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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 1月23日~1月29日

はじめに

こんにちは。長尾早苗です。先週はイベントのオンライン開催の参加、本当にありがとうございました! 成り行きかもしれないけれど、オンラインでよかったなあと心から思いました。今週は普通の日記が送れますように。

1月23日

詩のオンライン合評会の司会をしました!
本当に、mtgが進んで行く中で色々なことが起こって……
ご時世的にも、活動のスケジュール的にも色々あって、
わたし自身もちょっとしんどくなる時もありましたが、
なんとか無事に終えました。
みなさんに安心して楽しんでいただけたようでよかったです。

・青山美智子『ただいま神様当番』宝島社

同じバス停から職場や学校に通う5人の人々。
自分の「好き」をつかめなくて幸せを待つのに疲れてしまったOL。
お姉さんをうまくやろうとがんばりすぎてしまった小学生。
SNSでつながった女子を相手にリア充になりたい男子高校生。
高校生の日本語についていけないイギリス出身の英語教師。
部下のことがよくわからない小さな会社の社長。
そんな人たちが順番に、いきなり現れた「神様」を楽しませる羽目に。
神様の願いは実は5人の本音をついているもので、みんなどんどん自分から幸せになることをためらわないでいきます。
青山美智子さんの話でちょっと先週図書館のスタッフさんと盛り上がりました。しみじみ幸せな気分になれる短編集です。

今日は相方さんにかなり助けられた日でした。家事ももろもろ、ありがとう~!

1月24日

7日後に解散するイケカテという詩の友人たちのアイドルユニットのラジオを愉しんでいました。(この日記が発表される日に解散……さみしい……)

イベントレポをアップしました。たくさんのラジオを追っかけで聞きつつ作業。



昨日聞けなかったのでかなりたまっています……。
勉強用・趣味用に分けていて、面白いです。
昨日実家の父にキャベツをいただいたのだけど、今季最後の冬キャベツ、とってもおいしそう。あたたかでやさしいみどり。おいしくいただきます。
夕方になって英会話をラジオで勉強しながらコンソメスープにしました。
昨日学んだことを生かして新作一編。楽しかったなあ。

1月25日

ラジオを聞きながら作業。料理など。

1週間まとめてになってしまうかもですが、
料理記録。明太子とクリームチーズのあえ物。
タッパーが余ったら作る流。
豚小間白菜。



アウトプットとしてアップしているイラストが売れたのでうれしい。
今日は待ちかねた移動図書館の日です!
ちょっとわたしの中で遠藤周作の『侍』がアツくなっており。
また借りられるといいな。
久々に図書館の本を10冊運んできたので、帰ってからふうふうしていたけれど、読んだらいつもの通り面白かった。
日中は音楽を聴きながらきゅんきゅんしていました。
昔、すごく好きだったバンドのアルバムを聞いていました。エッセイ1本、新作1編。

・白河三兎『田嶋春にはなりたくない』新潮社

タージ、良いキャラしてます。
彼女は「世の中での正義」を通し続ける女の子。
いや、法律上は正しいよ? 正しいけどさ……
ということにスパッと「正しいことを正しいと言って何が悪いんですか?」
と返してくる。まあ、まっとうな大人になるわけです。
田嶋春さんは空気も読めないし、多分生きにくいと思うんですけど、
そういう女の子がヒロインってなかなかないんじゃないかな。
気持ちの良い作品でした。

・安壇美緒『天龍院亜希子の日記』集英社

今どきの固有名詞が結構出てきますが、最近の傾向なのかな。
ただ、今の「日記」というものが公開されるのは紙媒体ではなくブログやnoteで、それは誰が見ているかわからない。
わたしも昔の友人がわたしのSNSを見ているのを知っているし、
そのことを知ってもいます(笑)
そして、今や過去にお仕事で携わってくれている・くれていた方も。
それでも、そういうみなさんに向けて発信していくのがわたしのことばだと思っています。
同級生の天龍院亜希子さんのブログを盗み読みしていた田町君が彼女のブログに救われていたのはなんだか今を生きるわたしにも少し救いになりました。

