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「俳句から生まれる物語」

まずはこちらの句をどうぞ。

そよ秋風ここは君のカフェテラス

この句は、shinoさんが詠まれた句である。
みなさんはこの句を読んだ時、どんな光景を想像しただろうか?
ちなみにこの句を詠んだshinoさん自身の解説にはこう書かれてある。

第五句 季語:秋風
そよ、は、そよそよのイメージ。
都会の街角。秋風をふと感じたその場所は、君とよく来た君が大好きなカフェテラス。
2人はまだ付き合ってるのかな?いや、きっと別れた後に、男性が秋風と共に、昔の彼女を思い出したに違いありません。

しかしこの想像というものは、人によって様々である。
私は俳句初心者だがそれでもまずは読んだ後は
この句がどういうイメージなのかを
いつも自分なりに想像してみる。
ただし自分の想像力の無さに加え、まだ俳句に不慣れな為か
詠んだ方の解説を確認すると少し違っていることも多い。

今回は解釈が違うというよりは、この句を読みさらにshinoさんの解説を読んでいたら、自然と頭にある物語が浮かんできたので
今日はそれを書いてみようと思う。

俳句から生まれた物語…
そんな感じで思っていただけると嬉しいです。

***

そよ秋風ここは君のカフェテラス


ふと、そんな句を詠んでみた。
昔と違うのは、僕が詠んだ俳句を
今は聞いてくれる人がいないってこと。

僕が住んでいるのは少し古びたアパート。
立派ではないが、その分少しだけ広め。
そのアパートには「君」も一緒に住んでいた。
この前までは。

僕の趣味である俳句を、いつも君は
楽しそうに聞いてくれていたね。
作った俳句の解説までしっかりとする僕の言葉を
「うんうん」と、いつも優しく聞いてくれた。
特に君は俳句が好きだったわけでもないのに
決して嫌がったりせず、ちゃんと聞いてくれたね。
今から思えば、ほんと悪かったな。

僕たちがお喋りするのは、決まってこのベランダだった。
ふたりぎりぎり並んで立つことのできるこの狭いベランダ。
マグカップに入れたコーヒーを、一口飲んだらお喋り開始。
ベランダに立ったまま、ずっと話し続ける僕ら。
その時間が、君は何よりも大好きな時間だと
言ってくれていた。

ここはふたりのお喋りの場所
僕たちのカフェテラス。
君が大好きだったカフェテラス。
だけど今は、君のいない、カフェテラス。

もう誰もいないカフェテラス…



ベランダに出る窓を開ける。
秋風がそよそよと、僕の前髪をもて遊ぶ。
思ったより外は少し肌寒い。
でもその秋風は、体に染みるよりも
僕の心をそっとつついた。

「こりゃ、こたえるな…」

君が去ってから
そこに立ち入ることが
一度もできていない僕。
だって無理だよ。
僕の作った俳句、聞いてくれる人、いないからさ。

だから、詠んでみたよ。

そよ秋風ここは君のカフェテラス


通常俳句では想いを詠まないのかもしれない。
でも今は…今だけは、詠ませてほしい。

想いをいくら詠んだって
君がもう戻ってこないことは、わかっている。
けれど、詠まずにはいられなかった。

この想いをどこかに出さないと
苦しくて、どうにかなりそうなんだ。

そして僕は今日もまた
「君の」カフェテラスには
立ち入ることが
できていない。

そよ秋風ここは君のカフェテラス


***


shinoさん。
今回このような形でshinoさんの大切な俳句を使わせていただき
本当にありがとうございました。

今回登場した俳句は、shinoさんのこちらの記事にのっております。

解説付きでわかりやすいので、とってもオススメです♪
興味のある方はぜひぜひ。


ではまた。








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