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町屋ラボ リノベの記録その5 8畳和室を平面作品の制作スペースに

前回は中庭周りの雨漏りの補修や建具の修理の過程を紹介しました。

今回はその手前の1室、8畳和室の整備の様子を紹介します。

この部屋は平面作品の制作スペースとしての利用を想定しています。
ただ、道路に面した6畳板の間と合わせるとそれなりに広さもあるので、
フリマイベントを開いたり、作品の展示会場としたりと、
それ以外にも様々な利用をしています。



8畳和室の整備

古い畳を藍色に塗装

まず、部屋の様子を確認しましょう。

廊下からの8畳和室の眺め。中央に床の間、左に簡単な書院、右手は仏壇のスペースだったそう。

廊下から見て奥の中央に床の間、庭側に地袋と書院障子があります。
こうした和室の要素を活かした空間にしていきたいものです。

書院障子の手前には簡単な神棚スペースもあります。

小須戸の他の町屋では神棚のある部屋は2階が無く、
吹き抜けになっていることが多いのですが、この建物は2階があります。
吹き抜けではありませんが、神棚の上部は少し高くなっています。

それでは、整備していきましょう。

まずは床面、古い畳をどうするか…なのですが、
床の間や書院の和の雰囲気を活かすため、
畳を活かしていくことにしました。

調べてみると、古い畳を新品に見せる塗料があることが分かったのですが、
今回は藍色のペンキに墨汁を混ぜて黒い藍色を作り、
畳に塗ってみることにしました。

ペンキの調合中。藍色ペンキに墨汁と、少しの水を足します。
畳のふちをマスキングしてからペンキを塗っていきます。

ちなみに、畳に直接ペンキを塗る前に、ゴザにペンキを塗って敷いてみようと試してみましたが、ペンキの水分とその後の乾燥でゴザが歪んでしまい、うまく行きませんでした。

ということで、畳に直接ペンキを塗ります!

畳の目に沿ってローラーでペンキを塗り塗り。

藍色のペンキ1缶に墨汁1本を混ぜたので、
色としてはわりと黒っぽくなります。

色合いとしては、乾くと少し藍色が見える程度ですね。

足の踏み場を残しつつ、畳全面に塗っていきます。

畳にペンキを塗るというのはあまり聞いたことがありませんが、
新しい畳を入れるほどの予算もなく、
古い畳も使わなければどうせ捨てるだけだったので、
ちょっと実験的にやってみました。

塗り終わってマスキングを剥がしています。一見黒っぽくてシブい畳になりました。

使用感としては、塗装後5年が経った2023年でも
(擦れた部分など若干ペンキが禿げたりもしていますが)
特に問題なく使えています。

床の間の砂壁に漆喰を塗る

床を塗ったら、次は壁です。
今回は、床の間と書院の土壁を、漆喰で塗ることにしました。

特に床の間の土壁には縦にヒビが入っていたので、
これを補修する必要もありました。

土壁の周りを養生します。床の間の土壁のヒビが目立ちます。

漆喰は、ホームセンターで購入したそのまますぐ塗れる漆喰を使用。

左官道具を手に塗るわけですが、
小手で壁に漆喰を押し付けていく感覚で、意外と力が必要です。

ちなみに、説明書によればヒビ割れの部分は
補修用のテープなどを貼った上から漆喰を塗るのがベストのようですが、
今回はテープを貼らずにそのまま塗りました。

床の間の土壁に漆喰を塗りました!

床の間正面の壁を塗り終わりました。

…が、慣れない作業で漆喰を少し厚くぬってしまったのか、
書院や脇壁も塗るはずの分量の漆喰を使い果たしてしまいました。

ということで、書院と脇壁は土壁のまま行きます!

床の間と書院には平面作品を展示しました!

後日、床の間と書院にはそれぞれ平面作品を展示。
床の間には「小須戸橋」、書院には「ときめき橋」。
どちらも南条さんの作品で、町屋ラボに常設しました。

「ときめき橋」の土と土壁が妙にマッチしていて、
これはこれで良いかなと。

襖壁を立てる

さて、こちらの部屋は平面作品の制作スペースとして活用する予定でした。

平面作品を制作するには「壁」がいるそうです。
大きな絵を描くには、紙やキャンバスを壁に取り付けて描くんですね。

で、もともとこの部屋と廊下は障子とガラスの建具で
仕切られていたわけですが、
この建具を取り換えて、「壁」を作ります。

右手が8畳和室。一般的な和室の建具による間仕切りです。

この建具に変えて、ベニヤと木材で襖サイズの壁を作ります。
こちらは南条さんのお仕事。

障子の建具に替わって襖サイズの壁ができました。

畳を塗り終わった部屋で養生をして、襖壁を白く塗ります。
塗装後に壁を嵌めてみた様子はこちら!

襖壁を設置し、家具などをレイアウトしてみました。

水と土の芸術祭2018の開催中は、
アーティストの飯沢康輔さんがこのスペースで
「小須戸の看板娘」という作品の一環で、巨大な鉛筆画を制作していきました。

お客様にはその様子を見学してもらったり。

水と土の芸術祭2018バスツアーの様子。
制作中の作品について解説する飯沢康輔さん。

襖壁の裏側はグレーに塗装。
廊下のスペースもちょっとしたギャラリー空間として
活用できるようになりました。

襖壁の裏側。2018年には町屋ラボの改修の様子の写真を掲示しました。

障子の貼り替え

夏場は障子の建具はすべて取り外し風通し良く過ごせますが、
春先や秋冬はやっぱり建具が必要です。

汚れてはいるものの、既存の建具を少しでも活用するために、
古く傷んだ障子を少しずつ貼り替えています。

こちらの建具、障子にシミや穴が空いて残念な感じ。

障子の貼り替えは、古い障子紙を剥がして、建具を掃除し、
障子糊で新しい障子紙を貼る、という手順です。

必要な道具はホームセンターで購入。
今回はネット通販でカラー障子も買ってみました。

思い切って障子を貼り替えました!カラー障子で市松にしてモダンな感じに。

畳の色に合わせて青系統のカラー障子で市松模様を作ってみましたが、
桟に合わせて1枚ずつ貼っていく作業は地味に大変です。

ただ、がんばった甲斐があってオシャレになりました。

廊下側。障子の皴は霧吹きで水を掛けておくと、乾けばピンとします。

次回予告

ということで、今回は8畳和室の整備の様子を紹介しました。

8畳和室のレイアウト。なかなか良い雰囲気。

最近は夏場になると井草ラグを敷いて、
ソファを置いて良い感じの雰囲気にしています。

PC作業やオーディオをお楽しんだりもできますね。

アート作品の展示会場としても活用。AYUMI ADACHI「Line 線」(2019年)

冬場にはコタツを出したり、時々フリマイベントを開いたり、
アート作品の展示会場としても使ったりと、
いろいろな使い方をしています。

さて、次回は最も道路側の部屋、6畳板の間の改修の様子を紹介します。
お楽しみにー。

6畳板の間

次回はこちら


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