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旅が本当に嫌いかを確かめたくて、旅に出た。 克服のきっかけ編

(19年の5月の話です)
過去、旅行で楽しかった記憶がない。

旅行の原体験

今も強く記憶に残ってるのは東京への修学旅行だ。
同性の友達がおらず、あまった人同士のグループで行動したことが大きいと思うのだが、タスクを消化するだけの修行だった。

目的地の浅草寺に着いたら、そこで文字通り何もせず、次の目的地に移動し始めた。たしか、門だけをみて立ち去った気がする。お参りもしなかったし、途中の仲店で何かを買ったりすることもなかったと記憶している。

その後訪れたディズニーランドではまったくアトラクションに乗らず、地面にゴミがないことにただ関心だけをしていた。

20代のときの旅行への考え方

大人になって、自分のお給金はファッションにほとんど消えていたし、
地元から東京に出てくることも自分にとっては一種の遠征だったので、旅は自分のお金の使い方として優先度がもっとも低かった。

駅のホームの掲示板「鎌倉行き」

そういう考えをもって年が過ぎていったある日のこと、ホームで電車を待っているときに何気なく掲示板を見上げると「鎌倉行き」と書かれているのが目に入った。

鎌倉って案外近いんだなという感想と同時に、ちょっと前にみたドラマを思い出した。

湘南を舞台にしたドラマで、作中に出てくる海がきれいだったことが記憶に残っていた。

「あ、鎌倉は湘南に近いな」「湘南の海を見たい」と衝動的に思った。
思い返すと、心が疲れてしまっていたからかもしれない。

そう思った後は早かった。
到着した電車の中で湘南に行く方法を探して、
家に帰った後は動きやすい服を用意して、
翌日には、湘南行きの電車に乗っていた。

旅行が嫌いな理由を探る旅

とはいえ、旅は嫌いなはずだし、
ただ海だけを見に行くのはもったいないと思ったので、
なぜ旅が嫌いなのかを見つめ直す旅にもしようと思った。

旅が嫌いな理由はいくつかあるが、今回、確かめるのは以下にした。

1. 準備に時間と手間がかかるのがきらい
2. そもそも移動の時間がきらい
3. 移動にお金をかける理由がわからない
4. 行った先の人混みがきらい
5. 行った先での料理とか物価が高いからきらい
6. 歩き回るのに体力使うのがきらい
7. 一人ぼっちの旅がきらい

湘南にある江ノ島の端を目指す

新宿から小田急にのって湘南の駅を目指す。
1時間をなんとかやり過ごして駅に到着すると、周りは友達連れや恋人が多かった。
ぼっちのまま、ひとまず江ノ島に向かう。

途中の橋で「よくテレビの中継で映るところだ」と答え合わせした気分になりつつ、気持ちのよい海風を感じた。

目的地は、江ノ島の端の稚児ケ淵。
さっき紹介したドラマに名前だけ登場する地名だ。そこに行くには、島をアップダウンしつつ、森を抜けないといけない。横断には1時間ほどかかる。

途中にある古びた建物がエモかった。

階段は20箇所以上はあり、歩くだけでも息があがってしまったが、
自然を見ながら黙々と歩くのは嫌ではなかった。

途中、きゅうりの一本丸ごと浅漬けが売っている店があった。
300円だったと記憶している。後ろの方で誰かが「きゅうり一本で300円って高すぎw」と言っているのが聞こえたが、
確かに高いけど、階段を何百段も登り下りするから、運搬の手間賃としてそのくらいの値段はするよなと思いつつ、先を進んだ。

ゴールが近づいてくると、森の細い道から一気に景色が広がった。

旅の目的地

目的地である稚児ケ淵にはたくさんの人がいた。岩場の地帯だ。
中には友達同士でダイビングを楽しんでいる人もいた。ぼっちの人はいなかったように思う。

少なくない羨ましさを感じつつも、旅の目的である海をまったりと眺めることにした。

いまも波が岩に当たる音と、海の匂いが濃かったことをよく覚えている。

海を見ながらいろんな思いが湧いてきた。
1時間歩いた甲斐があったなという思い。
いま周りにいる人は誰も自分のことを知らなくて、なんだかとても遠くにきた気がする気持ち。
駅のホームで思い立った一日後に湘南にいるんだという驚き。
自分にもここまでの行動力はあるのかと自分を褒めたい気持ち。

過去の修学旅行の浅草寺とは違って、満足するまで海を見ていた。

帰りの道の途中で、江ノ島名物のしらすのおにぎりを食べた。

しらすはしらすの味がした。

検証結果

眠い眠いと思いつつ小田急に揺られつつ、
家に戻ってから、旅嫌いの理由を振り返ることにした。

1. 準備に時間と手間がかかるのがきらい
2. そもそも移動の時間がきらい
3. 移動にお金をかける理由がわからない
4. 行った先の人混みがきらい
5. 行った先での料理とかが高いからきらい
6. 歩き回るのに体力使うのがきらい
7. 一人ぼっちの旅がきらい

1は、旅行は突発的に思い立てば問題はなかった。
2は、江ノ島を1時間歩いたこと自体は問題がなかった。しかし、電車の1時間はやっぱり苦痛だと自覚した。
3は、片道1000円くらいで、外食ランチ代くらいなら問題ないかなと思った。
4は、黙々とぼっちで島を歩く中で、むしろ周りの人の話し声に助けられた節がある。感想を密かに心の内で共有することができた。
5は、きゅうりの件を考えると値段は仕方ないかと納得できたのと、嫌なら食べなきゃいいやと思えた。
6は、島を歩き続けることで体力は使ったが、苦ではなかった。
7は、むしろ1人だから気ままに動けたことに気づいた。

まとめると、旅が嫌いだと思っていた理由のほとんどは、いまはそう思わないことがわかった。

唯一、移動時間だけはどうしても好きになれなかったが、この旅は成功だったと思う。旅は自分が思うよりも自由だったようだ。

このあと、もう一度旅に出ることになるが、それはまた次回。

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