・内田春菊『基礎体温日記』実業之日本社

そっか、2002年って20年前なのね~涙
わたしが小学生の頃のときのことを思い出して、いろんなことを思い返しました。
春菊さんが子育てや仕事などに追われながら、子どもを授かり、それでもまた活動を続けていく奮闘記。
一日2、3行の日記です。色んな人に読まれてきたんだろうな、、
わたしもこの年になって「基礎体温」というものが女性にとってどんなに大事なのかなど、すごく体に出るようになって。
基礎体温が低ければ安定して眠気は襲ってくるし、高ければ少し不安定になったりイライラしてしまったり。
でもそんな中でがんばらなくちゃいけないんですよ~
やっぱりそこで家族とか仕事仲間とか大事になってくるわけです。
あんまりきっぱりわけようと思っても、プライベートとビジネスが入り混じりつつ……
それでもまだ! がんばらなくちゃいけないか。

・彩瀬まる『さいはての家』集英社

なんだろう、わたしが欲していた小説でした。
家という「くつろぎの空間」がどこかしかで何か小さな事件(事件と呼べるものとそうでないものとあるけれど)
があって、どこかしかで何かあった人々の中で、ちょっと違う空間になっていく。
たぶんそれはいつまでたっても変らないものであると思っていて。
かりそめの暮らしでも、その土地に暮らせばいつかそこが思い出になっていくし、大切な場所になってくる。
わたしの実家はかなり長いこと同じ場所に住んでいましたが、
それでもそこを離れて、ずっとここに住んでいる友達と話してみたりすると面白いし、書けるものってすごく違うんだなと。
わたし自身、実家を離れて3年がたとうとするこの部屋で、書ける土地の物語はわたしが20年以上暮らしていた土地だったりするんですよね。
うん、やっぱり書かなきゃ。土地とわたしの歴史。

1月26日

ノートを使い切りました!少し長めの新作一編。

大好きなツバメノート、今回3冊目。





ラジオ、ほんとうに楽しかったです。雪が降る予報だったからか、眠る休憩が多かったです。
今日は白いぴったりとしたヒートテックで過ごしていましたが、やっぱりやせすぎちゃったなあ……もう少し食べることと鍛えることのバランスを取っていこう。

キャベツと玉ねぎの甘辛炒め。
ツナと青菜のソテー。



鍛えた後に勉強をしました。わたしはアニメや音楽について勉強してこなかったので、一から勉強しなおしです。
最近の音楽シーンを知らずにいたので、わたしの尊敬している詩の先輩、三角みづ紀さんが紹介されていたBTSを聞いてみました。
わたしは恥ずかしながら、韓国語がわかりません。
ただ、彼らが伝えたい思いが彼らの音楽に詰まっていると思っています。
韓国語と、やさしい英語で歌詞がつづられていますが、わたしに歌詞の内容はわかりませんでした。
しかし、「わからないけれどなんだか好き」という、意味を超えたものが確かにありました。「わからないけどなんだか落ち着く」という音楽があって、すごく穏やかな気分になりました。
たぶんそれは能を聴くことと同じで、古文も節にのると「ことばはわからい」けれど共通する思いは一緒なのです。
今日はわたしのYouTubeチャンネルで記念すべき50本目の朗読動画をアップしました。詩を音楽として、「わからないけれど」という気持ちを大切にしてもらいたく続けています。


・青本雪平『人鳥(ペンギン)クインテット』徳間書店

取調室で尋問を受けている主人公。
「祖父が……ペンギンになりました」というところで、一瞬コメディかなと思いましたが、ちゃんとサスペンスになっています。
退化じゃなく、進化。
彼の祖父はなぜペンギンになったのか、そして殺人事件の真意は……
とハラハラ要素満載なのですが、読み進めていくうちに、
主人公と一緒に暮らす晴という少女のあどけなさにきゅんと来たり、でも、それでも気になるところがいくつもあって……
真相は読者にしかわからない。いいですねえ。

