見出し画像

暮らしたい地域で暮らし続けるための取り組み『Local Coop』について【採用記事#1】

はじめまして。『Local Coop』事務局の本間と申します。

この記事では、私がコミットしている『Local Coop』というプロジェクトについてお知らせさせていただきます。多くの人にプロジェクトを知ってもらう機会となり、興味を持っていただけたら嬉しいです。

【お知らせ】
『Local Coop』では、現在採用募集を行っています。
記事の最後でご案内も行っていますのでぜひご覧ください。

目次


『Local Coop』とは?

まず、『Local Coop』とはどういったプロジェクトなのでしょうか。
公式サイトでは、「新しい共同体OS」とか「自治の再設計」といった言葉が並んでいますが、ここではもっと平易な言葉で説明することに挑戦してみたいと思います。

『Local Coop』は端的にいうと『地域の人口が減少してもそこで暮らし続ける為の仕組み、それを実現するための組織・構想』です。もしくは、自分が暮したい地域で暮らすことを選択できる自由や、地域に残る自然や文化といった小さくても多様な価値を残していく為の取り組みとも言えます。

人口減少という構造的問題

最近、日本の人口が47都道府県すべてで減少したことがニュースになっていましたね。読んでいただいている皆さんが生まれ育った地域でも、都道府県単位で見ると人口が減少してしまっているのが日本の現状です。

では、地域の人口が減ってしまうとどんなことが起きるのでしょうか。

まず、自治体が提供する公共サービスが持続できなくなります。
水道の蛇口をひねれば水が出てきて、ごみは回収され、道路の穴は補修される。わたしたちは、こういったサービスをあまり意識することもなく、当たり前のように利用しているかと思います。(私もそうです。)

当たり前のことですが、これらのサービスは税金によって運営(もしくは補助)されています。人口減に伴い税収減が見込まれる自治体では、これらの公共サービスが維持できなくなってしまいます。すでに、過疎化が進んでいる地域では公共交通の停止や行政窓口の縮小など、自治体としての機能が縮小しています。

また、民間企業が提供するサービス・商品も同様です。
人口が少なくなった結果、民間企業は経済的合理性の観点から撤退を余儀なくされてしまいます。スーパーが撤退し買物難民が発生してしまうというニュースもよく目にするようになりました。

これらはもちろん、公共サービスを縮小する自治体が悪いわけでも、撤退した民間企業が悪いわけでもありません。人口減少というこの国全体で起きている構造的な問題によって、暮らしたい場所で暮らし続けることが難しくなってしまっているのです。

だからこそ、わたしたちは暮らし続けたい地域を自分たちで守ること、すなわち、「自治」を取り戻す必要があるのです。

自治という言葉の意味

ここで改めて「自治」という言葉について考えてみます。
辞書を引くと以下のような意味を持つようです。

じ‐ち【自治】〘名〙
① 自分のこと、あるいは自分たちのことを自身で処理し治めること。
② 自然に治まること。
③ 地方公共団体が、その範囲内の行政・事務を公選された人によって行なうこと。地方自治。

精選版 日本国語大辞典より

①にもあるように「自分たちのことを自身で処理し治めること」が自治の本来の意味であることがわかります。ところがどうでしょうか。私を含め、多くの人は、自治を(主に自治体に)アウトソースして生活しています。(辞書でいう③)

そのように、自治をアウトソースし続けた結果、自治体の縮小・消滅と共に自分もその地域で暮らすことができなくなる。そんなことが起きようとしているのです。

共助の必要性

それでは、どうすればアウトソースしてしまった自治を取り戻し、暮らしたい地域で暮らし続けることができるのでしょうか。ヒントは共助、つまりは住民同士の助け合いにあると考えています。

きょう‐じょ【共助】〘名〙
① 互いに助け合うこと。互助。
② 裁判事務について、司法機関が互いに必要な補助をすること。司法共助。
③ 行政機関の間で行なわれる協力・援助の関係。

精選版 日本国語大辞典より

たとえば、ごみ処理における共助を考えてみます。
ごみを毎週決まった日に出して回収してもらう、というのは多くの方にとって当たり前のことですが、当然ながら、ごみの処理にはお金がかかっています。ごみを回収し、焼却し、埋め立てる。これらは自治体として年間数億〜百億円単位でコストをかけて運営されています。

人口減に伴う税収減が前提となった中、こうした公共サービスの維持が難しくなっているのはここまでお伝えしてきました。では、それを共助型の仕組みで運営するとどうなるでしょう。

1つの可能性として、地域に100箇所あったごみ置き場を20箇所まで減らし、さらにより細かい分別をするというアイデアについて考えてみます。当然、家の近くで捨てることができた住民にとっては面倒な作業になるでしょう。細かく分別するのもひと苦労です。ですが、これによりごみの回収効率は上がり、分別することで焼却コストを下げることができます。もしくは、分別したごみの一部は資源となりそこから収益を生むこともできるかもしれません。

"ごみを捨てる"という習慣をやりがいがあって楽しいアクティビティに変えていくことで、地域のコミュニティを育てるという効果につながることも考えられます。

私たちは、経済の成長や文明の発展とともに、便利で快適な生活を手に入れました。それは大変素晴らしいことだと思っています。しかし、大きくなり過ぎたシステムは画一性を求め、地域のコミュニティなどを筆頭に、多様な価値観は次々と失われてしまいます。

地域の持続性が危機に瀕している今こそ、ちょっとだけ面倒なことも人生の豊かさであると捉え直し、共助による地域コミュニティの再生が必要なのです。

こうした活動の積み重ねこそが、自分たちのことを自身で処理し治めること、つまりは自治を取り戻し、暮らしたい地域で暮らし続けることに繋がっていくのだと考えています。

そんな住民同士の助け合いを後押しするための仕組み『Local Coop』を、さまざまな民間企業や自治体とも連携しながらつくっています。

具体的に何をするのか?

