スピッツ / Crispy! (1993)
初期3作が売れず、ヒットを狙いに行った4作目。
アルバム・タイトルはバンド名候補の一つから取ったのだとか。
その後のスピッツ黄金期の仕掛け人となった笹路正徳とバンドの共同プロデュースの下、本作において草野マサムネの書く曲はポップ方向に思い切って舵を切り、彼の脳内世界(と妄想)がより開かれたポップ・ソングとして表現されている。
一部オーバー・プロデュースとの評もあり、いかにも90年代J-POP風で時代を感じさせる部分もあるにはあるが、それでもここでハイ・トーンでクリアな儚さ香る草野のヴォーカルを、ポップなメロディと並ぶ”看板”に据えたことは意義深い。
新機軸としてAORやファンクなども織り込みながら、スピッツ流ポップ・ミュージックがよりわかりやすい形で輝きを見せている。
アルバムはすぐにセールスには反映しなかったものの、シングル曲のヒットをきっかけにその名は徐々に知られるようになり、まもなく彼らは人気バンドの仲間入りを果たす。
朝から雨が降り、午後から晴れ間が差し込んだ週末。
日が落ちるのも早くなってきたな…。
8月も今日で終わり。
ということで、スピッツ流ソフィスティケート・ポップスの名曲「夏が終わる」が収録されたこの盤を。
明らかにポップ路線に踏み出した本作は、メインストリーム・ポップ寄りのサウンドの味付けもあって、クセなく楽しめるものとなっている。
コーラス部分の作りがキャッチーでありながら巧みで、ありそうでなかったポップ・ソングをいくつも生み出している印象。
10曲44分という尺もちょうどよし。
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