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~タテ・ヨコ・ナナメ。クラシックチラシを大研究!~|公演チラシ考察のすすめ

ようこそ、クラシックの世界へ ♬

 国際ハープフェスティバル2022-草加市 / ラトヴィア放送合唱団&新日本フィルハーモニー交響楽団公演

こんにちは!おちらしさんスタッフの臼田です。おちらしさんラジオのパーソナリティの、ななみんでもあります。

おちらしさんWEB「公演チラシ考察のススメ」シリーズ。チラシが大好きなおちらしさんスタッフが、テーマとなるチラシについて探究し、その魅力に迫ります。

これまで、このシリーズでは演劇チラシの気になるポイントに迫っていきました。やはり行きつくのはいつも、興味深い「デザイン(イラスト)」の魅力です。

新国立劇場の演劇シリーズ3作品。
シリーズで揃うチラシデザインが魅力的!
(公演チラシ考察のススメ第1回より)
同じく、新国立劇場の演劇シリーズ。
揃う魅力もあれば、異なる魅力もあり。
(公演チラシ考察のススメ第2回より)
「手書き文字」の面白さに大注目!
(公演チラシ考察のススメ第3回より)

4回目となる今回のテーマは、冒頭でも登場した「クラシック」!!

おちらしさんでは、演劇公演のチラシだけでなく、落語やミュージカル、バレエなど、幅広いジャンルのチラシをお届けしています。クラシックもその一つです。冒頭でご紹介したクラシックコンサートのチラシは、最新号のおちらしさん10月号でお送りしました。

「デザイン(イラスト)」に惹かれて興味をもつことが多い演劇チラシに比べて、クラシックチラシは、どこに興味をもち、「行きたい!」と思うのか。クラシックコンサートが大好きなスタッフ3名と、あまり馴染みのないスタッフ2名が集まり、チラシを机に広げ、タテ・ヨコ・ナナメ……様々な方向から研究会を始めます!!

〈クラシックチラシ研究会・参加スタッフ〉

○水口
入社5年目。宝塚やミュージカルから下北沢の小劇場まで「気になった作品は観る」をモットーに幅広く観劇。クラシックコンサートにも定期的に足を運ぶ。

○しみず
入社4年目。ミュージカル大好き!おちらしさんミュージカル部の部長。ヴァイオリンを少しと、吹奏楽部で9年間パーカッションを担当。演奏会で全国を飛び回り、ヨーロッパでの演奏経験もある。勉強のために、よく演奏会へ足を運んでいた。

○臼田
入社2年目。入社して1年間、多くの演劇チラシを眺め続けていたことで、今は「紙」の世界に興味津々。管弦楽団でのクラリネット演奏経験をもち、クラシックコンサートの演奏会情報をほぼ毎日チェックしている。

○伊藤 
入社6年目。本と日記と小劇場が好き。観劇は育児にあたりひと休みして、チラシを眺める日々を送っている。クラシックコンサートには馴染みがないけれど、親子で楽しめるコンサートがあったら行きたいと思っている。

○しみちゃん
入社3年目。宝塚とミュージカルを通して大の観劇ファンに。新国立劇場『タージマハルの衛兵』をきっかけに、翻訳物をはじめとする会話劇が大好き。クラシックコンサートには馴染みがないけれど興味はあり、どこから足を運ぶと良いか、悩み中。

★クラシックチラシ研究【タテ】〜人がいるチラシといないチラシ〜

伊藤:チラシを広げてみましたが、演奏者や指揮者の方が大きく写るチラシが多いですね。有名な方々なんですよね?

(左から)■サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団 日本ツアー2022
■イレブン・クラシックスvol.3 葵トリオ
■東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団2021-2022シーズンプログラム
■東京21世紀管弦楽団 第5回定期演奏会

しみず:プロで活躍されている指揮者や演奏者の皆さんですね!チラシを見るとき、誰が指揮しているかはよくチェックしているかも。「〇〇さんが指揮を振るんだ!」と知って行きたくなるコンサートが結構あります。

臼田:このチラシは人がいないチラシです!左のソニー吹奏楽団のチラシは、ホルンが赤・白・青の3色でグラデーションされていて、お洒落で目を惹きますね~!

(左から)■ソニー吹奏楽団 第57回定期演奏会
■第13回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル2022

水口:プロの楽団に対して、学生楽団や企業の楽団は、写真よりイラストを使っていることが多いかもしれないですね。

臼田 : 確かに!あ、でもこのチラシは、プロのアーティストも出演されているけれど、イラストが多いチラシ!

東京芸術劇場「ボンクリ・フェス2022」

伊藤:ほんとだ!このコンサート、気になります。「ボンクリって何?」と不思議に思い、裏面を読みたくなりました。クラシックは高尚なものというイメージがあって、なかなか聴きにいく機会がないんです。指揮者の写真が載っていても、誰だろう?となってしまう。でもこれは、イラストに惹かれて裏をめくりたくなりました。

水口:いろいろな企画が組まれているコンサートは、クラシックに馴染みがない人も、最初の一歩を踏み出しやすいですよね!

★クラシックチラシ研究【ヨコ】〜コピーを並べてみる〜

しみちゃん:私は曲名や指揮者の方のことをよく知らないので、コピーがとても目につきます!

しみず:気になるコピーを、並べてみましょう!!

「ブラームス&メンデルスゾーン 
二つの名曲を聴く、休日の午後の至福の時!」

読売日本交響楽団 第249回 土曜マチネーシリーズ/日曜マチネーシリーズ

伊藤 : 「至福の時」って言葉にぴったりな、水色のチラシデザインが爽やかで素敵ですね!

