題です。 阪神大震災の時には、日本人の死傷率が約1%であったのに対し、外国人の死傷率は約2%と高く、これを機に、政府主導で各自治体における多言語サービス対応や「やさしい日本語」の普及が推進されるようになりました。しかし、自治体HPにおける防災関連情報の英語化の現

        • 新連載「行政HPの英語」シリーズ ~ はじめに

          当ブログでは昨年、「英語看板のお手本」シリーズと題して「立ち入り禁止」「緊急避難場所」など、街中でよく見かける看板表現の「伝わる英訳例」を、全8回にわたり解説してきましたが、今般、第二弾として「行政・自治体ホームページの英語表現」シリーズをお届けすることになりました。 近年、行政や自治体のホームページはAI翻訳エンジンとの連携による多言語化が進んでいますが、誤訳がそのままになっていたり、外国人に必要な情報の検索性がよくなかったり、外国人居住者にとって使い勝手のよいものとは必

        「NHK国際放送の災害報道」講演会開催

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        記事

          リケジョを英訳すると!? ~ 生成AIとアンコンシャスバイアス

          楠田倫子 さる3月8日は「国際女性デー」でしたね。私の勤務する会社では社会貢献活動として女性科学者の活躍支援を長年行っており、「国際女性デー」にちなんで、科学領域におけるジェンダー格差について外部講師を迎えて社内イベントを行いました。 その折、講師から興味深いことを教えていただきました。 「理数系の女性」を意味する「リケジョ」をAI翻訳のDeepLにかけるとどう英訳されるのか?  結果はこちらです。 和訳すると「恋愛や女性的な興味などを犠牲にしてキャリアを追求する、と

          リケジョを英訳すると!? ~ 生成AIとアンコンシャスバイアス

          ネイティブチェックをしないのは昭和の昔から。。。?! ~ 70年大阪万博の英語サイン

          楠田倫子 先日、関西方面に旅行をする機会があり、大阪の万博記念公園へ立ち寄りました。園内の「EXPO'70パビリオン」には1970年万博開催時のさまざまな映像や資料が展示されており、そのひとつひとつから「国家の威信をかけて!」という当時の気迫が立ち上ってくるようで大いに感動しました。 なのですが。。。そのパビリオンの最後、出口付近でこんな展示物を発見↓ う~ん。。。英語表記、なんだかヘンですよね??? THEAM → 正しくは THEME (テーマ) MINITS → 正

          ネイティブチェックをしないのは昭和の昔から。。。?! ~ 70年大阪万博の英語サイン

          新宿とシンズク

          鶴田知佳子 1月23日、文化庁の有識者会議が、複数の表記法が混在するローマ字表記の「統一」に向けて、内閣告示の改正を目指す方針を示した(読売新聞1月24日)。何のことかと言うと、実はローマ字には私達がよく目にする「ヘボン式」と、1954年に日本政府(内閣)が告示したいわゆる「訓令式」の二通りがあるのだが、これについて有識者たちが、「もうそろそろいい加減、ヘボン式に統一しませんか」と提言した、というニュースだ。驚くべきことに、地名などではいまだにヘボン式と訓令式が混在している

          「生成AIと翻訳~地方自治体の事例を中心に~」勉強会

          2024年3月10日 鶴田知佳子 日本の英語を考える会では、オンラインで「生成AIと翻訳~地方自治体の事例を中心に~」というタイトルで、明治学院大学の櫻井成一朗先生にお話を伺いました。30分ほど、ご講演をいただいたあと、参加者からの質疑応答に時間をとっていただきました。 まず、生成AIとは「プロンプトから生成物をつくるAI」ということで2022年11月にChatGPTが登場して以来第三次AIブームの中生成AIブームとなったこと、最新の熾烈な競争ではマイクロソフトが1.58

          「生成AIと翻訳~地方自治体の事例を中心に~」勉強会

          【英語看板のお手本】第8回「自転車は降りて通行」

          By 鶴田知佳子 【よく見かける場所】 ・公園・遊歩道の歩行者優先の場所 ・ショッピングセンター・遊園地等の施設内 【英語表現】 Walk your bike 自転車は降りて通行 (じてんしゃ おりて つうこう) Do not ride a bicycle 自転車からおりて歩いてください Walk your bike 自転車を降りてください 【解説】 世間で自転車に頼る人は、特にコロナ渦を通じて増えたと思われます。また、外国人が日本で生活するにあたって

          【英語看板のお手本】第8回「自転車は降りて通行」

          AI翻訳の現在地

          鶴田知佳子 2023年も押しせまった12月4日、「日本の英語を考える会」は、AI翻訳をめぐる最新の知見に接する機会を得た。隅田英一郎先生と言えば、『AI翻訳革命 あなたの仕事に英語学習はもういらない』というなんとも意味深(英語教育者にとって)な著書で名高いAI翻訳の専門家である。正式には国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のフェロー、またアジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)の会長でもあられる。この隅田先生の日本橋オフィスに会のメンバー5名が伺い、機械翻訳についてお話

          【2023Word】I'm wearing (pants)…!

