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生きるように働く社会をつくる【LC採用記事#2】

こんにちは。『Local Coop』事務局の本間と申します。
noteをお読みいただきありがとうございます。

この記事では奈良県奈良市・三重県尾鷲市で進めているプロジェクト『Local Coop』で実現したい新しい働き方についてお伝えさせていただきます。

『Local Coop』についてはこちらの記事をご覧ください。

【お知らせ】
『Local Coop』では、地域おこし協力隊として現場に入っていただく方を募集しています。記事の最後でご案内も行っていますのでぜひご覧ください。


「働く」ってなんだろう

わたしたちの考える「新しい働き方」を語る前に、「働く」という言葉の意味について考えてみます。

皆さんは「働く」に対してどのようなイメージを持ちますか?
「会社や組織に勤めてお金をもらうこと」
「家事など家のことをやること」
「誰かの課題を解決して対価としてお金をもらうこと」
などでしょうか。

辞書を引くと以下のような意味を持つようです。

はたら・く【働く】
① からだを動かす。動く。
② 行動する。ふるまう。
③ 努力して事をする。精出して仕事をする。労働する。
④ 特に、戦場で活躍する。また、出撃する。
⑤心などがゆれ動く。動揺する。
⑥ 精神などがよく活動する。機転がきく。
⑦ 役に立つように用をする。効果をあらわす。
⑧ 他人のために努力する。他人のために奔走する。
⑨ 他にある力を及ぼす。作用する。
⑩ 用言や助動詞の語形が変化する。活用する。

精選版 日本国語大辞典より

「働く」にはたくさんの意味がありますが、同時に「対価として何かをもらうこと」はその意味に含まれていないことがわかります。しかし、現代においては「働く」ことは対価をもらうこと(その多くはお金)とセットで考えられることが多いのではないでしょうか。

「仕事」と「稼ぎ」

哲学者の内山節は東京と群馬県上野村の二重生活を続ける中で、日本の伝統的共同体における労働観を以下のように語ります。

あるとき村人が言った。「これから仕事に行ってくる」。またあるとき村人は言った。「これから稼ぎに行ってくる」

私が感心したのは、「仕事」と「稼ぎ」というこのような労働の使い分けである。特に意識することもなく、村人はこのふたつの言葉を使い分ける。何を「仕事」と呼んでいるのかというと、村の循環系のなかに成立している交通とともにある人間の働きがそれにあたる。たとえば畑仕事、山仕事。それらは自然と人間の循環的な交通のなかにある労働である。そして寄合いとか、〔中略〕さらに助け合い、病人の世話に行く。そういった循環系のなかの人間と人間の交通も「仕事」である。それは村に暮らす人間が引き受けなければ村の持続と循環が維持できなくなる、そのような労働のことである。

それに対して「稼ぎ」は、文字どおり、稼ぐということ以外には動機がみつからないような労働である。それは共同体を維持する循環的な交通とは関係のない労働であり、しなくてすむのなら共同体の暮らしにとっては必要のない労働である。〔中略〕もちろん「仕事」の結果が収入になることは全くかまわない。だが収入を目的として労働が投下されるときは、その労働は村の循環系の交通からは離れているのであり、他に十分な収入があるのならしなくてもよい「稼ぎ」なのである。
〔中略〕

「仕事」と「稼ぎ」のどちらかを否定するのではなく、両者のバランスを上手にとっていかないとうまくいかないのである。「稼ぎ」を否定してしまえば生活が成り立たなくなり、逆に「仕事」を否定すれば村がこわれてしまう。こうして村人は、「仕事」を「稼ぎ」より上位におく、しかしけっして「稼ぎ」も否定しない精神の習慣をつくりだしていったのではないだろうか。

内山節「『自然と労働』についての方法の問題 群馬県上野村をとおして」より

つまり内山は、働くことには2つの種類
「共同体を持続するための労働」=「仕事」
「収入を目的とし、共同体の持続とは関係のない労働」=「稼ぎ」
があり、それぞれバランスをとりながら「仕事」を「稼ぎ」より上位におくことで共同体が維持される。ということを唱えました。

