狩猟
私は如何なる時も“雌”の感覚を忘れたくない。
こちらから探すわけにはいかないので
見つけやすいように香りを残す。
こちらからは狩りには行けないので
狩られるように少し油断する。
こちらから誘うわけにはいかないので
誘いやすいように物欲しそうな顔をする。
私は一箇所に留まれないので
相手が見失わないように時々目印をたててあげる。
私は強がられると寂しくなるので
相手の弱くて恥ずかしい所をさらけ出してもらう。
私は追いかけられるのが苦手なので
優しく笑いながら、でもハッキリと手を振る。
私は欲しいものは必ず手にれたいので
無謀なやり方でも私のものにする。
サヨナラを言った時
『じゃあ、なんで俺に手を出したんだ』
怒鳴られたけど、だって欲しかったんだもの。
今でも欲しくてたまらないけど。
でも、いい男だからサヨナラしてあげましょう。
香りを消して
目印を外して
解放してあげましょう。
だってそれが女でしょう。
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