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先取りしすぎ
高校生の男女が土手に座っていた。二人はさっきからずっと黙って落ちてゆく夕日を見ていた。だが突然男子生徒が沈黙を破った。
「あのさ、俺たち結婚しないか?」
「はあ?何言ってんの?私たち付き合ってすらいないじゃん」
「それでとりあえず郊外に家建ててさ……」
「おい、勝手に話を進めるな!」
「子供は私立の小学校に通わせるつもりだ」
「なんで私がアンタの子供産んでんだよ。しかももう幼稚園に行ってんのかよ!」
「僕は若くして管理職についてさ、海外を飛び回っているんだ。勿論君を連れてね」
「あの、もううざいから離婚してもらっていいですか?」
「そう二人にすれ違いができて離婚しかけた事もある。だけど僕は君なしじゃ生きていけないって泣いて頼んでどうにか離婚は回避できたんだ」
「それで僕らはおじいちゃんおばあちゃんになって孫ができた」
「おい、勝手に人を老けさすな!」
「仕事を退職した僕は今日みたいに君とこうやって土手で一日中日向ぼっこしているんだ。いろんな事があったねぇって喋りながらね。そして言うんだ。いつまでも君とこうしていたいって」
「今話したなが〜い話は告白のつもり?」
「いや、未来のことを話しただけだよ」
「とりあえず付き合ってみようか」
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