週末の朝活は水彩画。大学時代の提出課題は折り紙。
アメリカの大学で心理学を専攻していた時、とある授業で面白い課題が毎週出ていた。
その授業はアートセラピーと呼ばれるもので、アートが心理にどのように影響するかやその実践法を学ぶものだった。
アートセラピーを学び・実践する
とにかく理論を学んだら自分で体験してみよう、というのが教授のポリシーで、課題の一つとして毎週「何かアートをし、提出すること」が課されていた。
すごく抽象的な課題だが、ようは何でもあり。
絵を描いてもよし、工作してもよし、歌ってもよし。
そしてその課題は学期の間毎週提出が求められたのだが、同じ創作物になってはいけないことがルールだった。
私は毎週ネタを捻り出しながら、水彩画をやってみたり折り紙をしたり千切り絵を作ってみたりしていた。
どんな手法を使おう?と考えるのは少し大変だったが、創作活動の時間はそれだけに没頭できてすごく楽しかったのを覚えている。
評価の具体的な観点は覚えていないが、創作物のクオリティではなく、どちらかというと創作の過程で考えたことや、完成物から自分の心理状態がどのように反映されているかを自分で分析・言語化がしっかりできているかを見られていたような気がする。
アートセラピーというのはセラピーの療法として実在するもので、実際の現場でも「どれだけ上手く作品を創れたか」ではなく、「創る過程で何を考えていたか」「創作物に現在の自分の悩みや不安といった感情がどのように反映されているか」をセラピー受講者と開催側が一緒に振り返り向き合うことを大切にしている。
アートは上手い下手じゃない
「なんかこの絵はリアルだ」「この彫刻は細部まで再現されていて上手い」
私たちはつい上手だ、下手だ、といった目線でアートをジャッジしがちな気がする。
もちろんその視点も一つあるかもしれないが、私がアートセラピーの授業で教授から受け取ったメッセージは、「アートそのものを楽しむこと。」
自分は絵を描くのが下手だから、音痴だから...
他者のジャッジに合わせて自分のスキルを否定するのではなく、まずは創作を楽しむこと、それが大切だ。
週末の朝活
しばらく雨が続いて低気圧にやられていたが、久しぶりに太陽を見ることのできた週末。
普段の週末よりも1時間ほど早く目が覚めたので、そのまま朝食・掃除をすませた。
さて、少しだけ長いフリータイムをゲットしたけど何をしよう?
私はふと思い立って、しまっておいた水彩セットを取り出した。
絵の具や筆は百均でお手頃に揃えたものだが、クオリティは十分。
暇な時に眺めようと思っていた水彩画の画法の本に付いていた、塗り絵用のページを切り取る。
月下美人という花で、見本として色付けされたものも本の中にある。
私はお手本のように上手に色を塗るのではなく、自分が描きたい月下美人を描くことにして、お手本は色塗りが終わるまで封印することにした。
月下美人じゃなさそうな月下美人って、どんな色味だろう?
どんな場所で咲いているだろう?
そんなことを考えながら色をつけていく。
色塗りが終わると、色鉛筆で少し色を足してみる。
たぶん、完成だ。
明日や1週間後、1年後にはこの花を見る自分の感想は今と違うかもしれない。
大切なのは今の自分がどう感じているかだ。
「学校で勉強することって、将来使うことあるの?」
苦手な科目ほどそんな思いが強かったなあと思い出す。
今は学校で学んだことって、仕事で使う使わないや、生活に不可欠かどうかだけが判断軸ではないとはっきりわかる。
自分を支えたり、守ったり、振り返ったり、その対象は大切な誰かになるかもしれない。
その術についていろんな手法を学び落とし込めていることに、改めてありがたいなと学生生活に感謝した。
頂いたお礼は知識と経験を得て世界を知るために使わせていただきます。