ぼくの栄光 #1「老人と栄光」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章
白い雪がちらつく冬の海。海岸の向こうには荒野が広がる。からっ風がごうごうと音を立てながら砂の上を吹きすさぶ。乾いた大地のところどころに家が集まり集落をつくる。どんよりとした雲が屋根の近くまで垂れこめている。
集落のはずれに木造建ての病院がある。四階の角部屋に横たわる年老いた男。板のような硬いベッドの中で大きな目をぎょろつかせている。
看護師が部屋に入ってくるなり、男は怒鳴りつける。
「とっとと出ていけ! どうせ早く死ねばいいと思っているんだろう!」
たちすくむ看護師の