          楠田倫子 今年印象に残った英語表現を振り返るシリーズ。今回は「Don't worry, I'm wearing (pants)…!」をお届けします。 お笑い芸人のとにかく明るい安村さんが持ちネタの「安心してください、履いてますよ!」をイギリスの人気オーディション番組「Britain's Got Talent」で披露したところ大ウケ。日本国内でも大きな話題になり、今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」Top 10 にランクインしました。  「安心してください、履いてますよ!

          【2023Word】I'm wearing (pants)…!

          【2023Word】インキャだからモブキャ

          加藤 麻子 先日スクールで小6年女子の英語の授業をしていて、お決まりの What's New? を尋ねたところ、学芸会の練習をしていると言う。「何の役をするの?」と訊いたところ「風船売りの役。私ってインキャだからモブキャなんです。」と答えたので、「モブなんて難しい英語知ってるのね。すごい!」と褒めると、「えっ?モブって英語なんですか〜?」と言うので、「そうよ、群衆のこと」と説明すると、「へ〜、日本語だと思ってた。」「その単語、いつから知ってるの?」「えっ、生まれた時からだと

          【2023Word】インキャだからモブキャ

          【2023Word】ウィズ・フェイク 〜 フェイクと共に生きる

          加藤 麻子 2021年のNNE Word of the Year に選ばれた「ウィズ・コロナ」があまり聞かれなくなった今年、個人的に気になった言葉は「ウィズフェイク」だ。 日本人は "Let's"と同じくらい "with" が好きなようで、NHKでも「….ウィズフェイク時代をどう生きるか。。。」といったニュースを流している。 「フェイク」というカタカナ語は、アメリカのトランプ元大統領の「フェイクニュース」(虚偽報道)を連想させるが、"Fake News" という言葉 は1

          【2023Word】ウィズ・フェイク 〜 フェイクと共に生きる

          【2023Word】「ダブル合体」カタカナ英語でイメージアップ

          2023年12月18日 鶴田知佳子 英語を換骨奪胎して、自分たちの知識と発想で、元の言葉と似て非なる、あるいは元の言葉ではこんな使われ方はない、といういわゆる「カタカナ英語」にする天才が日本人である。実によく実態が表されていてわかりやすい表現のカタカナ英語に感心することが時折ある。 先日、あるイギリス人とお昼を食べる場所を探しているときに目にはいったのがキッチンカーの文字。このイギリス人が「今日の定食」を表に出した和食の店に惹かれて入ることにしたので、キッチンカーのお世話に

          【2023Word】「ダブル合体」カタカナ英語でイメージアップ

          【2023Word】ウェルビーイング

          2023年12月15日 鶴田知佳子 「日本の英語を考える会」のメンバーは、カタカナ英語を絶対悪とみなしているわけではない。「英語学習の妨げになる場合もあるかもしれないが、どうしたって適切かつ分かりやすい日本語訳が見当たらなければ、カタカナ英語の使用はやぶさかではない」と皆思っている。そんな思いをあらためて強くさせた言葉が最近日本で市民権を得つつある。その語こそ、今回のタイトル「ウェルビーイング」である。 ウェルビーイングと「ハピネス」の違いは何だろう、とあれこれ検索して

          【2023Word】ウェルビーイング

          【2023Word】NNEワードオブザイヤー今年の方針変更

          2023年12月13日 鶴田知佳子 いままで、「日本の英語を考える会」では、NNE今年のワードオブザイヤーとして、和製英語部門および公共の場における英語部門を選んできました。今年については、メンバー各自がそれぞれ気になるワードについて、このブログに書くことに変更します。 ちょうど、折しも今年の新語・流行語大賞が選ばれて、それについてもさまざまに記事が出ているところです。 私が個人的に面白い都思った記事はこれ、12月13日付け産経新聞17面の記事「阪神スローガン、来季も

          【2023Word】NNEワードオブザイヤー今年の方針変更