【ねこ好きの本棚#6】『犬部!』動物愛護ってなんだ?学生が真剣に考えた動物愛護物語
皆さん、『動物愛護』ってどんなイメージを持っていますか?
こんにちは。
ねこバカ街歩きライターのたっちゃんです。
『ねこ好きの本棚』と題した、私が
「読んでよかったなぁ~」と思う本を紹介するコーナー
今回ご紹介する本は片野ゆかさんの『犬部』です!
2021年に林遣都さん中川大志さん主演で映画化もされた本書、もしかしたら「知ってる!」と言う人もいるのではないでしょうか。
タイトルだけ聞くと犬専門?犬バカ?
ぶっちゃけ犬部って奴隷感ありそう、、
そんな率直な感想を持つかもしれません。
が!
安心してください。
この本は北里大学獣医学部の学生達が、捨てられたり、不幸な境遇にある犬や猫の幸せを真剣に考えた超真剣なハートフル動物愛護物語です。
表紙の絵からものんびり穏やかな犬猫と、彼らのために奔走する学生の様子が可愛いですね!
今回はこの犬部を通して
「動物愛護ってなんだろう」
を紐解いていきたいと思います!
犬や猫を飼っている、
これから飼いたいな、
地域で愛護団体とかいるけどよくわからない、慈善活動なんでしょ?
そう思ってる方にはぜひ読んでほしいです。
犬部とは
犬部とは北里大学獣医学部の太田さんが創設した犬猫の新しい里親を探す部活動のことです。
最近では保護犬カフェ、保護猫カフェ、マルシェやスーパーでの譲渡会などで里親探しにについてなんか聞いたことあるな、そう思う人もいるかもしれません。
犬部とはまさに学生の部活動として、飼い主のいない犬や猫の新しい家族を探す活動をする、動物の命のバトンをつなぐ部活動の事です。
この本の面白ポイント
私がこの本でおもしろいな、読んでほしいなと思ったポイントは3つ!
主人公がころころ変わるところ
動物愛護活動の力の源と活動の仕方
犬猫の気持ちから分かる犬猫と触れ合う極意
面白ポイント①主人公がころころ変わる
そんな本あるの?
そんな声が聞こえてきますが、あります。
この本の構成は犬部で保護した犬猫たちにまつわる、10ページちょっとの短い短編が18話収められており、各話で主人公の犬猫とそれのお世話をする部員が変わるのである意味で全員主人公でもあります。
なので短編なので本が苦手な人も読みやすく、
最初の1行読んで
「こんな境遇の動物もいるんだ~、どれどれ??」
と興味を惹かれたらもう一話読み終わってる、そんな感じです。
面白ポイント②動物愛護活動の力の源と活動の仕方
これは動物愛護活動をしている人なら誰でもぶつかる壁の一つかもしれません。
一般の人がみんな思っているであろう
「なんでそこまでできるの?」
自分も保護猫カフェでボランティアしていて、これを言うと100%、絶対聞かれます 笑
人それぞれあると思いますが、本を読んで思う活動の源、それは
バカになれるくらいの動物が好きという気持ち
動物の命の輝きに魅せられること
この2つだと思います。
ちなみに私は後者です。
『バカ』
つまりは犬バカ、猫バカ、のようなそういった人たちのことで、心底犬猫が好きで、かわいいだけじゃなくて「こいつらが幸せになるにはどうすればいいのかな」まで考えている人たちです。「病めるときも、健やかなる時も~」みたいな、動物たちに四六時中恋してる人ですね。
2つ目の命の輝きに魅せられる
本書にも印象的なシーンがいくつも出てきますがその一つが真っ白な毛並みが特徴のホワイトの話。散歩の仕方も分からない、人を知らない犬のホワイト。
最初は牙を見せて唸り声をあげたホワイトも、ホワイトの性格を理解した太田や池田に徐々に甘え、散歩の仕方も覚えたり、譲渡会で訪れる人に撫でられて徐々に目の輝きを取り戻していく、そんな様子が何話にもわたって書かれています。
そして最大の壁、活動の仕方。
『動物を助けたい!!!!!』
って目的は同じなのに、各団体や個人で活動方針が違って連携ができなくてもどかしかったりとか。
またこの本には動物愛護活動をする人の力の源みたいなところもすごくリアルに描かれています。それらを特に印象的に描いたのが第16話
「犬が人を噛んでしまった!」
という事件です。
この犬部というのは、初代代表の太田さんが立ち上げたもの。
最初は代表一人で己のキャパの限界ぎりぎりのラインまで動物に捧げて活動、その後徐々に活動を応援、参加する人が増え、卒業後には部員40人の大所帯になります。
大所帯になって起こったこの咬傷事件。
ちなみに犬が人を噛むというのは皆さんが想像するよりもかなりの大事(おおごと)です。
例えば飼い犬の散歩中、「かわいい~」と寄って来た人が撫でようと手を出したときに噛んでしまったとします。
その時、ほとんどの場合、飼い主には賠償責任として治療費や慰謝料などが課せられます。
犬側はというと、『噛みつく危険な犬』として殺処分リスクが跳ね上がります。また噛むということは犬の気持ちとしても
「なんかされる!怖い!」
という恐怖心から、噛みつくという自衛行動に出ることがほとんどで、犬としても心に傷を負うのです。
そんなわけで飼い主や保護している人、犬自身や怪我をした人にとってはかなりの大問題なのです!!
