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ぼくの勝利 #2「あたらしい船出」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第四章

母国に戻ったぼくは無一文だ。夢の国で成功者になる計画は白紙に戻った。でもぼくの気持ちは清々しい。夢の国の出来事はもう遠い過去のようだ。ぼくは母国に戻り、あたらしい人生が始まろうとしている。

15歳までぼくが住んでいた都会はすっかり様変わりした。かつてぼくは「おそるべき子供」と呼ばれ、武道の世界チャンピオンに可愛がられていた。日々めまぐるしく事件が起きるこの国では、もう誰もぼくのことを覚えてはいないだろう。

ぼくはわずかに持ち帰ったお金で都心の古いマンションを借りる。夢の国で住んでいた豪邸に比べたらウサギ小屋のようだ。でも今のぼくにはそれすら新鮮だ。


ぼくはあたらしいものを求めて手あたり次第に仕事をする。昼も夜も仕事をかけもつ。レストランを経営した時のコツを少し活かすだけで、どのアルバイトでもめざましい結果をだす。歩合制の仕事ではあっというまに売上げナンバーワンになる。

ぼくは中高生に教材を売る会社で訪問販売を始める。翌月には全社の1ヶ月分の売り上げを一人で達成してトップセールスマンになる。

ぼくを指導する上司がぼくに頭を下げてくる。

「どうやったらいきなりトップの売り上げをあげられるのか、極意を教えてくれないか?」

ぼくは訪問販売の現場に上司を連れていくことになる。

週末になるとぼくは模試の試験会場に向かう。模試が終わった中高校生の中には、ぼくの顔を覚えている生徒もいる。生徒たちはぼくのところへやってきて、終わったばかりの模試の答え合わせをする。ぼくは生徒に教材を見せながら説明する。

ぼくは言う。

「この教材があればどんな模試でもA判定が取れるようになるよ」

生徒は親に会って欲しいとぼくに懇願する。ぼくは生徒と一緒に生徒の自宅へ向かう。ぼくはいとも簡単に個人宅の中に招き入れられる。親はもちろん最初はぼくを警戒する。ぼくは決して親を追いつめたりはしない。生徒のやる気を伝え、教材の素晴らしさを伝える。そして言う。

「もしこの教材が本当に良いと思えないなら、買わなくていいですよ」

生徒の親は買わなくていいと言われてびっくりする。ぼくの隣りに座っている上司も慌てふためく。せっかく子供も親も乗り気になっているというのに、なんていうことを言うのかと。ぼくはかまわずに続ける。

「でも、もしこの教材をぜひやってみたいというお気持ちがあるなら、すぐに始めた方がいいですね」

親は子供より前のめりになって返事をする。

「先生、よろしくお願いします。すぐに始めさせます」

ぼくは先生と呼ばれている。子供も親もぼくの言うとおりに勉強すれば合格できると信じている。こうやってぼくはあっというまに高額の教材を売り上げる。ぼくは三ヶ月後には会社の専務になる。

…#3へつづく。

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​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。

中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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