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素敵なコンテンツの集い

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素敵な記事を勝手ながら集めさせていただきます! いつも心が揺れるような投稿をありがとうございます(´∀`*) 迷惑でしたらお手数ですがお声がけいただけると幸いです🙇‍♂️
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#ネムキリスペクト

【掌編小説】ボクたちはナンバーワンでもオンリーワンでもなかった

【掌編小説】ボクたちはナンバーワンでもオンリーワンでもなかった

 晩秋の夕方は短い。
 ボクが下宿先に帰ろうと大学を出た頃には、既に空は暗くなっていた。
 駅までの道程では、昔から学生向けに営業をしている喫茶店や古本屋が、チェーンの牛丼屋やカレー屋と軒先を並べている。店先で明るいオレンジ色や赤色が目立っているのは、ハロウィーンやクリスマスに向けての装飾のようだ。
 楽しそうに大声で笑いながら数人の男たちが居酒屋に入っていく。アルコールを呑む前から意気揚々の様子

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【詩】ヨルとヒカリとキミとボクと

【詩】ヨルとヒカリとキミとボクと

高台から見下ろした夜の街は 
月星が輝く夜空を地上に移したかのようだ
綺麗だねと君は無邪気に喜ぶけど
自分が消えてしまうようで僕は怖くなるんだ

光を放つことができるのは 君のような人だ
自分の中に輝きを持つ 恒星のような人だ
輝きを持たない僕が あの街に一人でいたとしても
きっと黒く塗りつぶされた部分のどこかにだろう

純粋で透明だと言われた昔の僕は
今では濁って不透明になったみたいだ
これまで

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【掌編小説】僕が知らなかったことと知っていること

【掌編小説】僕が知らなかったことと知っていること

 僕は知らなかった。
 一目惚れというものが、本当に存在することを。

 一目惚れなんて、実際にはあるはずがない。そりゃ、女の子を見て「可愛いな」と思うことはあるかもしれないけど、相手の性格や趣味なんかをよく知りもしないのに、突然恋に落ちるなんてあるはずがないじゃないか。それは、登校時に曲がり角でぶつかった美少女が実は自分のクラスの転校生だったとか、自分が知らないうちに親が決めていた許嫁が前触れも

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