記事一覧
ばちあたりなレジリエンス
死にたいと神様への脅迫の言葉を吐いて
ばちが当たるよとTwitterで諭された夕暮れ
黒い手袋が死にゆく猫のように見えて
誰もいない駐輪場で足を止めた
なけなしの千円を出して高級食パンを買って
スタンドを立てたままの自転車にまたがった
ペダルを漕いで 漕いで漕いで
食パンをむしって 口に押し込む
ぎゅむ ふかふか ぎゅむ ふかふか
声を涙を そのやわらかくほのかな甘みに吸わせて
パンは誰の体
屍からのプレリュード
あなたがどんな素晴らしいことを言って
民衆を沸かせても
あなたがどんな感動的な言葉で
自分の子供に語りかけても
私はあなたが 軽率 であることを知っている
あなたが私を傷つけた言葉を吐き
ぞんざいな態度で人を踏みにじり
涙を流させたことを
考えなしなあなたの存在を
私は許せないでいる
だから
呪おう君のこれからを
祝福されている君の存在を
精一杯の
ありったけの
残りかすのような
私
ごちそうさまのあとで
消えそう消えそう
コンロの火で乱切り茄子を
炒めて炒めて
味噌でからめて
あきたこまちは
こぶりの茶碗にてんこもり
鍋底の形の染みがある
こぢんまりとしたテーブルにつく
リモコンは
八か四か 六か七か
結婚離婚 ゴシップス
感染に暴動にスイーツ
もらい悲しみ
よるべない身の
あはれ橋を持つ手がかきこむ白米
仮住まいのはずが
入居もうすぐ五十年目
どんどん住みやすくなる
1K の間取りよ
走ってく? 走ってこ!
走ってく? 走ってこ!
ナツメユキ
内なる更新を怠っても
Twitterのつぶやきは怠らない
そんな几帳面さが
世界を動かすわけですよ
LINEの返信に追われて
今日も一日が終わろうとしているわけですよ
答えが出せないまま
迎える朝は
光とは呼ばないんじゃないんでしょうか
なんて提案は
もう古いわけですよ
クエスチョンマークで締めくくる文章
もしくは断片的な言葉たち