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The Police / Reggatta de Blanc (1979)
パンクの流行を利用してデビューしたザ・ポリスの人気を決定的なものとしたセカンド・アルバムは、「白いレゲエ」を意味するタイトルが示すとおり、レゲエの要素を導入し、都会的な空気感やポスト・パンク時代特有の緊迫感と調合した上で融合・洗練させた傑作。
前作でのパンク的な疾走感は残しつつも粗さは徹底的に排し、無駄なく研ぎ澄まされたハイ・センスで知性的なロックを鳴らすポリス・サウンドが確立。
アンディ・サ
The Replacements / Sorry Ma, Forgot to Take Out the Trash (1981)
ミネソタ州ミネアポリスにて、フロントマン/ソングライターのポール・ウェスターバーグを中心に結成されたパンク・バンド、ザ・リプレイスメンツ(愛称”ザ・マッツ”)のファースト・アルバム。
「ごめんママ、ゴミ出し忘れちゃった」という捻くれたタイトルの本作は、ギター&ベースのスティンソン兄弟のうちベース担当の弟トミーがアルバム・リリース時15歳(!)だったことが象徴するように、若さに溢れた初期衝動がハー
Tyrannosaurus Rex / Unicorn (1969)
ティラノザウルス・レックス名義での3作目にして、ドラムスのスティーヴ・トゥック在籍時最後のアルバム。
フロントマンでソングライターのマーク・ボランがアコースティック・ギターを掻き鳴らし、スティーヴの呪術的なパーカッションと交わることで生まれる妖しいアシッド・フォークとサイケな浮遊感は本作において完成度を上げており、前作に続きプロデューサーを務めたトニー・ヴィスコンティが弾くピアノもフィーチャーし
Dave Matthews Band / Under the Table and Dreaming (1994)
90年代以降のアメリカン・ロック・バンドの中でも特にライヴ・バンドとして最大級の人気を誇るデイヴ・マシューズ・バンド。
600万枚という驚異的なセールスを記録したこのファースト・アルバムは、かのスティーヴ・リリーホワイトのプロデュースの下、多様性に富んだ音楽性と、完成度・安定感抜群のバンド・サウンドが聴ける。
アコースティック・ギターにベース、ドラムス、さらにはサックスとフルート、ヴァイオリンも
Radiohead / My Iron Lung [EP] (1994)
90年代初頭の音楽シーンに大きな影響を与えた名曲"Creep"を収録しながらも全体としては佳作止まりの印象も強かったファースト・アルバム「パブロ・ハニー」と、名作セカンド・アルバム「ザ・ベンズ」の狭間に置かれた、橋渡し的なEP/ミニ・アルバム。
初期ミューズのインスピレーション源となったと思しき耽美で過剰なギター・ロックと、ジェフ・バックリィにも通ずるピンと張り詰めた空気感。
翌年リリースのセカ
The Band / The Band (1969)
歴史的名盤であるデビュー・アルバム「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」で”アメリカーナ”の基礎を築いたザ・バンド。
ボブ・ディランのバック・バンドから独立し、ディランの助力も受けてデビューした彼らは、ファースト・アルバムのリリース後のツアーに出ることなく、ロビー・ロバートソンを中心とした曲作り(全曲にクレジットされている)と主にカリフォルニアのスタジオでのレコーディングに勤しむことになり、そ
Arcade Fire / Funeral (2004)
アーケイド・ファイアのデビュー・アルバムは、2000年代のロックを、そしてインディ・ロック全体をも代表する稀代の名盤。
テキサス出身のウィン・バトラーを中心にカナダ・モントリオールで結成された彼らが生み出す音楽には、オルタナティヴでインディペンデントなロックの素晴らしさが徹頭徹尾、満ち満ちている。
ウィンが培ってきたインディ・ロックやニュー・ウェイヴ、パンク、フォークの下地に、彼の妻であるレジ
Manic Street Preachers / The Holy Bible (1994)
1〜2作目を通して失敗と成功の両方を経験したマニック・ストリート・プリーチャーズのサード・アルバムは、リッチー・エドワーズ失踪前、オリジナル・メンバー4人での最後の作品。
今回もまた賛否両論激しく、同時に彼らを代表するアルバムにもなった本作は、その陰鬱で重苦しい詞がぎっしり詰まった内容から「NMEが選ぶ最も暗いアルバム50」の1位に選出されるほどの問題作となった。
狂気の淵に迫り自らを深く傷つ
The Strokes / Is This It (2001)
21世紀のロックにおける新章の幕開けを告げた、ザ・ストロークスのデビュー作は、”モダン・エイジ”における究極のロックンロール・アルバムにして、どこをとっても完璧といえる歴史的名盤。
シンプリシティの極致といえる過不足の全くないスタイリッシュなサウンドも、クールな情熱を帯びたヴォーカルも、無駄がなく整ったサウンド・フォルムも、ロックとしてのドライヴ感も、ギター&ベース&ドラムスのカッティング・エッ
Kasabian / Kasabian (2004)
イギリスはレスター郊外の農場にある小屋で共同生活をしていた男たちは、自らの音楽とパフォーマンスのみで、UKのトップ・バンドへと駆け上がっていく。
当時のUKロック・シーンの異端児にして、やがてその中心となったカサビアンのデビュー・アルバムには、ビートルズのサイケデリア、ローリング・ストーンズの野生味、クラフトワークの斬新さ、ジョイ・ディヴィジョンの不穏な鋭さ、クラッシュの旺盛な好奇心と雑食性、セ
Washd Out / Within and Without (2011)
チルウェイヴ全盛の2011年、その”真打”による待望のデビュー・アルバム。
ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン自身の影響源であるアニマル・コレクティヴやディアハンターらを手掛けたベン・アレンをプロデューサーに迎えた本作は、チルウェイヴの起源たる傑作EP”Life of Leisure ”での親密なベッドルーム・ポップや揺蕩うドリーム・ポップ、アコースティックでオーガニックなサウンドが、
Mr.Children / Atomic Heart (1994)
シングル「CROSS ROAD」のミリオン・ヒットにより飛躍的に知名度を上げ、続く「innocent world」で大ブレイクを果たしたMr.Childrenが満を持してリリースした通算4作目のアルバムは、驚異的なセールス(350万枚近い売り上げはキャリア・ハイ)で当時の歴代最高記録を樹立するモンスター・アルバムとなった。
シングル曲に備わった強靭なポピュラリティだけでなく、詞は真摯な内省に加え
The Libertines / The Libertines (2004)
2000年代UKロックの”救世主”ザ・リバティーンズのセカンド・アルバム。
このバンドはピート・ドハーティ&カール・バラーのソングライター/フロントマン・コンビの公私両面での関係性と悲喜交々のストーリーにおいて語られることが多く、実際本作でもドラッグ禍からの復活と失敗を繰り返し続けるピートと、彼のバンドへの復帰を待ち続けるカールとの間の愛憎入り乱れた感情が渦巻き、2人の心情とストーリーが詞にも如
Jeff Buckley / Grace (1994)
30歳でこの世を去った夭逝のシンガー・ソングライター、ジェフ・バックリィが生前に遺した唯一のスタジオ・アルバム。
その神々しいまでに圧倒的に美しく凄みのある歌声は、同じく若くして亡くなった父、ティム・バックリィに勝るとも劣らない存在感を放っている。
時は1994年。USオルタナティヴ全盛の時代を感じさせるバンド・サウンドに、彼が影響を受けてきたというレッド・ツェッペリンのハードさと、レナード・