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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnote…

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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnoteで文を書いてみる。前からずっと(仕事以外は)ステイホームな(社会参加型)ひきこもり。主に音楽・映画・文学・芸人・飲酒・孤独を愛する融通が利かない人間。自己陶酔と自己憐憫への自己嫌悪も好き。

最近の記事

Jack Johnson / Sleep Through the Static (2008)

「100%ソーラー発電でレコーディング」されたという触れ込み(ジャック・ジョンソンのことだから事実なのだろう)の4作目のアルバム。 前作で世界的に成功を収めても、彼の自然体なスタンスは全く変わらない。 いつものように伸び伸びと緩やかに、親密で軽快な音を鳴らす。 ジャケットのイメージのせいか、これまでのオーガニックで開放的な音よりもスタジオでの音の響きをダイレクトにパッケージしたような印象で、バックのバンド・サウンドもくっきりとした輪郭を残している。 哀しみや憂いをも穏や

    • Stevie Wonder / Fulfillingness' First Finale (1974)

      スティーヴィー・ワンダーの24歳にして実に17枚目(!)のアルバムは、神懸かっていた70年代前半の最初の黄金期三部作(ないしは四部作)のラストを飾る、その名のとおり”ファースト・フィナーレ”。 前年の交通事故で生死の境を彷徨い、再起不能の危機を奇跡的に乗り越えたスティーヴィーは、復帰作でもある本作で達観した人生観や宗教観に基づいた、スピリチュアルな音世界と壮大なバラードを披露。 レゲエ調だったり、政治風刺だったり、お馴染みのクラヴィネット&ハーモニカの音色だったり、ジャク

      • Bombay Bicycle Club / I Had The Blues But I Shook Them Loose (2009)

        ロンドン出身、当時平均年齢19歳の4人組インディ・ロック・バンド、ボンベイ・バイシクル・クラブ(BBC)のデビュー・アルバムは、若き才能が疾走するインディ・ロックでありながら、同時に老練なまでの完成度を誇り、実験精神にも富んでいる秀作。 「リズム・パターンから曲を作る」というとおり、複雑なリズムと独特なコードによる独自の音作りが本作の時点で早くも出来上がっている。 15〜16歳頃から5年近くかけて磨き上げたという楽曲には、ソングライティングの才能の豊かさと特徴的な歌声、確

        • The Beach Boys / All Summer Long (1964)

          初期ザ・ビーチ・ボーイズの集大成というべき通算6作目のスタジオ・アルバム。 ビートルズを初めとしたブリティッシュ・バンドのアメリカ進出から受けた刺激と”本場”のグループとして対抗心。長く続いた父の”支配”からの脱却。そして、ブライアン・ウィルソンの”理性が保たれた”ポップ・センス。 あらゆる意味でバンドにとって重要な本作は、サーフ・ロックとホット・ロッドの最後の煌めきを捉えた、究極の夏のポップ・アルバムとしても燦然と輝きを放ち続けている。 (西海岸の)若者の夏という青春の

        Jack Johnson / Sleep Through the Static (2008)

          Elliott Smith / Roman Candle (1994)

          1990年代を代表するシンガー・ソングライター、エリオット・スミスのファースト・アルバム。 友人と組んだバンド「ヒートマイザー」ですでにアルバム・デビューもしていたエリオットが、バンド用ではないアコースティック・ギター弾き語りの楽曲を、当時のガールフレンドに勧められて彼女の自宅地下室にてレコーディングし、デモ音源のままリリースされたという本作。 このレコードに収められたギターの一音一音やコードの運び、物哀しくも美しく透徹したメロディ、危なっかしさと人懐っこさを含んだフラジ

          Elliott Smith / Roman Candle (1994)

          The Prodigy / Music for the Jilted Generation (1994)

          ケミカル・ブラザーズやアンダーワールドに先駆けてダンス・ミュージックとロックをクロス・オーヴァーさせ、いち早くブレイク・ビーツやドラムンベース、ビッグ・ビートを取り入れたプロディジーのセカンド・アルバムは、全英1位を獲得し、マーキュリー賞にもノミネートされたハードコア・テクノの傑作。 リアム・ハウレットを中心に扇状的で挑発的なサウンドを作り上げ、凶暴に荒れ狂う硬質でエッジの効いたビートと不穏なノイズ、烈しく美しく展開していく構築力は圧巻。 インダストリアルやヘヴィ・メタル

          The Prodigy / Music for the Jilted Generation (1994)

          The Beatles / A Hard Day's Night (1964)

          ザ・ビートルズのサード・アルバムにして初期の最高傑作。 1964年、アメリカ進出に成功したビートルズが、帰国後すぐに取り組んだ初主演映画「ハード・デイズ・ナイト」のサウンドトラックから派生した本作は、初の全曲オリジナル、さらにディスコグラフィ唯一の全曲レノン=マッカートニー名義となっている。 なんといっても全13曲中10曲をメインで手掛け、うち9曲でリード・ヴォーカル(1曲だけジョージ・ハリスンが担当)を務めたジョン・レノンの貢献が大きく、リーダー格としてバンドを先導する

          The Beatles / A Hard Day's Night (1964)

          The Killers / Live from the Royal Albert Hall (2009)

          3作のスタジオ・アルバムで英米ともに人気バンドとなったザ・キラーズによる、イギリスはロイヤル・アルバート・ホールでの2009年7月5日〜6日の公演を収録した(現時点でバンド唯一の)ライヴ・アルバム。 前年のサード・アルバムも手掛けた”ポップ職人”スチュワート・プライスが本作でもプロデューサーを務めている。 ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダー、ザ・キュアーらに影響を受けたニュー・ウェイヴの美学と、U2やブルース・スプリングスティーンの系譜のスケール感とダイナミズムを兼備

