マガジンのカバー画像

短編

1,190
短編小説を集めました
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

ウサギと亀

 天才とは滅多に現れるものではない。百年に一人出ればいい方である。今天才を自称している人…

20

ワールドカップの伝説

 ワールドカップに伝説の男がいる。ヤツが現れると相手チームはみんなビビる。コイツが出たら…

15

先取りしすぎ

 高校生の男女が土手に座っていた。二人はさっきからずっと黙って落ちてゆく夕日を見ていた。…

15

おしゃれで悲しいストーリー

 人は中身なんてことは誰もがいう。だけどそんなのは気休めに過ぎない。こんな事を呟きながら…

15

自撮りチャレンジ

 自撮りこそ私の存在理由。  意識を高く持ち続けるには毎日自撮りして己の状態を知らなくて…

16

聴けたもんじゃない

 久しぶりに公園でギターを弾いたのは別に天気が良かったわけじゃない。天気が悪くても公園ま…

19

絶望から希望へ

 絶望から希望へ。このベートーヴェン以来後代の作曲家に受け継がれて来たこのテーマは、クラシックだけではなく、すべての表現芸術にとって重要なテーマである。絶望から希望へというシリアスなテーマはやはりあらゆる芸術の中で愛と並んで持っとも偉大なるものであるし、全ての芸術家にとって避けては通れない表現である。  今ここにそのまさにこの絶望と希望というテーマに真正面から取り組んでいる一人の若手作曲家がいた。彼はこの現代において偉大なるクラシックを復活させんがために自身初の交響曲を書い

ラストハードボイルド

 初冬の東京にあの男が帰ってきた。男は去っていった時のまま全く変わっていなかった。目深に…

11

カリスマ指揮者現代音楽を振る!

 現代日本のクラシック界でダントツの実力と人気を誇るカリスマ若手指揮者大振拓人のレパート…

10

途中下車の恋人

「もうあなたとはこの電車に乗れない。終着駅には他の人と行って」  と昔付き合った女はあま…

24

うどんとプロポーズ

 到着時間をとっくに過ぎているのにバスはまだ来る気配がなかった。行列はいつの間にか駅のバ…

21

未来を生きる男

 冴木未来はその名のように常に未来を見ている男であった。彼と同じ会社に同期で入った僕らの…

8

ある超写実主義画家の悲劇

 江森新は未だ評価されざる画家であった。彼は自宅の安アパートの部屋で毎日絵を描いている。…

10

重苦しい二人

 浮ついた連中がたむろしているレストランの窓際のテーブル席に妙に重苦しい雰囲気を醸し出している男女がいた。女はふと手持ちのバッグを床に落としまい大きな音が店内に鳴り響いてしまった。周りの浮ついた連中は音に驚いて一斉に窓際の女を見た。 「おい、こんなところで物落とすなよ!みんなビックリしてるじゃねえか」 「うるさいわね!バッグ落としたぐらいでビビんじゃないっての!」 「中の物大丈夫なのか?ちゃんと確かめろよ!」 「うるさいって言ってるでしょ!何回言ったらわかんのよ!」