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さっきから兄が笑っている。「し、し、し、し、し、し、し、し、し...」兄は、リビングのソフ…
マサカリ対決よ!! こっちは相棒に熊がいるんだからねっ!! はっきり言って、金太郎は熊と…
シュバルツ・ベア様宛の手紙を佐伯くんに渡すと、佐伯くんはニヤニヤして、「ラブレター?」と…
こんな時は、春の歌をぜんぶ歌いたくなる。 例えば、福山さんの「桜坂」とか。あれ? あれは…
「焦げてっぞ!! おいっ! 焦げてるって?!」「え?」 わたしの目の前で、満月が焦げていた…
わたしの祖母の命日は、四年に一度来る。今日はその日だった。 祖母のお墓は、うちから電車に…
「おだいりさーまとおひなさま〜 」母が飾ってくれた雛人形を手にとり、「姫っ! 結婚してくださいっ!! 殿っ! よろこんでっ!」とかお人形遊びを真剣にしているわたし。 「雅哉くん、ずーっと前から好きでした!! 斉藤雪さん! ほんと? 僕もだよ! なーんて、きへへへへへっ!」「そこで、チュウだな」「えーっ?! そんなのまだ早いよ〜」と言いながら振り返ると、そこに兄。 「おまえさ、面白いから、今度の曲のモデルにしてもいい?」兄はそう言いながら、ポケットから出したメモ帳にメ
佐伯くんは、あの後、すっかり元気を取り戻したみたい。だけど、さすがに、木村屋で駄菓子をや…
わたしは、最近、手鏡を持ち歩くようにしている。これは、祖母の形見なんだけれど。丸い赤い縁…
卒業式の練習が始まった。卒業式では、4年生以上の在校生と卒業生とで、『呼びかけ』というの…
卒業式の練習は、毎日続く。毎日毎日、『呼びかけ』で、わたしの後の雅哉くんは、蚊の鳴くよう…
「お母ちゃん」わたしは、キッチンでオムライスを作っている母に、カウンターごしに話しかけた…
日曜日の午後、一人の女性がうちにやって来た。 「すみれちゃんじゃないの?!」母の素っ頓狂…
わたしは、ギターを弾く兄を、じっと見ていた。兄のギターを弾く指とわたしの指を見比べて、母の手を思い出していた。兄は母の手に似ている。指も爪も細長くて、きれいで。 わたしの指は... 丸っこい。きっと父に似たのだろう。 兄の優しさは? 母似なのかな? だけど、わたし達は、父と母の子ども達。きっと父も優しい人だったに違いない。きっと... 兄の部屋で、アゴ肘ついて寝転がって、兄のギターを聴いていた。「なんだよ」兄がふいにギターの手を止めた。 「もっと弾いてよ」わたしは言