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結婚指輪を失くした話⑦
仮病(といっても具合悪いことは悪かったのだけど)を使う日は前もって決めた。
この日は〇〇の手術があるから、この日は〇〇だから、などなど考えて、消去法で12月の最後から2番目の月曜日だけ休むことにした。
1日でも接触を減らさないとメンタルが危ない、という危機感はありつつも、
迷惑かけてもいいから3日くらい休んでやれ、と思えるほど不真面目ではなかったというか、
後期研修医としての成長のチャンスの方
結婚指輪を失くした話⑥
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吐きはしなかったが、大きくえずいた。
丈夫が取り柄で、それまで一度も病欠というものをしたことがないくらい。
特に消化器系はめちゃくちゃ丈夫で、消化器症状が出ることなど滅多にない。
来なくなった生理と突然の吐き気。
…まさか妊娠?
と一瞬だけ思ったが、こんなテキトーな夫婦生活で妊娠なんてうまい話があるわけなく。
どちらもストレスによる症状だったらしい。
ストレスで生理が止まるこ
結婚指輪を失くした話⑤
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いよいよ出向研修がはじまった。
基本的に午前は一般外来、午後は手術や専門外来やラウンド。
月に1、2回、魔女部長が昼から外病院に行って専門外来をやる日があり、そういう日は私も一緒についていった。
午前の一般外来は、最初は魔女部長の外来を見学するだけだった。
魔女部長の後ろに座り、魔女部長の診察のあとで私も診察させてもらう形式。
午後の手術は助手を務め、専門外来とラウンドは基本的に
結婚指輪を失くした話④
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初日の朝。
魔女部長に挨拶したが、魔女部長はにこりともせず私を一瞥すると、無言で背中を向けてさっさと歩き出した。
「向こうでは何先生についてたの?」
「〇〇先生です」
「〇〇…?〇〇って誰だ?」
冷たい、吐き捨てるような言い方だった。
魔女部長の背中を追いながら、
こういうことかー
と思った。
あと、私の大事な〇〇先生を呼び捨てにするな!とも思った。
そして、魔女部長は
結婚指輪を失くした話③
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出向した若手のメンタル破壊率ほぼ100%
そんな絶望的な数字を聞いても、こちらに拒否権はなかった。
少し上の先輩たちがこぞって出向を断固拒否して押し通したらしく、それで部長が意地でも今年は出向させる!と固く決意した
という噂を聞いたが本当かどうかは知らない。
でも仮に「ゴネれば出向しなくて済む」状況だったとしても、大人しく出向したと思う。
打率ほぼ100のメンタル破壊神のところに
結婚指輪を失くした話②
関節をすり抜けるほどにブカブカになってしまった結婚指輪に衝撃を受けた。
指輪自体のサイズは変わってないのだから、正確には痩せてしまった指に、なのだが。
そんな状態にも関わらず指輪をして出かけた私が100%悪いのは分かっている。
でも、3ヶ月の出向研修がなかったら、こんなことにはならなかったかもしれない。
少し時間をさかのぼって、結婚指輪を失くした間接的原因である(と私が勝手に思ってる)3ヶ