          The Killers / Live from the Royal Albert Hall (2009)

          Nick Drake / Five Leaves Left (1969)

          夭逝のシンガー・ソングライター、ニック・ドレイクのデビュー・アルバムには、孤独で繊細な青年の魂が、触れれば壊れそうなほど脆く、胸が苦しくなるほど美しく哀しい音色の中に屹立して響いている。 当時まだ20歳だったニックがそれまでに書き溜めてきた楽曲の中から、選び抜かれた珠玉の10曲を収録した本作は、フォーク系ミュージシャンを手掛ける若手プロデューサーのジョー・ボイドの下、ニックの大学の友人で当時無名だったロバート・カービーをストリングス・アレンジャーとして起用。 同じくジョー

          Nick Drake / Five Leaves Left (1969)

          The Rolling Stones / Aftermath (1966)

          初めて全曲をジャガー/リチャーズによって書き上げた記念すべきアルバムは、ストーンズらしいリズム&グルーヴとキャッチーなメロディ作りの妙が詰まった彼らの最初の傑作であり、キャリアの大きな転換期を刻んだレコードとなった。 全14曲52分(UK盤)と当時としては異例の長さの作品で、その中にリズム&ブルーズやフォーク、カントリー、ジャムになだれ込む10分以上の楽曲などが収められ、来たるサイケ時代の前兆をも感じさせるなど、カヴァー主体だった初期作品から、一気に多様性と実験性を増してい

          The Rolling Stones / Aftermath (1966)

          The Beach Boys / Shut Down Volume 2 (1964)

          ザ・ビーチ・ボーイズ名義のディスコグラフィとしては唐突な「ヴォリューム2」が付いた奇妙なタイトル、コメディ・タッチの会話を含む風変わりな曲も入った5作目のアルバム。 しかし、遊びの企画ものではなく、ブリティッシュ・インヴェイジョンが始まった当初のアメリカにおいて、メイン・ソングライターであるブライアン・ウィルソンが憧れのフィル・スペクターへの敬愛を込めてウォール・オブ・サウンドに接近した意味では重要なレコードとなっている。 ホット・ロッド〜サーフ・ロックの範疇を超え、美し

          The Beach Boys / Shut Down Volume 2 (1964)

          The Jeff Beck Group / Beck-Ola (1969)

          ロック界屈指のキーボード・プレイヤーであるニッキー・ホプキンスの正式加入、ドラマーの交代、ロン・ウッドの脱退(解雇)&復帰を経て、万全の体制で挑んだ本作は、ジェフ・ベック・グループ名義では初めてのアルバム。 エルヴィス・プレスリーの代表曲"All Shook Up"と"Jailhouse Rock"のカヴァー以外の5曲はオリジナル。3曲目のみホプキンスによる異色のピアノ・インスト曲(これがまた美しい)だが、それを除くと前作以上にベックがギターを弾き倒している。 圧倒的な技

          The Jeff Beck Group / Beck-Ola (1969)

          Beck / One Foot in the Grave (1994)

          メジャー・デビュー作「メロウ・ゴールド」が世に出る前にレコーディングされ、インディーズからリリースされたベック通算4作目のアルバム。 「片足を墓に突っ込んで」のタイトルの本作で、ベックはラフな演奏でブルースやフォーク、カントリーなどのルーツ・ミュージックを掘り下げ、それはかのロバート・ジョンソンを彷彿させる。 その後も自身のライヴで取り上げる楽曲もあれば、あくまでラフ・スケッチのようなデモ音源からジャンク品のような奇妙なものまで、玉石混交のイメージが強いベックの”インディ

          Beck / One Foot in the Grave (1994)

          Pink Floyd / More (1969)

          シド・バレットの脱退とデヴィッド・ギルモアの加入という過渡期に制作された前作を経て、ロジャー・ウォーターズ/デヴィッド・ギルモア/リチャード・ライト/ニック・メイスンの4人体制で取り組んだ初めての作品は、同名映画のサウンドトラック。当時は珍しかったバンド自身のセルフ・プロデュース作品。 ”プログレ前夜”のサイケデリック・ロック期のピンク・フロイドの音を収めた貴重な作品で、シネマティックな世界観やスケール感に加え、牧歌的で美しいフォークやざらついたハード・ロック、さらにはジャ

          Pink Floyd / More (1969)

          Nirvana / Bleach (1989)

          90年代に一大ムーヴメントを巻き起こした”グランジ”の中でも神話となったニルヴァーナ。 80年代末にリリースされたこのデビュー・アルバムでは、来たる90年代グランジ・ブーム前夜、シアトル郊外の片田舎に住む若者たちが、退屈で鬱屈とした日常から逃れようともがき、唯一手にした音楽をもって自由と解放を手に入れようと格闘する姿をありありと感じることができる。 パンクやその後のポスト・パンク、そして80年代のUSオルタナティヴ・ロックに大いに影響を受けた彼らは、当時のシアトルの音楽シー

          Nirvana / Bleach (1989)

          The Killers / Hot Fuss (2004) 〜Revisited〜

          ザ・キラーズのファースト・アルバムのリリースから20年。 なお、2年前に取り上げていたようで。 というわけで今回は日本盤の黒ジャケを据えて再掲。 ブランドン・フラワーズの声域はとても歌いやすいし、メロディは歌っていて心地良い。 世代的に2000年代にデビューしたバンドへの愛着が強いけど、中でもキラーズはトップクラスに大好き。 自分が愛するポップでキャッチーなメロディを臆することなく信じている感じが頼もしい。 そうしているうちに今日も日が暮れていく。 今日も飲もう。

          The Killers / Hot Fuss (2004) 〜Revisited〜