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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnote…

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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnoteで文を書いてみる。前からずっと(仕事以外は)ステイホームな(社会参加型)ひきこもり。主に音楽・映画・文学・芸人・飲酒・孤独を愛する融通が利かない人間。自己陶酔と自己憐憫への自己嫌悪も好き。

最近の記事

スピッツ / 空の飛び方 (1994)

スピッツの5作目のアルバムにして、初のオリコンチャート入りを果たした出世作。90年代を代表する名曲「空も飛べるはず」や、キャリアにおいても屈指の名曲「青い車」などの強力なシングル曲を中心に、清涼感のあるポップ・ソングをいくつも収録した本作は、その後の彼らの方向性を決定づけることとなった。 これまでに取り組んできたストリングスなどのアレンジは抑えめに、よりクリアで抜けの良いバンド・サウンドをメインに据えた本作の音は、初期における象徴的なシューゲイザー・サウンドだけでなく、90

    • Arcade Fire / Funeral (2004)

      アーケイド・ファイアのデビュー・アルバムは、2000年代のロックを、そしてインディ・ロック全体をも代表する稀代の名盤。 テキサス出身のウィン・バトラーを中心にカナダ・モントリオールで結成された彼らが生み出す音楽には、オルタナティヴでインディペンデントなロックの素晴らしさが徹頭徹尾、満ち満ちている。 ウィンが培ってきたインディ・ロックやニュー・ウェイヴ、パンク、フォークの下地に、彼の妻であるレジーヌ・シャサーニュのクラシックの素養に基づくバロック・ポップが緻密に装飾され、唯

      • Manic Street Preachers / The Holy Bible (1994)

        1〜2作目を通して失敗と成功の両方を経験したマニック・ストリート・プリーチャーズのサード・アルバムは、リッチー・エドワーズ失踪前、オリジナル・メンバー4人での最後の作品。 今回もまた賛否両論激しく、同時に彼らを代表するアルバムにもなった本作は、その陰鬱で重苦しい詞がぎっしり詰まった内容から「NMEが選ぶ最も暗いアルバム50」の1位に選出されるほどの問題作となった。 狂気の淵に迫り自らを深く傷つけるようなヘヴィでダークなリッチーの詞と、強烈な政治的主張や風刺を含んだニッキー

        • The Strokes / Is This It (2001)

          21世紀のロックにおける新章の幕開けを告げた、ザ・ストロークスのデビュー作は、”モダン・エイジ”における究極のロックンロール・アルバムにして、どこをとっても完璧といえる歴史的名盤。 シンプリシティの極致といえる過不足の全くないスタイリッシュなサウンドも、クールな情熱を帯びたヴォーカルも、無駄がなく整ったサウンド・フォルムも、ロックとしてのドライヴ感も、ギター&ベース&ドラムスのカッティング・エッジな鳴りも、登場したタイミングも時代背景も、全てが完璧。 そんな作品を「これがそ

        スピッツ / 空の飛び方 (1994)

          Kasabian / Kasabian (2004)

          イギリスはレスター郊外の農場にある小屋で共同生活をしていた男たちは、自らの音楽とパフォーマンスのみで、UKのトップ・バンドへと駆け上がっていく。 当時のUKロック・シーンの異端児にして、やがてその中心となったカサビアンのデビュー・アルバムには、ビートルズのサイケデリア、ローリング・ストーンズの野生味、クラフトワークの斬新さ、ジョイ・ディヴィジョンの不穏な鋭さ、クラッシュの旺盛な好奇心と雑食性、セックス・ピストルズの不遜さと不敵さ、ストーン・ローゼズの陶酔するグルーヴ、プライ

          Kasabian / Kasabian (2004)

          Washd Out / Within and Without (2011)

          チルウェイヴ全盛の2011年、その”真打”による待望のデビュー・アルバム。 ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン自身の影響源であるアニマル・コレクティヴやディアハンターらを手掛けたベン・アレンをプロデューサーに迎えた本作は、チルウェイヴの起源たる傑作EP”Life of Leisure ”での親密なベッドルーム・ポップや揺蕩うドリーム・ポップ、アコースティックでオーガニックなサウンドが、より洗練され整理されたものとなっている。 根底ではベースやパーカッションの低音

          Washd Out / Within and Without (2011)

          Mr.Children / Atomic Heart (1994)

          シングル「CROSS ROAD」のミリオン・ヒットにより飛躍的に知名度を上げ、続く「innocent world」で大ブレイクを果たしたMr.Childrenが満を持してリリースした通算4作目のアルバムは、驚異的なセールス(350万枚近い売り上げはキャリア・ハイ)で当時の歴代最高記録を樹立するモンスター・アルバムとなった。 シングル曲に備わった強靭なポピュラリティだけでなく、詞は真摯な内省に加えて社会性を帯びるとともに毒気も増し、音楽性はローリング・ストーンズ風のロックンロ

          Mr.Children / Atomic Heart (1994)

          The Libertines / The Libertines (2004)

          2000年代UKロックの”救世主”ザ・リバティーンズのセカンド・アルバム。 このバンドはピート・ドハーティ&カール・バラーのソングライター/フロントマン・コンビの公私両面での関係性と悲喜交々のストーリーにおいて語られることが多く、実際本作でもドラッグ禍からの復活と失敗を繰り返し続けるピートと、彼のバンドへの復帰を待ち続けるカールとの間の愛憎入り乱れた感情が渦巻き、2人の心情とストーリーが詞にも如実に描かれている(それを2人が自ら歌っているってのも凄い)。 バンドの看板であ