それでは、具体的にはどのようなことをしていくのでしょうか。
『Local Coop』には、
(1)税金に頼らない資金を調達し、
(2)地域に必要なサービスを共助型として創出し、
(3)住民主体の組合型組織で意思決定を行う、
という3つの機能があります。以下で順番に説明していきます。

1.税金に頼らない資金の調達

ごみ処理の例にもあったように、暮らしに必要なサービス維持するためにはお金が必要です。『Local Coop』では税収だけではない資金調達を行います。

たとえば、地域に数多ある自然資源に着目します。世界的な気候変動問題の中で、森、海をはじめとする自然が持つ価値が見直されています。わたしたちは自治体と連携しながら、今後需要が高まると言われているカーボンクレジット(※)の創出〜販売を支援し、域外の企業や個人の関与と投資を促進するプロジェクトを立ち上げました。(詳細はこちら)これにより、自然資源の保全・再生・増幅することが地域経済にも有益な状況をつくることを目指しています。

このように、『Local Coop』では地域にある資源や可能性を信じて域外から新たな資金調達や関係人口を創出します。

※ カーボンクレジットは、認証機関から認定された二酸化炭素削減プロジェクトを通じて、大気中から削減、回避、または除去された二酸化炭素換算量 t-CO2(トン)を表す証明書です。

SINRA White Paperより

2.地域に必要なサービスを共助型として創出

『Local Coop』は、地域に必要なサービスを共助型として創出します。ここでいう共助型とは、住民同士の助け合いを前提とすることを意味します。

スーパーで買い物をし、出たごみの処分をする。これらはわたしたちが暮らし続けるために必要なサービスであり、どれもが企業や自治体によって提供されています。しかし、企業や自治体が一方的にサービスを提供し続けるというモデルは、人口減少とともに持続ができなくなっています。

ですが、住民同士の助け合いによって、みんなが少しずつ負担をし合うこと(つまりは企業にとってのコストカット)で持続できる方法があるはずです。『Local Coop』は自治体や地域内外の民間企業と連携しながら、人口減少時代における共助型のサービスを創出します。

3.住民が地域自治に参加しやすくなる仕組み

では、上記でご説明してきた機能を誰が運営していくのでしょうか。それは、他の誰でもないその地域で暮らす住民の方々です。

『Local Coop』を実現する各地域では『一般社団法人Local Coop(地域名)』という法人を設立します。その法人は住民主体によって運営される組合型の組織となります。住民が『一般社団法人Local Coop』に参加し、地域の課題や得た資金の使い道を議論しながら意思決定を行います。

もちろんこれらは簡単なことではありません。
今までは地方自治体や選挙によって選ばれた人によって決められてきたことを、自分たちで考え議論し決めていく必要があります。(間接民主主義ではなく直接民主主義を行うという言い方もできます。)一方、第三者である行政に期待しても変えられなかったことを、住民の意思によって変えることができるチャンスでもあります。

私たちはこの仕組みを地域でつくる立ち上げメンバーを募集しています。

人材募集中!!

ここまでお話ししてきた『Local Coop』の第1弾として、奈良県奈良市月ヶ瀬・三重県尾鷲市で実証を行っており、地域おこし協力隊として現場に入っていただく方を募集しています。

奈良市月ヶ瀬では、地域内を循環するコミュニティバスの運行と資源ゴミの回収という、暮しに必要なインフラの運用からスタートし、実践を通してより広い範囲のインフラづくりや共助サービスの可能性も同時に検討していきます。

尾鷲市では、豊かな森林を守りながら、その自然環境をキャンパスとした学びの場をつくることで、100年後も続いていく地域をつくることが目的です。まずは、森林の維持・保全を行う役割、そして、新たな「学校」(フリースクール)の設置準備をする役割を担う人を募集します。

求める人物像

どちらの地域のプロジェクトも今はまだない新しい仕組みをゼロからつくっていく取り組みです。求める人物像としては以下のような方を想定しています。

<求める人物像>
■ Local Coop構想に興味関心がある方
■構想を理解し、思考と実践の行き来ができる方
■既存の枠組みに捉われず、新しい働き方を実践してみたい方
■コミュニティバスの運転や資源ごみ回収といった実務に前向きに取り組める方

Local Coopのメンバーとして、これらのプロジェクトを一緒に立ち上げていく人を探しております。興味がある方はこちらのリンクをご覧いただき、説明会にご参加ください。

採用説明会のお知らせ ※日程追加しました。

Local Coop採用説明会(奈良県奈良市・三重県尾鷲市)
1月24日(水) 20:00-21:00
3月4日(月) 20:00-21:00
3月13日(水) 20:00-21:00

オンラインにて開催。お申し込みはこちら

関心を持ってくださったすべての方へ

今回は奈良県奈良市月ヶ瀬・三重県尾鷲市の現場に入りLocal Coopを立ち上げるメンバーの募集ですが、今後はより多様な方々に関わっていただきたいと考えています。

今回の募集に限らず『Local Coop』の考えに共感する方、関心がある方は、100年後も地球と生き残る道を見出したいひとたちが集うコミュニティ『Sustainable Innovation Lab(SIL)』のDiscordサーバーへご参加ください。

 『Local Coop』に関する情報発信はもちろん、コミュニティ内でのディスカッションなども行う予定です。皆様のご参加をお待ちしております。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?