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Think Action!vol.01 - with KEEN -

クリエイターとして活動しながら、より良い未来のために出来ること。私に出来ることは何なのか?どんな方法があるのか?各ブランドの取り組みを通して、一緒に考えてみましょう。

今回はアウトドアシューズブランド「KEEN」のインタビューをお届けします。環境負荷の少ないモノづくりや環境保護・災害支援などさまざまな取り組みを「KEEN EFFECT(キーン・エフェクト)」と呼び、それを推進するKEEN。現在行っている取り組みや未来について聞いてみました。

Hints of Thinking
▶︎「KEEN EFFECT」とは?生まれたきっかけは?
▶︎  靴づくりにおいて、大切にしていることは?
▶︎  KEENが目指す未来とは?

■KEEN EFFECTの始まり

ーKEENのCSR活動「KEEN EFFECT(キーン・エフェクト)」が始まったのはいつからですか?

井上さん:
KEENは2003年の設立時から、世界を少しでもよくしていきたいという思いのもと様々な活動をしています。企業理念に「Do the right thing」を掲げ、「自分たちが正しいと思ったことをまず行動に移す」という姿勢を貫いています。

それを良く現しているエピソードが、2004年に起こったインドネシアのスマトラ沖地震の話。当時、広告費用として1億円を用意していましたが、スマトラ沖地震の報道を目の当たりにした創業者のローリー・ファーストは「広告に1億円も使っている場合ではない」と、その場で全額災害支援に充てると決めました。そして、顧客に対して下記の広告を出しています。この経験がKEENの社会貢献活動の原点となっています。

「これからしばらくの間、KEENは皆様に会えません。」というキャッチコピー。災害支援のため広告が出せなくなりましたが、津波災害は私たちにいくつかのことを教えてくれました…というような内容が書かれています。

ー具体的にどんな取り組みをされていますか?

井上さん:
KEEN EFFECTは「CONSCIOUSLY CREATED   地球と人にやさしいツクリカタ」「PROTECTING THE PLANET 地球を守ろう」「PROMOTING TOGETHERNESS みんなで世界をポジティブに」の3つを柱として展開しています。

CONSCIOUSLY CREATED   環境負荷の低減」は後ほど説明する素材や製法に関する話も当然含まれますし、社員が働く環境など製造工程に関わる全ての部分で出来ることをしています。

PROTECTING THE PLANET   地球を守ろう」は全ての人たちが暮らし・働き・楽しむ場所の環境を守り保護する市民活動の現場を共に担うこと。国内の取り組みとしては、2019年には沖縄県・西表島の文化・自然の継承保護を目的に「Us 4 IRIOMOTE 」プロジェクトを立ち上げました。

PROMOTING TOGETHERNESS  みんなで世界をポジティブに」は、パートナーNPOなどと一緒に災害支援活動や環境保護活動などを行っています。

KEEN EFFECT 推進担当の井上さん。全ての取り組みについて、丁寧に説明してくださいました。

■環境負荷軽減×ものづくりの考え方

ー「CONSCIOUSLY CREATED   環境負荷の低減」のために、KEENが行なっている靴作りにおいてのこだわりは何ですか?

山﨑さん:
靴づくりにおける環境負荷の低減に置いて、KEENが最初に取り組んだことは撥水加工を変えることでした。
一般的に撥水加工に使われているPFAS(有機フッ素化合物の総称)は発ガン性を含め、多くの健康被害を引き起こす可能性があります。成分が流出しても分解されず長期間残るため、動物や環境にも悪影響。そこでPFASを使用しないために、2014年から環境負荷のない独自の撥水加工の開発を始め、7年かけて「PFAS-FREE(不使用)」の技術を開発しました。現在ではKEENの全てのシューズが「PFAS-FREE」になっています。

PFAS-FREEは長い時間と費用を費やして開発した技術なので、本来は特許申請できるもの。しかしKEENはその過程のすべてを「GREEN PAPER」として公開した。
業界全体のPFAS-FREEの推進のために。

レザー素材にも規定を設けていて、「レザーワーキンググループ(LWG)」という認定工場で作られてるものしか使わないようにしています。これはレザー素材を作る過程において、環境負荷が少ないものを選択するためです。レザーの製作過程で人体に悪影響のものを使ってないか、環境破壊に繋がる背景が無いかなどを確認しています。

