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全会一致

「つまり人間なんて所詮エゴの塊なんだよ。世界の人々一眼になって何かを成し遂げるなんてフィクションでしかありえないのさ」

「まあ、全会一致なんて所詮無理だってわかってたけど、やっぱり説得だって必要でしょ?反対派を私たちの所に引き入れなきゃこのプロジェクトだって通らないわよ」

「それは無理さ。さっき言ったとおりさ。人間はエゴの塊なんだ。我々が彼らをいくら説得しても、結局最後には己を選んでしまうんだ。悲しいことだけどこれは世の真実だ。つまり人と人は永遠にわかり合えないってことだよ。君だって大人なんだからわかるだろ?」

「あなた時々訳のわからないこと言うわよね。今話しているのは反対派をどうやって説得するかよ!彼らにどんな人参をぶら下げるかってことよ。文学的な感傷に浸ってる暇ないのよ!」

「そう、この僕の物言いは確かに文学的なのかもしれない。だけどこれは僕の体験から導き出した結論なんだ。僕らは誰ともわかり合えない。当然君とも分かり合えない。分かり合ってると君が思っているのは錯覚さ。これは僕の導き出した結論であり、また世の真実なんだ」

「で、説得は無駄だって言うの?だったらどうすればいいのよ!」

「君が説得したいというならそうすればいい。ただしその結果がどうなるか僕らにも、神にさえも分からないだろうけど。僕は君を止めやしない。だけど君がどうなっても僕は君を救えないよ。なぜなら僕ら人間はエゴの塊でしかなくいざとなったときに他人に差し伸べる手を持たないからだ」

「や~めた!私やっぱり反対派に転向するわ!アンタとは長い付き合いだからついてきたけどもういいわ!さようなら!今までありがとうございました!」

「人はそうして去ってゆく。だけど僕は止めはしないさ。結局僕らは何も分かり合えなかったのだから。君は君の行く道を行けばいい。こうしてすべては去り、僕はまた一人になる」


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