刺繍を通して遠い国パレスチナが見えてくる
みなさん、こんにちは!JVCインターン生の阿見美乃です。
「パレスチナ刺繍」ってご存知でしょうか。
恥ずかしながら私はJVCに関わるようになってから知ったのですが、パレスチナにて農閑期である冬に行われ、パターン化された様々なモチーフが施されたパレスチナ独自の刺繍です。主にクロスステッチと呼ばれる(糸を×の形にクロスしながら刺していく)技法が用いられ、パレスチナの女性たちにとって母からまた娘へと脈々と受け継がれるものとなっています。
先日、JVCではインターン生がパレスチナ刺繍のワークショップを企画・開催しました!※オンラインイベント
講師をしていただいたのはJVC職員で、パレスチナ駐在経験もある並木さん。現地では、刺繍部をつくっていたそう。当日は、パレスチナ刺繍に取り組みながら、パレスチナをめぐる問題についてもお話ししました。
並木さんは元々乙嫁語りという漫画を読んでからパレスチナ刺繍に興味を持ったそう。チャットでは、参加者さんの中にも乙嫁語りでパレスチナ刺繍を知った人が多数いることが判明。
中央アジアが舞台で乙嫁(かわいいお嫁さんという意)たちの物語とその土地の文化や生活が垣間見れる漫画らしいです。面白そう!
緊張の時、、、
しかしながら、私は手先でなにか細かい作業をするの苦手で、どれくらい苦手かというと、以前近所のら○ぽーとで行われていたミサンガのワークショップにて隣の小学2年生に教えてもらうほど苦手です。不安を抱えつつ、パレスチナ刺繍の綺麗さと楽しそう!という気持ちに駆り立てられ、イベント運営担当者として進めてきました。企画・運営を担当していましたが、参加者の方と同じ立場でという意図で、本番まで一度もパレスチナ刺繍を体験せずに参加しました。
パレスチナ刺繍の気軽さと瞑想のような時間
今回使用した布は、普通の布ではなく、網目の粗いジャバクロスという布です。刺繍枠は必要なし。パレスチナ刺繍図案資料をもとに特殊な糸で編み目ひとつに糸をクロスしていくだけ!(またワークショップに必要なものは、ハサミ以外全て参加者の皆さんに送付したので、用意する手間はありません!)
想像していた10倍くらい「簡単だ〜!」という感じです。
また同じ動きを繰り返すので、そのうちに昔夢中でプチプチを潰したような集中力を感じました。参加者の中からは、瞑想のような感じという感想や「手芸はセラピーとして使われたりもする」というお話を聞いてなるほどーと思いました。終始フラットな雰囲気でワークショップというより刺繍を通した交流会という雰囲気に。
針は、先端がお肌に刺さっても
全然痛くない丸みを帯びたものになっていて(刺繍針20号というものらしい)、裁縫が苦手な私でも不安なくチクチクできました。
並木さんによると現地の方には「裏側を見せろ!」と言われるそう。普段見られない裏側の綺麗さも気にするのがさすが本場という感じです。現地では裏側が綺麗になればパレスチナ刺繍の一人前として認められるとのこと。
でもこのワークショップは、パレスチナ刺繍の入門編。今回は裏側や飛び地を気にせず進めていこう!ということなったのでした。
さまざまな文化が交錯する位置にあるパレスチナ。
ヨーロッパや中東から取り入れられたモチーフも数多く存在するそうです。
並木さんが用意してくださった資料の中には「おじいちゃんの歯」・「富豪のクッション」なんていうものも。
見せてくれた服は、普通の布に刺繍がされていて、いかにパレスチナの女性にとって刺繍が身近で習慣化されているかを実感しました。
「いつかパレスチナという国が
なくなってしまうかもしれないから」
という話を現地の女性から並木さんは聞いたそうです。 パレスチナでは、イスラエルの入植によって、そう思わざる負えない状況が続いています。入植により、特にパレスチナ・ガザ地区では移動の制限、土地、住居、電気、水など生活のほぼ全てがままならなくなっています。 個人的に、パレスチナ問題勉強中に驚いたのは、失業率70%ということと電気が一日の1/3程しか通らない(不規則な時間)ということです。日本に生活している自分からすると、どうやって生活を成り立たせているのだろうと思うとともに、そこに住むパレスチナの人の方のことを思うと胸が苦しくなります。
(↑JVCパレスチナ駐在員が運営されているNote。このページでは、パレスチナの歴史背景と現状をわかりやすくまとめています)
女性たちを取り巻く環境
また、保守的なコミュニティも残っており、そこでは女性の権利が十分確保されておらずパレスチナのガザ地区に暮らす女性の50%は男性から何らかの虐待を受けたことがあるというお話を受けて驚きました。
パレスチナをめぐる問題や男性により女性の行動が制限されるという背景がある中で、刺繍は女性たちが収入を得るための貴重な手段として使われているそうです。
就業機会の少ない女性たちに対し、JVCでは2007年まで、難民キャンプで女性グループが施した刺繍を商品化し販売するという支援を行っていました。
女性たちを支援したいという現地の当時大学生マヌールさんと女性グループが交渉したところ刺繍1枚10シェケルから15シェケルほどで(300円ほど)で買い取ることになったそう。並木さんは「安すぎじゃないか」と思ったそうですが、他に仕事がない中で、現地の女性たちにとってこの収入は非常に役に立ったとのことです。(並木さんでさえこの1枚刺繍するのに4時間ほどかかるそうです)
現在JVCでは、現地のパートナー団体とともにパレスチナ女性の就業訓練・エンパワーメントを支援する活動を行なっています。
皆さんどんなものができましたか?
参加していただいたみなさんとってもお上手でした。短時間にこんなに進められるのかと驚くばかりです!(刺繍を専門としている方も中にはいたようです。)
一緒にこのワークショップを進めてきた同じくインターン生の先輩三田さんは、初体験にもかかわらずわずか数十分(ワークショップ時間内)で完成させていました!さすが!すごすぎる!
私は、どんなものができたかというと、こんな感じになりました。
ワークショップ時間外作業で完成させました。(遠い目)
キッズの乱入
参加者の方と最後並木さんが交流していたところ、並木さんキッズがzoomに乱入!キリがいいということで、ここでワークショップ完全終了となりました!
では最後に先程お話に出たマナールさんのお言葉を紹介したいと思います。
終了間際、「また次回があったら参加したい」という直接話してくれた方も多くいらっしゃいました。皆様から好意的な感想がたくさんいただけたので是非第2回を開催したいと思います!
もし、パレスチナ刺繍に興味を持った!という方がいらっしゃれば、第2回開催時にTwitterなどのJVC各SNSでアナウンスするので、その時お申し込みしてくださればと思います!お読みいただきありがとうございました。もしこの記事をいいなと思ってくださいましたらスキ、フォローしてくださると嬉しいです。
おまけ
ちなみに私の作品の裏側はどんな感じかというと、
とても現地の人には見せられない!私のパレスチナ刺繍の修行はまだまだ続きそうです。
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物品支援もお待ちしております
皆様の物品支援により去年1年間で1400万円集めることができました。皆様のご支援のおかげです。是非、お部屋を片付ける際など、ご検討の程よろしくお願いします。
✅南スーダンのスーダン難民キャンプの子ども1人が、毎月500円で学校に通うことができます。
✅栄養失調の子どもがいるガザの特に貧困家庭1つに、1000円で栄養価の高い地元の食材を使った食料パッケージを受け取ることができます。
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