・ジェイソン・レナルズ 青木千鶴訳『エレベーター』早川書房

お兄ちゃんを殺されて、残った拳銃を持って復讐しようとする少年ウィル。
でも、彼が乗り込んだエレベーターの中で不思議なことが起こり……
この作品はストーリーを楽しむというより、
本文デザインをぜひ楽しんでいただきたいです。
すべて横書きでかかれているということと、
ウィルの心情がかなり「記号」となって表れており、
ウィルの気持ちと共に物語は進んで行くのですが、彼の気持ちが詩のように行分けされていてとても読みやすいです。
怒りの気持ち、やるせなさがどこかしらで昇華していく作品でした。

・川上弘美『某』幻冬舎

何者でもない。誰でもない。
自分のアイデンティティを持たない存在、「某」は「ハルカ」に擬態します。それでも、ハルカという女子高校生になることで、いきなり世界が広がって、「某」自身が「某」たちに出会っていきます。
かなり作りこまれた小説で、もしかしたらわたしたちみんなが「某」であって、わたしであれば「長尾早苗」に擬態しているのかもなんて少し思いました。
何者でもないって結構つらくて。何かになりたい、ということで迷走したり、突っ走ってしまったり。
でも、そんな自分もいてよいと思うし、それでも「自分」というものを常に見続けていれば「何者でもないつらさ」を受け容れることができるのかもしれません。

1月27日

ハラハラすることがあったり、嫌なこともむかつくこともうれしいことも暮らしの心地よさも体験できたいつもの一日でした。いつも心もからだも健康でいたい。PMS! 新作一編。

きのこと青菜とツナの中華炒め。
キャベツとしめじの味噌汁。


・ミシェル・ウエルベック 野崎歓訳『地図と領土』筑摩書房

野崎歓さんの翻訳はとても好きです。『小さな王子』から入りましたね。
この作品ではウエルベック自身がキャラクターとして出てきます。
彼のこれまでの作品、そして彼自身にアレルギーを覚えるひとも多いと書いてありましたが、彼自身「世界的な有名作家」と自分を位置づけることでしか書けないものがあったのかもしれません。
それを傲慢と取るか、そうでないととるかは読者の自由です。
アートとは何か。絵描きの視点から「芸術」そのものを見つめ直し、
惨劇からアートを模索していく人々の物語です。
問題提起そのものはたぶんウエルベックが生涯かけて探していかなくてはいけないものですし、それは芸術をやっているみんなそれぞれ持っているものだと思います。

・ダニエル・グラッタウアー 若松宣子訳『北風の吹く夜には』三修社

間違いメールから起こる恋愛。
ロマンティックですが、フィクションのなかだけにとどめておかないとたいへんなことになります。
エミは理想の夫を持ち、それでも美しい婚約者がいるレオに間違いメールを送ってしまいます。
しかし、夫とレオの間にいる彼女は、どんどんレオのことばに惹かれ、彼に情熱的なメールを送るようになっていき……
会えない、どんな人かわからないというとき、「ことば」とは一種の引き金になったりします。
エミ自身、レオを本当の意味で愛していたとわたしは思いません。
一種、夫がいる女性として「遊び」の感覚もあったように思います。
作品としては面白くて、メールの文面と返信の時間だけで構成されていますが、中身は夫を持つわたしとしてはすごく考えさせられました。

・ロンドン 深町眞理子訳『野生の呼び声』光文社古典新訳文庫

犬好きとしてはたまらなく好きですね。
実家で犬を飼っていたこともあり、わたしが外に出るとだいたい犬が寄ってきます(笑)
犬を人間の役に立つように教育していった「スーパードッグ」が本能に気づきだし、オオカミになっていくまでの姿は古典として受け継がれていったものでしょう。
人間の愚かさをそういう所からあぶりだしていくロンドンという作家の生い立ちもかなり波乱万丈なのですが、「犬」という彼のテーマの中で、この作品は成功しているように思います。
少し、アンドロイドと重ねてしまう読みは現代を生きるわたしだけかなあと思ってしまいます。

