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私の船長さん

私の船長さん

               ナツメユキ

あの人が元気であれば
どんなふうに このことを書くのだろうかと
思いながら
おそるおそる書きはじめようか
そろそろ
あの日から 今日までのことを

小さな揺れは 突然大きなうねりとなって

私たちの生活を飲み込んだ
飲み込まれた者達の思いが
空に渦巻いている気がして
ふと見上げれば

目に染みる晴れの青
涙を作る部位がきゅうと痛くなって
そんな時 まじないのように
「罪悪感は持っちゃいけない」
と繰り返す

罪悪感の海にたゆたうことは
時に甘美で 私をだめにする

「出来ることをやれ」
と私のハドック船長が言うから
そうしなきゃいけない

首尾よくつとめあげて
船長にほめてもらうんだ

その為に 何も考えずに
とにかく体を動かせ

あの人に恥じないものを捧げたい


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