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私立夜宵★図書館【2024/5】

夜宵★の読書は図書館の本と決まってる。

貧乏だったから、本が読みたかったら図書館で借りなさい、って母に言われて育って、図書館は行きつけだった。

だけどこのところ読書量が激減。

今年は意識的に読もうと決意した。

図書館で借りて、夜宵★の心の図書館に入った本をいざご紹介!!



✦『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』三國万里子


これは以前、中瀬ゆかりさんが推していた本。

予約していて、ようやく手元に届いた。

三國万里子さんはニットデザイナー。

不器用な自分と外界との折り合いのつけ方を次第に獲得して「わたし」になっていく過程を描くこのエッセイ。

子ども時代の自分、愛着のある人や物を描き出すさまは、まるで絡んだ毛糸玉をほぐすように丁寧で繊細だ。

音読したい文章。

一番しっくりくる言葉をあてはめてできたこの本こそ「わたし」なのではないだろうか。

それにしても著者の記憶の鮮明さには驚かされる。

昔のことをこんなにシャープに私は覚えてない。

細密な内容なのに、印象はやわらかく瑞々しいという。

文章のおもしろさ。



✦『無礼語辞典』関根健一


タイトルにやられて借りてきた。

人を不快にする物言いを取り上げ、現代を生きる日本人の複雑な心の機微をつまびらかに解説した辞典。

「これって無礼語だったの?」
と気付かされたり、再認識したり、言い換えの言葉を学んだりできた。

なんなら一文字代えるだけで無礼語に変わる日本語の不思議。

時代の潮流でも言葉の捉え方は変化する。

そんな変幻自在な日本語に魅了される。

個人的には、類義語を、横軸は「俗っぽい⇔高尚」、縦軸は「無礼⇔礼儀正しい」として表した分布図が興味深く、汎用性があるなぁと評価した(←これは無礼語)感服した。



✦『やなせたかしの新アラビアンナイト 第1~3巻』やなせたかし

没後10年。アンパンマンの生みの親、やなせたかしによる“幻の名作”堂々復刊!
著者不明の世界的大作が、やなせたかしの新解釈によって子供たちに向けた新たなストーリーに生まれ変わりました。この、子どもたちの心を照らし、輝きを失うことのない王道の冒険譚『やなせたかしの新アラビアンナイト』シリーズ(全3巻)を、没後10年となる2023年に順次復刊いたします。

Amazonより抜粋

私はアラビアンナイトの話が好きだ。

中学か高校のとき大人版の『千夜一夜物語』も読破した。

だから、
「やなせたかしさんの新作? アラビアンナイトってどういうこと?」
と驚いて思わず手に取った。

(子ども向けみたいだったけど、おもしろそうなら構いはしない。)

「千夜一夜物語」の新訳かと思いきや、やなせさんの「アラビアンナイト」へのオマージュ的なオリジナル作品だった。

その空気感や、胸がわくわくする「夢と空想と冒険(やなせさんの言葉を引用)」の物語は、まさに「アラビアンナイト」。

そればかりではない。

いねむりおじさんと「ぼく」の世界から「ぼく」が「アラビアンナイト」の世界に足を踏み入れそこでまた話が広がる、という物語の多重構造性。

(元の『千夜一夜物語』は、凄まじいほどに話が末広がりになっている。)

登場人物や事物が次々に登場しては過ぎ去る、その場面展開の早さ。

方法論的視点では、この二点も既存の「アラビアンナイト」を踏襲しているように思われた。

違う点は、登場アイテムが若干現代的なところだろうか。

それと、結末がお決まりのパターンではないところだと思う。

このあたりが、タイトルを「やなせたかしの」とした所以なのだろう。

原典をまた改めて読みたくなった。




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