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小説『ネアンデルタールの朝』第一部

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小説『ネアンデルタールの朝』第一部を掲載しています(全27回)。章ごとにまとめた投稿もあります。
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#長編小説

連載小説『ネアンデルタールの朝』①(第一部第1章‐1)

第一部 あの青い空の波の音が聞えるあたりに あの青い空の波の音が聞えるあたりに/何かとん…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑤(第一部第1章‐5)

5、 「ニュースで見たんだけどさ、ネアンデルタール人って、ホモ・サピエンスと交配してた可…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑥(第一部第1章‐6)

6、 翌朝、目覚める直前に民喜は夢を見た。 初め、民喜は暗い森のような場所を歩いていた。足…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』第一部第1章まとめ(①~⑥)

第一部 あの青い空の波の音が聞えるあたりに あの青い空の波の音が聞えるあたりに 何かとんで…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑦(第一部第2章‐1)

第2章 1、 民喜は駅前広場から車を出発させた。遮断機が失われた踏切を通り抜け、ロウソク岩…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑧(第一部第2章‐2)

2、 民喜はかがみ込んで、雨どいの下にガイガーカウンターを近づけてみた。土壌から5センチほ…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑨(第一部第2章‐3)

3、 いわき市の実家に戻ったのは、夕方の5時頃だった。 「ずいぶん早かったわね」 台所から母が顔を出す。民喜は頷きながら、車のキーを返した。咲喜は遊びに出かけているのか、いなかった。 「駿ちゃんと将人ちゃん元気だった?」 母の言葉に民喜は、 「うん……」 とだけ答えた。母は一瞬何かを言いたそうな表情を浮かべたが、それ以上何も言わなかった。 「駿と将人と会ってくる」――母にはそう伝えて今朝、民喜は家を出た。駿と将人と会うというのはもちろん嘘だった。二人と会う約束しているのは実際

連載小説『ネアンデルタールの朝』⑩(第一部第2章‐4)

4、 夜、スマホを見ると、大学の友人の山口凌空(りく)からラインのメッセージが届いていた…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』第一部第2章まとめ(⑦~⑩)

第2章 1、 民喜は駅前広場から車を出発させた。遮断機が失われた踏切を通り抜け、ロウソク岩…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑪(第一部第3章‐1)

第3章 1、 「ビール飲むか?」 冷蔵庫から500ミリリットルの缶ビールを2本取り出してきた父…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑫(第一部第3章-2)

2、 ラインの電話の着信音で民喜は目を覚ました。時計を見ると、午前10時を過ぎていた。慌て…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑬(第一部第3章-3)

3、 快晴の空のもと、雑木林が明るい緑を輝かせている。休日だからか、道路に車はほとんど走…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑭(第一部第3章-4)

4、 「遅くなって、すまん」 駅前の横断歩道を小走りで走って来た駿は、 「民喜、久しぶり」 …

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑮(第一部第3章-5)

5、 駅前の高速バス乗り場に到着する。バスはすでに到着していたが、発車時刻まではまだ10分ほど時間があった。 居酒屋では結局、二人に絵を見せることはできなかった。3時間以上も話をしていたのに、絵について話を切り出すことができない自分がいた。4年越しに、ようやく二人に見せることができるはずだったのに、何が自分をためらわせているのだろう……? 駿が言った通り、確かに今日の将人は様子が少しいつもと違った。表面的には何も変わっていないようにも見えるが、ふとした言動や顔つきに違和感のよ