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2022年2月の記事一覧
コルブの経験学習モデルについて考える
デイビッド・コルブはジョン・デューイやジャン・ピアジェの影響を受け、1970年代に具体的経験・内省的観察・抽象的概念化・能動的実験の4つの要素からなる「経験学習モデル」を開発します(謂わば一昔前の理論モデルですけれども。ただし近刊で辰巳出版「最強の経験学習」(2018)があります)。
コルブらは上記4つの要素はどこからでも始まる学習のスパイラルだとしますが、一方で「一般的には具体的経験から始ま
ロビンズの動機付け理論の統合について考える
ステファン・ロビンズは陸上競技の奨学金で大学に入った変わり種の研究者です。
ロビンズは統合モデルを以下のように説明します。
(1)「機会」が個人の努力に影響を与えることをしっかりと認識する必要がある。
(2)個人の努力を左右するもう1つの要因は、「直接的な行動のための目標」である。
(3)この「目標-努力」のループは、直接的行動のための目標を思い浮かべることを意味する。
(4)期待理論(ブルー
キャリア理論家や心理学者の本を出版します
福村出版から「キャリア理論家・心理学者77人の 人物で学ぶキャリア理論」を出版します。
楽天ブックス: キャリア理論家・心理学者77人の 人物で学ぶキャリア理論 - 渡部 昌平 - 9784571240997 : 本 (rakuten.co.jp)
初学のキャリアコンサルタントさんが弱いと思われるキャリコン周辺の心理学者の理論や、最新のキャリアカウンセリング理論まで網羅したつもりです(どう
クラムの「メンタリング理論」について考える
メンタリング理論を提唱するキャシー・クラムはボストン大学の教員で、プロティアンキャリアで知られるホールの同僚に当たります。
クラムは、キャリア発達を促進する人間関係としてメンタリング行動を重視しており、メンタリング行動にはキャリア的機能と心理社会的機能があるとしました。キャリア的機能とは、仕事のコツや組織の内部事情を教えることで組織内での昇進への備えを促すような行動を指し、上位の者としての経験
組織の在り方についても学ぶ
どうしてもキャリアカウンセリング(コンサルティング)を学ぶと、労働者視点になりがちだと思うのですが、組織について学ぶことも重要だと思っています。
例えばピーター・センゲは、変化の激しい時代には変化を学習し、自らをデザインして進化し続ける組織づくりが求められるとし、これまでの意識を変容し、リーダーの在り方も変え、ビジョンを共有し、システム思考でチーム学習をしていくべきだとする「学習する組織」を提
グループを活用する、他人のアイデアを参考にさせる
例えば学生に個人ワークで自己分析をさせていても、いつまでも「やりたいことが分からない」と言い続ける学生がいます。「尊敬する人が思いつかない」とか「昔が思い出せない」という学生も(特に男子で)少なくない。学生同士でグループワークをさせて、他の学生の「自分はこういうきっかけでこういう仕事を目指したいと思うようになった」「こんな人を尊敬している」「こんなことをして遊んだ」というのを聞かせることで「そう
もっとみるショーフェリの「ワーク・エンゲージメント」概念について考える
産業組織心理学を専門とするオランダのショーフェリ(シャウフェリという記述も)のワーク・エンゲージメント概念について、本日は考えてみたいと思います。
ショーフェリらはワーク・エンゲージメントを、仕事に関連するポジティブで充実した状態であり、活力・献身・没頭などによって特徴づけられるとしました。またバーンアウト(燃え尽き)の対立概念と位置づけています。ショーフェリらは17項目からなるワーク・エンゲ