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暮らしの中のイギリス

イギリスで生活していた頃
郊外を走っていると ハリー・ポッターに出てきそうな 雰囲気のある古い建物をしばしば見かけた。

教会や 今はホテルになっている貴族の館などで、車を駐めて周りを散歩するのが楽しかった

休日は その近くでフリーマーケットが開かれていることもあり
ユーズド品の雑貨やハンドメイド作品が並べられていた。


うさぎの絵のお皿はその時に買ったもの

ブリキのオモチャやクラシックな写真立てと一緒に 木のテーブルに置かれていた
ロールパン3つが収まるサイズで 程よい厚みの陶器
値段についての記憶がないから、特に高くも安くもなかったのだろう 

お皿の裏に小さな紙が貼ってあり、製作者である男性の名前があった
「自分は大学教授をしているが 休日にこういう物を作って楽しんでいる」と記されていた

映画のワンシーンを思い出すように
ジャケット姿で教壇に立つ男性と、彼がチェックのシャツを汚しながら工房にいる姿が浮かんだ

「豊かな生活」という言葉を 心の中でつぶやく


イギリスでは、人気ブランドのティーセットなども買ったけど
一番使っているのはこのお皿

出すたびに あの日の空気が戻ってきて、ふわっと暖かい気持ちになる

 晴れた空 
 お茶を飲んだ店の水色に塗られた壁 
 窓から見える庭の赤いバラ

顔も知らない人だけど 今もお元気なのかしら‥と思いながら
パンやお菓子をここに並べる。


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