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ぼくの勝利 #4「高学歴の親族」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第四章

父方の祖父が亡くなり親戚があつまった。ぼくの父、父の後妻、腹違いの兄弟も姿を見せる。彼らの顔を見るとぼくは過去に引き戻されてしまう。

祖父は大学を出てから花形の職業に就いた。だからこそ学歴を重んじた。祖父の子供たちは高学歴だ。ぼくの父は一流の国立大には入れなかったため、ぼくは子供の頃から一流国立大学を勧められた。ぼくの弟は父の期待通りに一流国立大学を出て、今では大企業の出世頭だ。ぼくは自由をめざして中学を卒業すると夢の国に渡った。ぼくの生き方は親戚の常識からは大きく外れている。

ぼくが斎場に入ると親戚一同は怪訝そうにぼくを見やる。従兄弟の一人が近づいてきてぼくに名刺を渡す。名刺には一流会社の役職名が印刷されている。ぼくも返礼として名刺を渡す。従兄弟が名刺を見て言った。

「予備校の専務? きみは勉強が嫌いで外国へ行ったんじゃなかったのか?」

「別に嫌いなわけじゃないよ。向こうで大学を卒業しているし」

ぼくらの話を聞いて、親戚の視線がぼくに集まる。

「なんていう予備校だ?」

「どんな大学に合格できるんだ?」

親戚から矢継ぎ早に質問されて、ぼくはたじたじになる。そしてレストランの経営を成功させていたことを話さなければならなくなる。


父と離婚した母親は葬儀には参列しなかった。ぼくは葬式の報告がてら母親に会う。父方の親戚を「学歴の亡者」と揶揄する母親は、ぼくの話を面白がった。

「受験勉強をしたことがないオマエが予備校を経営しているなんて、あの人らはさぞかし驚いただろうね」

「ぼくの予備校はぐんぐん伸びているからね」

「オマエはいつか大きいことをやる子だと思っていたよ」

ぼくが母親から肯定的な言葉をかけられたのは初めてかもしれない。母親は今のぼくに必要なものはステータスだと言った。

「良家の子女と結婚してごらん。世間の目つきがまるで変わるから。オマエには後ろ盾が必要だよ」

いつのまに用意したのか、母親はお見合いの釣書をぼくの前にズラっと並べた。ぼくはその中から、もっとも家柄が古い女性の写真を選びだす。

…#5へつづく。


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グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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