と少し話が逸れましたが、熱量の高い個人が集まり小規模で活動していた犬部創設期と、大所帯になり愛護活動と自分の生活のバランスを重視したい人が多い、組織としての活動とで活動方針の食い違いが起こっていきます。
大前提として愛護活動はボランティア精神が大切です。だからと言って100%自己犠牲をせよ、というものでもありません。何より大切なのは自分の中のバランシングポイントを見つけること。自分が壊れてしまえばせっかく保護した動物も不幸にしてしまうからです。
私が尊敬するアメリカの保護猫活動家ハンナショーさんも「保護猫の育て方」という本の中で、大切なのはまずは自分を大切に、と言っているくらいです。
👇私の保護活動のバイブル『保護猫の育て方』
私が読んで思った、バランシングポイントというのは活動を継続的にできるための自分のキャパを知ること、またそのキャパを増やすにはどうすればいいかを考え続けること、これが現状の答えな気がします。
さらにそれが組織になれば、組織として個々人、スタッフのバランシングポイントにあった活動を振り分ける、またある程度は組織に合わせてもらうよう協力を要請する、また個人も、組織のために自分のバランシングポイントを調整するようにしていくことが大切です。
そしてその柱は具体的には
経済力(生活費)
趣味や活動以外の人々との交流の時間
睡眠
です。
経済力は言うまでもないですよね。
生活費を極限まで削って活動していては持ちません。自分を救えない人が他者や動物を救うことは絶対にできないからです!睡眠も同じですね、健康あってこその活動です。
盲点になりがちですが、趣味など息抜きの時間も最低限確保したほうがいいです。24時間365日それだけに集中できる人はとっても稀です。
オンオフをつくること、そうして自分を大切にしながら、活動に向き合っていくことが、活動の仕方として大切になるかと思います!
組織で悩んでいる人は、勇気を出してまずは相談です。口に出さないとトップも、スタッフが何に悩んでいるのかなんて、ある程度は把握できても、正確にはわからないからです。
長くなりました、、笑
面白ポイント③犬猫の気持ちから分かる、犬猫と触れ合う極意
これ!というのは本書では書かれていませんが、そのヒントはいたるところにありまして、集約すると
保護された犬猫の過去を知り、現状の様子をつぶさに観察する
これが慣れるための極意だと思います!
もう探偵になりきって観察、過去の調査をしてください笑
過去とは、前の飼い主のもとでの生活環境や、扱われ方、ワクチン接種や病気の有無などです。扱われ方、過ごした環境によって、現在の性格が出来上がってくるため、これは必須で知る必要があります!
それらを知ったら現状の観察です。性格の成り立ちを知ると、例えばどうして人が怖いのか、人がどんな行動をとった時、犬や猫が威嚇行動をとるのかなどを関連付けられることができて、行動と気落ちの連動を知れます。
それらを知った後で、躾けが始まるのです。
何も知らずして躾けたり人に慣れさせるのは至難の業です。。。
例えば体調が悪くて病院に行ったら、
「いつからですか?」とか
「何か変なもの食べましたか?」とか
「人の多いところに行ったりしましたか?」
とか、直近の過去について聞かれることありませんか?
そういうことなんですね~実は。
勉強になったのは本書では動物についてのカルテが2種類あること。
一つは前の飼い主について
もう一つは体調などを書いたもの。
なのでペットが懐いてくれない、
躾けどうしようかなと思っている人
これから犬猫を迎える人は、彼らの生きてきたヒストリーを知って、行動を観察すると慣れてくれるヒントが見つかると思います!
さて長々と書いてきましたが
こんな感じで獣医師の卵の学生たちが、真剣に犬猫と向き合ってきたことから学べる動物愛護とは、ということ感じていただけましたでしょうか?
とっくに学生を卒業した私も、彼らのキャンパスライフから学ぶべきポイントが沢山です!!!
漫画にも映画にもなっているので是非、お手に取りやすいものから見てみるといいかなと思います!
それではまた次回!
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