マガジンのカバー画像

エッセイ、その他

17
運営しているクリエイター

#ショートエッセイ

『灯せよ、光』

『灯せよ、光』

 「良識」とは何か--。ぼくがぼくなりに、その核心に迫るきっかけとなったのは、皮肉なことに、大震災だった。

 「令和6年能登半島地震」。2024年1月1日に発生した、大災害は、石川県はもとより、北陸地方や他の地域に打撃を与えた。

 ぼくは12月31日には実家に戻っていた。
 例年どおり、次の日、元日は昼過ぎまでダラダラ寝ていた。

 起こした母の声は切迫していた。

 「今大変なことになってい

もっとみる
『ぼくとルーツと今』

『ぼくとルーツと今』

 三十余年の人生を反芻(すう)するーー。紆余(うよ)曲折な生き方をしている・いたように思える。踏み込もう。

学生時代 非行少年ではなかった。ただ、周りに不良が多かった。特に中学生のころだ。

 具体的には?

 ーー剣道部の木刀が全て盗まれる。先輩や同級生がそれらを持って、他校に乗り込む、といった具合に、過激な非行を目の当たりにするのがつねだった。

 ぼく自身はどこかシラけた目で眺めていた。

もっとみる
『時の滴』

『時の滴』

 静かな退屈をしのいで今日を終え、明日を迎える。

 これが入院時の「お決まり」の時間の流れに思える。ぼくはベテラン患者。何度入院したのかーー回数がどうでもよくなるくらい多い。それだけの多さ、とだけ認識してほしい。

 きっと、外は騒々しいだろう。そういえば昨日は、甲子園で慶應附属高校が優勝して、盛り上がっていたとかなんとか。

 きっと、スタバに行けば、夏休みの宿題をギリギリに終わらせる、学生の

もっとみる