見出し画像

ぼくの栄光 #10「15年ぶりの里帰り」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章

ぼくは15歳で夢の国にやってきて、15年以上を過ごしてきた。はじめて夢の国の土を踏んだ時は母国に帰らない覚悟だった。ぼくはレストランを経営し、結婚して息子が生まれた。ぼくは夢の国の住人になれたと思った。ところがぼくが掴んだ栄光は一瞬の花火のように消え去った。ぼくの人生は振り出しに戻った。夢の国に船でやってきたぼくは、飛行機で母国に帰ってみることにする。


母国はすっかり様変わりしている。夢の国に負けないような高層ビル群。かつて町のあちこちで見かけたドヤ街や掘立小屋は跡形もない。女たちの足は細くなり、男の髪の毛は長くなった。母国にいたら大金持ちにはなれないと焦った過去が嘘のようだ。久しぶりに母国の土を踏んだぼくは母親に会いに行く。

母親はぼくの顔を見ても驚かない。

「おやおや、とうとうしっぽを巻いて帰ってきたのかい」

「頼みたいことがある。うちの親戚に修行をしている人がいただろう。会いに行きたいんだけど」


ぼくは住所を教わり、親戚の行者に会いに行く。ぼくは本格的に力をつけたい。ぼくは特別な修行を教わることを許可される。子供の頃に通った道場にも行ってみる。今ではぼくの先輩が館長になっている。ぼくはさっそく武道で汗をかく。母国の武道は格別だ。


ぼくは夢の国と母国を行ったり来たりするようになる。飛行機の移動は乗り換えもあって長時間だ。決して楽ではないが、忙しい方が気が紛れた。二つの国を行き来するぼくに、母親が言う。

「おまえは母国の女性と結婚して、落ち着く方がいい。知り合いのお嬢さんとお見合いをしてみない?」

「お母さん、ぼくはまだ正式に離婚していないんだよ。お見合いなんてできるわけがない」

「おまえはじきに離婚する。ちょっとぐらい被ったって構わないじゃないか」

ぼくは呆れる。しかし母親が勧める女性にも興味を持たずにはいられない。


ぼくは弁護士を介して離婚の話を進める。豪邸も財産もすべて妻と息子に与えることにする。ぼくはレストランを手放すことにした。ぼくと同じ頃に子供が生まれたチーフが店を買い取りたいと言う。ぼくは書類にサインをしてチーフに店を譲る。ぼくは夢の国で手に入れたものを全て手放した。ぼくはむしろ清々している。すべてを手放したということは、すべての可能性をふたたび手に入れたということだ。これは勇気ある撤退なのだ。


…#第四章へつづく。


◆現在公開中の連載はこちらからまとめてご覧いただけます。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。


◆連載小説「ユニバーサル・カバラの物語」が本になりました!

『カバリスト ぼくの成功物語〜永遠の生命の木の謎〜』(上巻) 発売中 


小説だけもいいけれど、裏側を知るともっと面白い! 物語の裏に秘められた神秘の教え「カバラ」の奥義を解き明かす解説つき。カバラを学ぶ人、そして真理を探求する人に必携の一冊です。

画像1

モダンミステリースクール 形而上学BOOKシリーズ
「カバリスト ぼくの成功物語」〜永遠の生命の木の謎〜 
イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

ご購入はこちらから

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

MMSグレー画像

★LINE友達限定!毎週金曜日「星読みまどかのNEW LIFE星占い」配信中★

画像3

「新時代」の生きかたマガジン―「NEW LIFE」は、
“理想の新しい世界”を本気で希求する、
すべての人に向けたオンラインメディアです。

銀河レベルのぶっちぎりに新しい情報で、
誰もが本質を生きる時代を目指し様々な記事を発信予定。

更新情報はライン公式でお知らせしています。

画像4




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?