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ぼくの栄光 #7「映画ー前編ー」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章


スクリーンには冷たい海の風に吹きさらされた荒野の集落が映りだされる。強い北風にびくともしない石造りの邸宅が見える。リビングでは暖炉の薪がパチパチと燃えている。暖炉のそばで金髪巻毛の男の子が黒い髪の友達と遊んでいる。黒い髪の友達は人形を手にしている。艶やかな陶器の肌が美しいアンテイークの人形だ。

「こんにちは」

「どうぞお入りください。ケーキとお茶はいかが?」

二人の男の子はおままごと遊びをしている。その様子を見ていた母親が顔をしかめる。

「もっと男の子らしい遊びはできないの?」

母親は黒い髪の子供からアンティークの人形を取り上げる。子供はしくしく泣き始める。金髪巻毛の男の子は母親を責める。

「どうして人形で遊んじゃいけないの?」

「これは女の子の遊びでしょう」

「だってぼくは女の子と遊んでいるんだよ?」

「何を言ってるの! あなたたちは男の子なのよ?」

母親は取り乱す。金髪巻毛の男の子は構わずに母親の手から人形を奪いとり、黒い髪の友達に渡す。アンティークの人形と同じぐらい透き通った肌に黒いつぶらな目をした黒い髪の友達は、涙を浮かべたまま微笑む。二人の男の子は再び人形遊びをはじめる。


月日が経ち、金髪巻毛の男の子は金髪の青年になった。黒い山高帽を被り、黒いマントを纏っている。黒いマントの男となり、都会の雑踏の中に紛れ込む。黒いマントのせいで影武者のようになる男は誰の目にもとまらない。黒いマントの男はやがて古い喫茶室に入っていく。フロアーを見渡し、長い黒髪の女を見つけると、その前に座る。

「やあ、久しぶり」

黒髪の女は、透き通った肌に黒いつぶらな瞳を光らせる。

「私のことがすぐに分かるのね」

黒いマントの男は言う。

「子供の頃、よく遊んだもの。ぼくは君が女の子だって信じ込んでいたんだよ」

黒い髪の女は言う。

「私は生まれた時から女なのに、世間はそうは認めてくれない。私の体が男だからよ」

黒い髪の女は黒いマントの男に紙切れを渡す。

「闇経営の病院。性転換手術を請け負ってくれるの」

黒いマントの男は声を落とす。

「どうしてもやるつもりなの?」

黒髪の女は顔を綻ばせる。

「もう決めたのよ」

…#8へつづく。


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「ユニバーサル・カバラの物語」
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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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