          The Libertines / The Libertines (2004)

          Jeff Buckley / Grace (1994)

          30歳でこの世を去った夭逝のシンガー・ソングライター、ジェフ・バックリィが生前に遺した唯一のスタジオ・アルバム。 その神々しいまでに圧倒的に美しく凄みのある歌声は、同じく若くして亡くなった父、ティム・バックリィに勝るとも劣らない存在感を放っている。 時は1994年。USオルタナティヴ全盛の時代を感じさせるバンド・サウンドに、彼が影響を受けてきたというレッド・ツェッペリンのハードさと、レナード・コーエンのカヴァーとして有名な"Halleluyah"に代表される荘厳さを、孤高

          Jeff Buckley / Grace (1994)

          スピッツ / Crispy! (1993)

          初期3作が売れず、ヒットを狙いに行った4作目。 アルバム・タイトルはバンド名候補の一つから取ったのだとか。 その後のスピッツ黄金期の仕掛け人となった笹路正徳とバンドの共同プロデュースの下、本作において草野マサムネの書く曲はポップ方向に思い切って舵を切り、彼の脳内世界(と妄想)がより開かれたポップ・ソングとして表現されている。 一部オーバー・プロデュースとの評もあり、いかにも90年代J-POP風で時代を感じさせる部分もあるにはあるが、それでもここでハイ・トーンでクリアな儚さ

          スピッツ / Crispy! (1993)

          Michael Jackson / Off The Wall (1979)

          マイケル・ジャクソンの通算5作目のアルバムは、モータウンから移籍後初、そしてクインシー・ジョーンズと組んで初の作品で、マイケルのソロ・アーティストとしての本格的なキャリアの幕開けを告げた、”真のファースト・アルバム”ともいえる記念碑的な1枚。 自ら曲を作り、歌い、踊るマイケルが、クインシーが仕立てた流麗で洗練されたポップ・サウンドの上で美しく華やかに輝く。 当時流行のディスコ・サウンドもブラック・ミュージックとしてのあり方も一気に飛び越え、ソウルもファンクもR&Bも取り込

          Michael Jackson / Off The Wall (1979)

          Oasis / Definitely Maybe (1994)

          言わずと知れたオアシスのデビュー・アルバムにして、90年代UKロックを代表する名盤。 ソングライターでありバンドの大黒柱のノエル・ギャラガーは、ビートルズ〜セックス・ピストルズ〜ストーン・ローゼズと受け継がれてきた英国伝統のメロディとアティチュードをビッグでタフなアンセムに昇華させ、分厚いギター・サウンドで塗り込められた”ウォール・オブ・サウンド”は全編を通してハードでサイケデリック(ときにドラッギー)に鳴り響く。 そして英国ロック界に久々に出現したカリスマ、リアム・ギャラ

          Oasis / Definitely Maybe (1994)

          Arctic Monkeys / Humbug (2009)

          2000年代UKロックのトップ・バンドへと一気に駆け上がったアークティック・モンキーズが、盟友ジェームス・フォードに加えて、敬愛するクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムもプロデューサーに迎え、ヨシュア・トゥリーなどアメリカ西部のスタジオでレコーディングを敢行した3作目は、バンドの劇的な変化/深化を刻んだ新境地にして転換点のアルバムとなった。 1作目を更に激しくスピード・アップさせた2作目から一転、本作でのテンポは驚くほどスロウ・ダウン。ゆったりどっしりした

          Arctic Monkeys / Humbug (2009)

          XTC / Drums and Wires (1979)

          XTCの転機となった3作目。 本作からプロデューサーにスティーヴ・リリーホワイトを迎え、またデビュー当初からニュー・ウェイヴを象徴するような尖った音を鳴らしていたキーボードのバリー・アンドリュースが脱退し、器用で”従順”なギタリストのデイヴ・グレゴリーが加入している。 中心人物のアンディ・パートリッジは相変わらず変態ポップ・マニアぶりを見せているが、よりストレートでポップなソングライティングが光るコリン・モールディング作の4曲も負けじと存在感を放っている。 アルバム・タ

          XTC / Drums and Wires (1979)

          Red Hot Chili Peppers / The Red Hot Chili Peppers (1984)

          アメリカ西海岸を代表するロック・バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(RHCP)のデビュー・アルバム。 現在も在籍するお馴染みのメンバーはアンソニー・キーディスとフリーのみで、本作のレコーディング時には創設メンバーのヒレル・スロヴァクやジャック・アイアンズも不在だった。 ファンクを主体としたサウンドとラップ・スタイルの共存が特徴的だが、プロデューサーを務めたギャング・オブ・フォーのアンディ・ギルによる”80年代的”アレンジにメンバー自身が納得できず、彼らのエッジの鋭さ

          Red Hot Chili Peppers / The Red Hot Chili Peppers (1984)

          Bob Dylan / Another Side of Bob Dylan (1964)

          1964年6月9日に一晩で一気にレコーディングされたボブ・ディランの4枚目のスタジオ・アルバムは、タイトルどおりディランの"もう一つの側面"を示すとともに、次作以降のフォーク・ロック路線との「境界線」に位置する、地味ながらも重要な1枚。 1stのブルーズ、2nd〜3rdのフォークやプロテスト・ソングから、よりパーソナルに自身の内面を綴ったであろう抽象的で比喩的な詞を用いて、ロックを内包したフォーク・サウンドへの変化の兆しが見られる(現にザ・バーズは本作から複数のカヴァーをす

          Bob Dylan / Another Side of Bob Dylan (1964)