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夜のカフェで会いましょう

「あー、もう15分も遅れている。」

仕事がなかなか終わらなかった僕は、急いでロッカーを開けると、
ちょっとばかりシャレたジャケットを羽織って

駆け足で待ち合わせ場所まで急いだ。

🔽音楽聴きながら読んでみて♬

あやしくオレンジ色の明かりが照らす店内の
暗がりの中をかき分け 君がまつその席へ向かう。

そこは、さっきまでの慌ただしい雑踏がウソのように、
まるで異次元に迷い込んでしまったかのような

しっとりとした大人の中の大人が集う
そんな場所だった。

スローテンポのピアノジャズが夜の帳を破るかのように
時折軽快なリズムを刻んでいる。

「ずっと来てみたかったの。
だから、一緒にこれてうれしいな。」という君の瞳は、

店中にあるキャンドルのゆらゆらと揺れる小さな炎の
揺らめきをも吸い込むように、
瞳が大きく見開き、そんなこと言われなくても、
楽しそうなんてのは明らかだった。

ナイトカフェなんて初めてだったけど、
僕は、そんな君にちょっとでもいい格好をしたくて、
あたかも慣れているというような表情を演じていた。

彼女は、いつもなら着ないようなちょっと肩の開いた、
ぶどう酒いろのドレスを着ていたんだけど、
ベルベット調のやわらかな光沢と質感が今夜のこの雰囲気に
ピッタリすぎて、
本当に目の前にいるのは自分の彼女なのかと思い始めていた。

「ねぇ、踊らない?」と唐突になげかけられた誘いに、
僕は凄く戸惑ったけれど、ここで踊らないのはなんか違う気がして、

ぎこちなく彼女の手をとり、ゆっくりとフロアーの中央付近へと向かった。

僕の戸惑いを察した彼女が、さり気なく僕の手を彼女の腰に導いた。
彼女の腰を抱くのなんて、初めてなわけないのに、
僕はちょっとだけ緊張してしまって、腕に力が入った。

周りにいる恋人たちは、メロウな流れるメロディに溶けあうように、
お互いを見つめながら頬をよせ踊っている。

沢山の人がフロアーで踊りひしめき合っていたけど、
個々の恋人たちは、もう何も見えていないそんな雰囲気だった。

だんだんと僕の緊張もほぐれ、次第にピアノの調べを心で感じ、
楽しめる余裕が出てきた。

普段髪を結うなんてことをしない君の首すじが目に入り、
今更ながら色っぽいなと見とれていたんだけど、

気付けば僕は思わず、その白くてやわらかな部位に、
ちいさく口づけをしていた。

君はちょっとだけ驚いた様子を見せたけど、
恥ずかしそうに下を向き見せたはにかんだ笑顔は、
たまらなくかわいかった。




やがてダンスはおわり、美しい奏を遠くに聴きながら、
極上のひと時をくれたナイトカフェを背に、ゆっくりとあるき出した。

僕の隣にいる彼女は、そんな音楽の魔力なんかなくっても、
いまだとびっきりに綺麗で、
いつまでもとけない魔法にかかっているような気分になった。

僕は、ゆらゆらと儚げに歩く君の肩を抱き、
ほのかに火照った体温を感じながら、
幸せを噛み締めていた。


🔽このストーリーに音が欲しかった私の夢をあらぱぱさんが叶えてくれたの。ここから、ふらも勉強して、こういう動画もお届け出来るようにがんばるわ♡



作者:flyhigh(ふら)


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