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Last Day | 私は私が、どんな顔をしているのかなんて、知らない。目の前の人がどんな表情をしているのか、それが私の立ち振る舞いの鏡になる。

夏休み最終日


特別なことが重なり過ぎて、うまく文章が書けなかった。

少しずつ、パソコンを開き、
仕事をしつつまだ頭がフル回転していないなあ何て思う。


思えば東京に戻って来てから、私は常に誰かと一緒に居た。

朝はホットケーキを焼いたりなんてしてみたり、
お財布と、キーケースを新調し
人に会い、コーヒーを飲んで
それだけでなんだか人生もう
大丈夫かなと思えたりもした。



ここ数日間で、人と話している時、
私は目の前の相手が楽しんでいるのか
真面目な顔をしているのか
楽しくなさそうなのか
表情をものすごく気にしているのだと気付いた。

同時に
私が笑ったらみんな嬉しそうに
笑い返してくれることにも
気付いた。

楽しいというのを口にせずとも
感情って共有できる。


無理に何かを動かそうとするのではなくて
何かを共有することで生まれる空間は
なんだか心地が良い。

そうやってこれからも誰かと感情を共有できる
生き方をしたい。


一人残ったテーブルで
イヤホンを外したら外は私が思った以上に
騒がしかった。


一人で過ごしている時間に飽きた訳ではないが
キーボードを打つのが疲れて、帰りたいなと思った。
前までは、あんなに一緒に居ないと不安になって居た相棒のMacBookと
今は良い感じの距離かもしれない。


時計を見た。
家に帰る。
冷えた冷房の風に少しだけ凍えながら
ドアノブを引く。

どこでもドアはいつだってほしい。
足を前に出したらいつかは家にたどり着けるのだけれども。


外に出て、ぼんやり
顔をあげた瞬間


見馴れたビルの隙間から
小さな、
打ち上げ花火が上がった。

どこで上がったのかも分からない、

一発だけ、花火が空に上がった。


道を通りゆく人が、音に気づいて
振り返って
空を見上げていた。


そういえば、夏が始まったのだった。


しばらく立ちすくんでいたが
上がったのは、その一発だけ。
暗くなった空は、真っ暗のままだった。


嬉しい感情でも悲しい感情でもなく
ただ、美しいものって
儚いなあなんて考えて
涙が出た。


小説の一節みたいだと携帯に
文章を打ち込みながら
乗り込んだ電車の中、
スーツ姿の人たちの中で
鮮やかな黄色の浴衣姿の人が一人いた。

きっとこれから、彼女は
少し日常とは違う
どこかへ行くんだろうなと思う。


仕事はもしかしたら、世間では日常と
括られるものなのかもしれない。


でも私は、仕事で非日常を
つくっている。

一日限りの、非日常。
私にとって、仕事の本番を作っている時の方が
よっぽど今よりも、日常から掛け離れているような感じがする。

今日はたくさん動き回ったから
家に帰ったらきっと、
眠ってしまうかもしれない。


夏、
私が毎年満喫したかったと
待ち望んでいた季節。

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