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ぼくの勝利 #3「会社という牢屋」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第四章

ぼくは受験生の教材を販売する会社の専務になった。年上の部下ができる。ぼくのアイデアは面白いように売り上げを伸ばす。ぼくは社長に表彰される。

社長が言う。

「君はどこでマーケティングを学んだのかい?」

「マーケティングを学んだことは一度もありません」

「そんなはずはない。それに、君は海外でレストランを成功させたんだろう?」

社長はしたり顔で言う。けれども、ぼくは本当にマーケティングを学んだことはない。ぼくがやっていることはいつも同じだ。欲しがる相手に欲しいものを提供するだけだ。


母国に帰ってきたとき、ぼくの荷物はひとりで運べるほど少なかった。ほとんどのものは処分してきたけれど、赤い本だけは持ってきた。赤い本はまだ終わらない物語を紡ぎつづけている。霧の中をさまよう男がついにお城にたどり着いた物語を読んだとき、ぼくは勇気づけられた。なぜならぼくこそは目標を見失い、霧の中をさまよっている旅人だから。でもぼくは人生のハッピーエンドをあきらめたりはしない。

ぼくは学習教材を売りまくる。やがて、ぼくが言うとおりに勉強すると模試の成績が上がると評判になる。会社にはぼくから勉強を習いたいという要望が寄せられる。ぼくは答える。

「ぼくが教えられるとしたら英語ぐらいですよ」

それでもいいと押し切られて、ぼくは英語を教えることになる。ぼくのクラスはあっというまに大所帯になる。教えるコツを掴んだぼくは他の教科も教えるようになる。

ぼくが売り上げを増やしつづけているのに、社長はぼくの給料をあげようとしない。

「きみが活躍できるのは会社があってこそだ。勘違いするな」

社長はぼくに恩を着せる。でもぼくはそうは思わない。子供たちはぼくを目当てにやってくる。会社はぼくがもらうべき報酬を横取りしている。


ぼくの評判を聞きつけて、ある投資会社の部長が声をかけてきた。

「一緒に予備校をやってみないか? 俺と君ならうまくいくと思う」

ぼくが教えるクラスはどんどん生徒が増えている。本格的な予備校をスタートさせるタイミングかもしれない。部長は投資の一環として予備校経営を考えている。ぼくはぼくを受験の神様のように慕う子供たちのために予備校をつくりたい。実績をあげても給料の上がらない会社はもうごめんだ。ぼくは教材を販売する会社をやめて予備校を立ち上げることにする。ぼくはふたたび勝利をめざして船出する。

…#4へつづく。


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​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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