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ぼくの栄光 #4「ボディーガードふたたび」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章


前に賢者のボディガードを担当したときの担当者から連絡が入る。

「神秘の国から最高位の大聖人がやってくる。一生に一度あるかないかの光栄な出来事だよ。今度もぜひ君にボディガードをお願いしたい」

ぼくは戸惑う。

「そんなに偉い人なら、プロフェッショナルなボディガードに頼んだ方がいい」

担当者は意に介さない。

「君の国には強い精神力がある。弱いものが強いものに戦いを挑む強さがある。大聖人のボディガードはそういう人にこそお願いしたい」

ぼくは賢者の目を思いだす。今まであんなに鋭い眼光をした人を見たことがない。あの賢者より高い位にいるという大聖人はどんな目をしているのだろう。


ぼくの町から何百キロも離れた大都市に大聖人はやってきた。ぼくは仕事を休み、飛行機に乗って大都市へ向かう。ぼくが大聖人に会うことを告げると、いろんな人が羨ましがった。妻も喜んだ。ぼくはなぜそこまで羨ましがられるのか分からない。

「大聖人って言ったって、どうせお金儲けのためにやってくるんだろう?」

妻は怒る。

「大聖人はあなたのようなお金、お金の人じゃないと思うわ」

このところ、妻は何かにつけてぼくを守銭奴のように言う。ぼくの気分は最悪だ。


ところが妻の言う通りだった。大聖人はお金儲けのことなど考えていない。早朝から夜遅くまで休みも取らずに動き回る。食事をする時間もないぐらい忙しい。大聖人はひたすら人々のために祈る。ひと目でいいから大聖人に会いたいと、遠くからやってくる人たち。大聖人は全身全霊で人々と接している。


ぼくは観音様の色紙をお守りにして持ち歩いている。極彩色に彩られたその一枚を気に入っている。大聖人はぼくの色紙に気づくとぼくの手から色紙を取り上げる。そしてお付きの人からペンを受け取り、サラサラと色紙に文字を書き入れていく。ぼくはぽかんと口を開けたまま大聖人を見ている。観音様の色紙に文字を書き込むなんて、なんと恐れ多いことをするのだろう。大聖人はぼくの戸惑いなどものともせずに、ぼくに色紙を返す。

大聖人は言う。

「将来、君が人に教えるようになった時にこれが役に立つだろう」

ぼくは感謝の言葉は述べたけれど、本当はちっともありがたいとは思わない。ぼくが人に教えるようになるなんてありえないからだ。観音様の色紙に描かれたミミズのような字体。それが何を意味するのかさえ、ぼくにはまるでわからない。


…#5へつづく。

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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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