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ぼくの栄光 #5「特別な力を求めて」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章


ぼくはやがて大勢の人を教えるようになると大聖人が言った。まさかとは思うけれど、大聖人のセリフが耳から離れない。ぼくは一番になるためにこの国にやってきた。ぼくがもっと成功するためには大聖人のような特別な力があるといいのに。だからぼくは修行を始めることにする。

ぼくは大先達のもとへ向かう。大先達は過酷な修行を修めたことで知られている。髪を金髪に染めてすっかりこの国の人になりすましたぼくを見て、大先達は言う。

「君は何を求めてこの国にやってきたのだ」

ぼくは答える。

「成功するためです」

「成功とはお金のことか。名誉のことか」

「全部です」

さらなる成功を手に入れるために、ぼくは修行をはじめる。


ぼくの生まれた家は古代からの教えに通じている。ぼくはコネを利用して特別に修行を修めることを許される。これでぼくは選ばれた人間になることができる。

この世界では普通の人間のことを凡夫と呼ぶ。ぼくは凡夫のままで人生を終わりたくはない。ぼくは悟りを目指して修行する。特別な手の形、特別な言葉、視覚化を毎日おこなう。

ぼくの毎日はますます忙しい。仕事と家庭に時間を取られながらも修行のための時間を捻出する。誰もいなくなった深夜のレストランで修行に励む。とにかく覚えなければならないことが沢山あった。明け方になると倒れこむようにしてレストランの床で寝る。目覚めると急いで家に帰り、シャワーを浴びて赤ん坊の世話をする。

妻は不平を言う。

「せめて休みの日は修行しないで家族と過ごしてよ」

「ぼくが修行を修めることがおまえたちのためにもなるんだよ」

「私は出家者と結婚したわけじゃないわ」

休日になるたびに繰り返される妻との諍いにぼくはうんざりする。


朝も晩も修行を続けるぼくは、仲間からも一目置かれるようになる。ぼくが特別な力を得て、ますます成功する日は近づいている。

大先達がぼくを呼ぶ。

「おまえは特別な力を欲しがっているように見える」

ぼくはうなずく。

「どうすれば早く力がつくでしょうか?」

大先達は厳しい顔で言う。

「死ねばいい」

「は?」

大先達は涼しい顔をして去っていく。ぼくは、わなわなと小刻みに震えながらその背中を睨みつける。ぼくは恥をかかされた。なぜこんな目に遭うのかわからない。ぼくはほかの誰よりも熱心に修行をおこなっているというのに。

…#6へつづく。

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「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。


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イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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