シェア
静 霧一/小説
2021年4月21日 21:41
子供の頃、1度はこんな妄想に耽ったことはないだろうか。「もし、魔法が使えたのなら」「もし、私に秘められた才能があったなら」「もし、白馬の王子様に求愛されたなら」恥ずかしながら、私も幾度となくそんな事を妄想していた時期はある。そんな思春期を乗り越え、一旦落ち着いたかと思いきや、社会人になって大多数の大人がこの妄想病を再発させるのだ。自分の思い描いた理想とは程遠い生活、淡々と過ぎてい
金とき
2021年4月17日 00:21
大学で、対面授業が始まりました。初めて会うひとたちと肩を並べて授業を受けることはとても新鮮で、でもそうだ、学校ってこういうところだったなと思い出します。一緒に勉強する仲間がいて、教えあって。毎日のように、他人とご飯を食べる。朝起きたら支度をして、今日一日頑張るぞ、と思いながら家を出る。帰ってきたら、こんなことがあった、あれが楽しかったと思い出す。夜眠る前に、今日を振り返ると、ああ疲れた、でも楽
2021年4月3日 17:43
月夜の口紅 1/4 冬場は日が暮れるのが早い。住野くんが小さなあくびをして、もう外真っ暗じゃん、と呟いた。交換ノートを閉じて立ち上がる。「そろそろ昇降口閉まるから早く帰りなよ」 嫌がる住野くんを急かす。ボールペンを、かち、かち、かち。「わかったよ、帰ればいいんでしょ。帰るから怒らないでくださいよ」 住野くんは出していた筆箱と裏紙の束を鞄に詰め込んで、きいと音を立てながら椅子を引
くにん
2021年4月4日 20:00
死んでしまいたいとは思わないけど誰ともかかわりたくはないできる限り世界に触れぬよう僕が透明な球となったら君は「朝露のように綺麗だ」と言ってくれるだろうか