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【詩】

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#海

【詩】 微炭酸

【詩】 微炭酸

尻込みする
過去を横目に
通り過ぎる時間に
飛び乗る

どこに行くかは
わからない
だがどこかへは
必ず向かう

過去を生きるのを止め
今を生きることを誓い
未来へと流れていく

歯を食いしばって
変えた流れは
いつしか消えてしまった

どこからともなく
誘う海の香り
小さく開いた
この手のひらに
君からの便りはなく
古の文字が
僕を慰める

このまま
波の中に紛れ込んで
いつしかの港へ
流れつく

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【詩】 海気泡

境界のない
海を漂っていた
月夜に跳ねた
魚の群れを
遠くから眺める

緑に光った夜光虫は
淡い記憶の中で
青春を歌っている

聞き馴染みのある声は
いつからか物語の中に
架空のそれは
読み覚えがある

流された波音が
海面に映った
月夜と
共鳴している

なかなか掴めない
今この時よ
すり抜けていった
あの時よ
胸の高鳴りを
届けるために
駆け上がった空よ
夜の中に
溶かし込んで
滲んだ輝きよ

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虹色の涙

虹色の涙

こだまするリピートに
眼を開いて

感じた胸の震えは
どこまでも続く
レールを走り出した

車窓から見える
虹色の街並みは
鮮やかに滲んで
涙と共に流れ落ちた

その流れは
川となり海へと返ってゆく

打ち寄せる波が
蒼き風となり
あなたへと帰ってゆく