前回の記事で触れさせていただいたように、わたしたちが生きるために必要な公共財やインフラ(水道・電気・ゴミ・交通・買い物等)自体が崩れようとしている中、「稼ぎ」だけではない「仕事」にも目を向けることで必要なのかもしれません。

生きるように働く

わたしたち『Local Coop』で目指すのは「働く」ことを「仕事」に近づけることであり、「働く」ことがその地域で「生きる」ことに直接繋がるような未来です。

そして、共同体の一員となり「仕事」として地域の持続に貢献しながら、一人ひとりの創造性や経験を存分に生かして「稼ぎ」も行う。そんな働き方のロールモデルづくりでもあります。

わたしたちの労働の多くを占めるであろう「稼ぎ」は、デジタル化・リモート化といったテクノロジーの進歩により効率化が進みました。それによって生まれた時間を、 更なる「稼ぎ」に使うのではなく、「仕事」として共同体を支えることに使ってみませんか?

自分の居場所を複数得られること

そして、こうした働き方は豊かさを手に入れるチャンスとなります。

「仕事」と「稼ぎ」を両立する働き方は、金融資本だけではない社会関係資本や自然資本を増幅することであり、複数の居場所で複数の役割をもつことでもあります。

1つの共同体に依存することなく、複数の共同体を行き来することは、どこか生きにくいこの世界を自由に生きるコツなのかもしれません。

人材募集中!!

ここまでお伝えしてきた新しい働き方を実現する『Local Coop』では、第1弾として、奈良県奈良市月ヶ瀬・三重県尾鷲市で実証を行っており、地域おこし協力隊として現場に入っていただく方を募集しています。

奈良市月ヶ瀬では、地域内を循環するコミュニティバスの運行と資源ゴミの回収という、暮らしに必要なインフラの運用からスタートし、実践を通してより広い範囲のインフラづくりや共助サービスの可能性も同時に検討していきます。

尾鷲市では、豊かな森林を守りながら、その自然環境をキャンパスとした学びの場をつくることで、100年後も続いていく地域をつくることが目的です。まずは、森林の維持・保全を行う役割、そして、新たな「学校」(フリースクール)の設置準備を担う人を募集します。

そして、それぞれの地域で「仕事」として取り組んでいただきながら、自身のクリエイティビティを存分に発揮し、他の「稼ぎ」「仕事」にも挑戦できる環境を整えていきたいと考えています。

求める人物像

どちらの地域のプロジェクトも今はまだない新しい仕組みをゼロからつくっていく取り組みです。求める人物像としては以下のような方を想定しています。

<求める人物像>
■ Local Coop構想に興味関心がある方
■構想を理解し、思考と実践の行き来ができる方
■既存の枠組みに捉われず、新しい働き方を実践してみたい方
■現場に入り、手足を使った実務に前向きに取り組める方

Local Coopのメンバーとして、これらのプロジェクトを一緒に立ち上げていく人を探しております。興味がある方はこちらのリンクをご覧いただき、説明会にご参加ください。

採用説明会のお知らせ ※日程追加しました

Local Coop採用説明会(奈良県奈良市・三重県尾鷲市)
2月8日(木) 20:00-21:00
2月14日(水) 20:00-21:00
2月22日(木) 20:00-21:00

3月4日(月) 20:00-21:00  
3月13日(水) 20:00-21:00
オンラインにて開催。お申し込みはこちら

関心を持ってくださったすべての方へ

今回は奈良県奈良市月ヶ瀬・三重県尾鷲市の現場に入りLocal Coopを立ち上げるメンバーの募集ですが、今後はより多様な方々に関わっていただきたいと考えています。

今回の募集に限らず『Local Coop』の考えに共感する方、関心がある方は、100年後も地球と生き残る道を見出したいひとたちが集うコミュニティ『Sustainable Innovation Lab(SIL)』のDiscordサーバーへご参加ください。

Discordでは、『Local Coop』に関する情報発信、ディスカッションなど通じて、これからの自治について議論を深める場をつくっていく予定です。皆様のご参加をお待ちしております。


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