単にリサイクル素材を使うだけではなく、目に見えない部分、靴づくりに関わる全てのこと(素材や材料が作られる過程・背景など)を細かく確認して選択しています。

プロダクトラインマネージャー(TOKYO DESIGN CENTER)の山﨑さん。KEENのものづくりのこだわりについて、分かりやすく説明して頂きました。

また、「長持ちする靴を作る」ことも、心がけていること。壊れやすいものを作り続けるのはエコでは無いですよね。現在、地球上では人口80億人に対して年間246億足の靴が作られているというデータがあります。その中には使い捨ての靴や寿命が短い靴もたくさんある。廃棄が多いことは二酸化炭素を発生させることにも繋がります。そういった意味でも、「長持ちする靴を作る」ことはとても大切なことだと思います。

石川さん:
ものを作っている時点で、環境に対してはエコじゃないんですよね。作っている時点で何かしらの影響は出てしまいます。だからこそ根本から考えて作る責任がある。素材だけでなく、見えない部分にもこだわっている理由はそこにあります。

■KEENが目指す未来

ー個人で活動しているクリエイターにおいて、環境負荷軽減に関する新しい技術や素材を全て取り入れることは難しいというジレンマがあります。そういったクリエイターへのメッセージはありますか?

石川さん:
KEENがPFASフリーを実現するまでに7年かかっています。最初から完璧にすることは何においても無理だと思います。でも、そこで諦めずにコツコツやるブランドがKEENだと思います。出来ないことは当たり前。そこからどう成長して行くのか?進化していくのか?それがKEENブランドのEthos(精神)だと思います。

災害が起きた時にもKEENのEthosを感じます。災害支援には社員も参加します。「何をどうしていいかわからないけれど、何かできることをしたい」という思いで、災害支援NPOと連携のもと、現場に行くんですよね。

何に置いてもできることからやっていって、小さな積み重ねが大きな変化になって行く。それがKEEN EFFECTだと思っています。ポジティブな変化を色々なところで作っていくことが大切。モチベーションが下がる時もあるし、進み方が分からなくなる時もあるけれど、仲間を増やし、一緒に考える人を増やし、みんなで一緒にやることを大切にしています。

Insight&Engagementの石川さん。お人柄からもKEENブランドの仲間や想いを大切にされていることが伝わってきました。

ーKEENが目指しているのはどんな未来ですか?

井上さん:
冒頭の3つの柱がKEENというブランドを表していると思います。中でも「TOGETHERNESS」をすごく大切にしているんです。
KEENは創業21年のまだまだ若い会社で、とても小さな存在だと思っています。だからこそ、協力してくれる仲間の力を借りながら進んでいきたい。
KEENの発信することや想いに共感してくれた仲間と協力し合って、実現していきたいです。

石川さん:
そもそもKEENはシューズメイカーであり、ものづくりをするブランドです。シューズづくりをどう良くして行くか。どう変えて行くか。ここを意識しながら、ブランドを成長させていきたいと思っています。

KEENが目指しているものは「地球に配慮したものづくりをすること」。この実現にはKEENだけではなく、業界全体が良くならないと意味がない。「TOGETHERNESS」という言葉通り、仲間と協力し合っていくことが必要です。

そういったKEENの想いに参同してくれる仲間のために、KEEN MAKERというステートメントが立ち上がりました。KEENのシューズを履いている1人1人が「KEEN MAKER」であり、「〇〇 MAKER」です。〇〇はみなさんが大事にしていることや世の中に与えていきたい影響など、自由に考えてみてください。多くの仲間と一緒に、KEEN EFFECTを起こしていきたいと思っています。

左から 山﨑さん(プロダクトラインマネージャー(TOKYO DESIGN CENTER))、石川さん(Insight&Engagement)、井上さん(KEEN EFFECT推進)

Think Action !
・今日、あなたが出来るKEEN EFFECTは?
・あなたがKEENの仲間になるとしたら。何MAKER?

Website ( KEEN ):https://www.keenfootwear.jp/
Instagram ( KEEN ):@keen_japan


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Director:Mayu Yoshimura
Designer:Yoko Owada
Photographer:Riki Saigo
Planner&Writer:Yukiko Maeguchi


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