1月28日

念願のオフです涙
昨日の夜はPMSでだめだめになっていたため、相方さんに助けてもらいました。ありがとう~!
楽しみにしていた現代詩手帖2月号と相方さんのバレンタインのリクエストを買ってこようと思ったのですが、どちらも在庫がなくて趣味の手帳のシールを買ってきました。マスク、しっかり着用、すぐに帰ってきましたが……。
もうこの時期になるとチョコレート売り場は「かわいい」しかないですね。
帰ってから現代詩手帖はお急ぎ便でぽちり、バレンタインは定期検診その1とかぶせました。届くの楽しみ~!
ラジオもやりましたよ~

1月29日

朝、ネットスーパーで買い出しをして、買えなかったものはスーパーで買ってきました。
福豆や豚汁の素など。
気になっていたホットワインを作り置き。
お酒に弱いわたしは仕事終わりにからだを温めたいときに飲むのがよいみたいです。mtgがとっても進んだ! ありがとう、良い日。

作り置いたホットワイン。
夜の癒しの時間に飲みます。

PMSで苦しくなる時間帯がわかり、午前の1時間と午後の1時間、その苦しくなる時間をどう過ごすか模索中です。
今はとりあえずトレーニング後の音楽を聴くことで乗り切っています。

いろいろなイラストレーターさんがいるけれど、のだかおりさんの絵、本当に好きだ~!
これからはnoteの読書記録日記のヘッダー、のださんのにしますね。
あと、花松あゆみさんも好きです。彼女の東京での個展にはよく行っていたなあ。バレンタインも花松さんのイラストが描かれたものにしようと思っています。定期検診がおわったあと、がんばるぞ~!

現代詩手帖2月号!!

待ち焦がれた『現代詩手帖2月号』(思潮社)では、現代詩の会でご一緒している佐峰存さんが大きくかかわった特集「アメリカ詩の現在」。
勉強になります。じっくり読み解いていきたいです。
オンライン合評を一緒に運営している山口勲さんがリゴベルト・ゴンザレスの初邦訳を手掛けたり(繊細なことばの選び方がとてもよかった)、まだ邦訳が少なくても気になる詩人、オーシャン・ヴオンの邦訳も載っていたり。
他にも現代詩の会主宰の北爪満喜さんの富田砕花賞受賞作、ポエケット以来の友人(今は詩人兼アイドルです!)の平川綾真智さんの作品も楽しく読みました。
わたしにかかわるところでいうと、詩誌月評に『しししし4』(双子のライオン堂出版)が載り、大先輩の大崎清夏さんが! 同じ寄稿陣としてうれしいです。
詩書月評にもインカレポエトリ叢書の佐々波美月さん『きみには歩きにくい星』(七月堂)が載っていたり。

詩の世界は長くいると長くいる分だけ、一緒に仕事をしているご縁が非常に大きく出て来たり、詩誌やイベントで会った詩人とご縁が多々できます。
たとえそれがわたしのように、地道に詩誌に名前を連ねていったり、選外佳作が続くとしても。
詩の世界では友達ができやすいところも大きな特徴でしょうね。
日々淡々とデスクの前でノートとパソコンと資料に向き合いつつ書いていて、「詩誌」「文芸誌」「詩集」という所でかかわっていく。
そして、そこに「合評会」「ポエケット」「文学フリマ」という直接会える場所を設けていく。
出かけていく。そんな中でできる世界は、厳しくもあたたかいものです。
わたしもまだまだひよっこです。またあらたに締め切りがやってきました。

今日の夜はこちらを聞きながら締め切り。今回はいいものを出すぞ~!!

仕事の忙しい友人と久々にラインする夜でした。
みなさんの作品や論考を読んで、がんばっていくぞー!

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