臼田:文字のフォントまで、とっても爽やか!爽やかな曲なのかなぁ…と、想像が膨らみます。


「極上のスタインウェイに乗せてお届けする、珠玉のシャンソン」

るみ・まりのサロン

しみず : スタインウェイは有名なピアノのメーカーですよね!雪景色を想像させるような白くて鮮やかなチラシ……。「極上」のひと言が似合います!来月開催されるのかぁ……あ!大貫さん!

しみちゃん : わぁ!大貫さん!ピアノを演奏される大貫祐一郎さんは、ミュージカルのピアノ伴奏をよく担当されているので、ミュージカルファンに大人気の方なんですよー!

「一心不乱」

ミューザ川崎シンフォニーホール 第46回 モーツァルト・マチネ

水口:すごいひと言!モーツァルトで一心不乱ってなんだろう……?

しみちゃん : ミュージカルにも『モーツァルト!』という作品がありますけど、そのモーツァルトは”一心不乱”に曲を書いているイメージですよねぇ!

水口:たしかにー!!イラストの爽やかさとコピーの印象のギャップがあり、気になりました。

臼田 : さっきの大貫さんのお話だったり、モーツァルトのお話だったり、クラシックコンサートとミュージカルには、接点がたくさんあるんですねっ!

「ヴィオラ界に若きスター登場!」

ティモシー・リダウト~詩人の恋~

臼田「若きスター登場!!」ストレートでかっこいいコピー!!チラシの色も、ヴィオラの楽器の色に合っていて、落ち着いたチラシだなぁ。

しみちゃん:上品なチョコレート色ですよねー!ヨーロッパの街並みが思い浮かぶような……。このコンサートの演奏者、ティモシー・リダウトも、ロンドン(ヨーロッパ)生まれのアーティストなんですね。

★クラシックチラシ研究【ナナメ】〜ぜんぶ裏返してみた〜

伊藤:(ひとつチラシを裏返して)プロフィールの文章が充実している!!

臼田:全部、裏返してみましょう!

全員文字量!!

水口:クラシックのチラシは、楽団紹介や指揮者紹介、曲目紹介など、演奏会の詳細がチラシの時点で充実していますよね

臼田 : 私だけかもしれないですが……演奏会が終わったあとに、どんな人が演奏していたのだろう…と、後でチラシを見返したりすることもあります。見返して、その演奏者の次回公演をチェックしたり。

水口 : たしかに!私もです!演奏会に行ったときに、その公演のチラシを持ち帰りたいと、スタッフさんに尋ねている方を見かけたことがあります。

伊藤 : 情報が充実している分、チラシが”振り返り”の役割りも果たしているんですね!

しみちゃん:演劇のチラシは、情報よりデザイン(イラスト)が多くの面を占めていることが多い気がするなぁ。

おちらしさん10月号の演劇チラシたち。

しみず : クラシック(昔の曲)を演奏するコンサートに比べて演劇は、新作を上演したり、古典でも大胆な脚色をすることがあるから、舞台の内容を文章でのせるよりは、ビジュアルで想像を膨らませるほうが、上演の楽しみが増すのかも

★クラシックチラシ研究結果!!


【タテ】〜人がいるチラシといないチラシ〜

「人がいるチラシ」は、プロで活躍されている楽団が、指揮者や演奏者の写真を載せていることが多い一方で、「人がいないチラシ(イラストメインのチラシ)」は、学生楽団や企業の楽団に多いようです。

プロで活躍されている楽団の演奏会でも、様々な企画が組まれているコンサートだと、イラストが多く使われていました。企画全体のイメージを表現するには、イラストのほうが伝わりやすいのかもしれません。

【ヨコ】〜コピーを並べてみる〜

曲目の雰囲気を表現するコピーや、演奏者を紹介するコピーなど、コピーとして取り上げる内容は様々。そのコピーに合わせたチラシデザインでコンサートへの興味をそそるものもあれば、デザインの印象とギャップのあるコピーによって、興味がひかれるチラシもありました。

【ナナメ】〜ぜんぶ裏返してみた〜
クラシックコンサートのチラシは、指揮者や曲目の文字情報が充実していました。どんな人が演奏をしていたのか、後で振り返るための役割も果たしているのかもしれません。

一方、演劇のチラシは、デザイン(イラスト)が大きく配置されていることが多いです。解釈がより多様な演劇公演は、詳細を語らずにイラストを多く配置することで、公演内容へのイメージを膨らませ、観に行きたいと思わせる作戦に富んでいるように感じました……!

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タテ・ヨコ・ナナメ……3方向からクラシックコンサートのチラシに迫った結果、
「デザイン(イラスト)」のインパクトが目をひく演劇チラシに比べ、クラシックコンサートのチラシは、「デザイン(イラスト)」に留まらず、①写真②コピー③文字を使い、「情報」を豊富に記載しているチラシが多い傾向にあるようです!

「情報」が充実していると、クラシックに馴染みのある人は、コンサートの雰囲気を豊かに想像することができますね。

馴染みが無い人にとっても、「情報」が充実していることはコンサートへのイメージを豊かにさせますが、デザイン(イラスト)が充実していることで、より鑑賞への最初の一歩が踏み出しやすいようです。

芸術の秋、クラシックコンサートは各地で開催されます。チラシを見かける機会も多くなるでしょう!気になる演奏会のチラシを見つけたら、ぜひ足を運んでみてくださいね!

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