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【英語看板のお手本】第8回「自転車は降りて通行」

By 鶴田知佳子
 
【よく見かける場所】
 
・公園・遊歩道の歩行者優先の場所
・ショッピングセンター・遊園地等の施設内
 
【英語表現】
Walk your bike
自転車は降りて通行
(じてんしゃ おりて つうこう)
 
Do not ride a bicycle
自転車からおりて歩いてください
 
Walk your bike
自転車を降りてください
 
【解説】
世間で自転車に頼る人は、特にコロナ渦を通じて増えたと思われます。また、外国人が日本で生活するにあたって電車に乗るときの注意と並んで、自転車利用の際の注意も必要でしょう。日本の狭い道、あるいは公共の場所においては自転車には乗らないで、歩いて下さいという注意が必要です。毎朝、健康のためにせっせと散歩していますが、北沢緑道で冒頭に掲げた「自転車は降りて通行 電動キックボード含む」というサインをみつけました。
「自転車(じてんしゃ)は降(お)りて通行(つうこう)」とルビもふってあります。最近は、キックボードも多く使われるようになるので、こういう注意がますます、必要なのだと思います。
 
かねてから、「日本の英語を考える会」で浦安市在住の白木聖代さんが、英語看板の英語表示の具体例をいろいろ調べて報告していますが、「自転車を降りてください」の表示に「Please dismount from your bicycle」という例が千葉県の高浜運河遊歩道であった、それに対して、英語母語話者から、より自然な英語表現としては「Walk your bike 」との指摘があったという話をしてくれました。
 
浦安市では、別の件で「自転車進入禁止」に対して「No Entrance Bicycle」となっていましたが「No bicycle allowed」と直しました。一般的にはNo Entryで車の絵に斜線、×などが書いてあるのが多いようです。ちなみに、この表現が浦安市にはまだ一か所残っていましたが、元々白木さんが見つけたところには標識自体が古くなったからと撤去されていて、今は何も案内板がないそうです。
 
「自転車進入禁止」の看板に「No Entrance Bicycles」という表示はおかしいのではないかという白木さんの指摘によって、浦安市の看板が直された事例については、NHKのやさしい日本語ニュースにもとりあげられました。2021年3月29日のニュースを「やさしい日本語ニュース」のWebpageから引用します。
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千葉県(ちばけん)浦安市(うらやすし)は、人口(じんこう)の2.5%が外国人(がいこくじん)で、外国(がいこく)から観光(かんこう)に来(く)る人(ひと)もたくさんいます。しかし、市(し)を案内(あんない)する看板(かんばん)などに、間違(まちが)った英語(えいご)が書(か)いてあるため、直(なお)しています。
例(たと)えば、新浦安(しんうらやす)駅(えき)の前(まえ)にある「自転車進入禁止(じてんしゃしんにゅうきんし)」の看板(かんばん)には、英語(えいご)で「No Entrance Bicycles」と書(か)いてあります。この英語(えいご)だと、日本語(にほんご)の看板(かんばん)に書(か)いてある「自転車(じてんしゃ)で入(はい)ることを禁止(きんし)する」という意味(いみ)がわかりません。
タクシーやバス以外(いがい)の車(くるま)に乗(の)ったり降(お)りたりできる場所(ばしょ)にある「一般車(いっぱんしゃ)一時(いちじ)乗降場(じょうこうじょう)」の看板(かんばん)には、「Private Cars Only」と書(か)いてあります。しかし、この英語(えいご)の説明(せつめい)では、ここが車(くるま)に乗(の)ったり降(お)りたりできる場所(ばしょ)ということがわかりません。
市(し)のウェブサイトにも、日本語(にほんご)がわかりにくくて、機械(きかい)で正(ただ)しく翻訳(ほんやく)できないところがあったので、直(なお)しました。
 
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さて、本題の件「自転車は降りてください」の事例にもどります。
ほかの街中で、どのように表記されているのか気になっていてみつけたのが、改装されてすっかりモダンで明るく近代的な雰囲気のショッピングとエンタテイメントの街角に変身した宮下公園、いまはMIYASHITA PARKの入り口に通じる道路です。
 

MIYASHITA PARK©️NNE (C. Tsuruta)


MIYASHITA PARKの例では、このように「Do not ride a bicycle」
「自転車からおりて歩いてください」
 
という看板が出ていました。
 
自転車に乗って通行することへの一般的な注意としては、ふたたび浦安市の例を挙げます。
2023年11月15日付で浦安市のウェブサイトには以下のように記されています。
 
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自転車は、身近で便利な交通手段として多くの人が利用していますが、自転車による交通事故が問題になっています。自転車は「車両」です。車やバイクと同様に、交通ルールを守り、安全に運転することが義務づけられています。身近な乗り物だからこそ、より安全に乗ることができるように、自転車の交通ルールや交通マナーをもう一度見直しましょう。
歩行者が多いときは、降りて押して歩いてください。
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日本に住んでいる外国人、あるいは観光などで滞在している外国人が自転車を使いたいということもあるでしょう。そういうときには、自転車は降りて歩くというマナーを守るためには、正しく伝わるように「Walk your bike 」という表現が示されているといいでしょう。

(表紙写真:北沢緑道©️NNE (C. Tsuruta)

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