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今日の一言 4冊目

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今日の一言 4冊目
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2017年1月の記事一覧

「まず先に心配することがある」知備遠難而忘近患

遠難に備うることを知りて近患を忘る
―知備遠難而忘近患―

[原文](淮南子 人間訓)
知備遠難而忘近患。

[書き下し文]
遠難に備うることを知りて近患を忘る。

[原文の語訳]
遠くの禍に備える事は知っていても近くの患禍を忘れる。

[解釈]
遠い先の心配ばかりをして目の前に禍があることを忘れているということです。

手配した食材がちゃんと入荷するか心配しているが、手持ちの器具で調理できないこ

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「簡単さに驕らない」今兵威已振、譬如破竹

今兵威已に振う、譬えば竹を破るが如し
―今兵威已振、譬如破竹―

[原文](晋書 杜預伝)
今兵威已振、譬如破竹。

[書き下し文]
今兵威已に振う、譬えば竹を破るが如し。

[原文の語訳]
いま兵は勢いづいていて、例えて言うと竹を割るようなものである。

[解釈]
「破竹の勢い」の語源です。刃物をあてれば節の部分で少し力を加える程度で、あとはすっと割れるほどの切れ味、勢いということです。

節々

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「なるようにしかならないのだから」毋測未至

未だ至らざるを測ること毋かれ
―毋測未至―

[原文](小学)
毋測未至。

[書き下し文]
未だ至らざるを測ること毋かれ。

[原文の語訳]
まだ起こってもいない事に憶測しない。

[解釈]
まだ起きてもいないしやってもいない事に、あれこれ憶測してはいけないということです。

あれこれ憶測して心配しても、結果、杞憂、とりこし苦労だったりすることがあります。逆に楽天的に捉えすぎて「こんなはずじゃな

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「第三者が狙ってないか」忽乗鷸蚌之弊

たちまち鷸蚌の弊に乗ずる
―忽乗鷸蚌之弊―

[原文](戦国策 燕策)
忽乗鷸蚌之弊。

[書き下し文]
たちまち鷸蚌の弊に乗ずる。

[原文の語訳]
すかさず鷸(しぎ)と蚌(二枚貝)の疲弊に乗ずる。

[解釈]
「鷸蚌(いつぼう)の争い」の語源で、両者が争っている間に、第三者が利益を得ることです。漁夫の利の前頭語でもあります。

企業間での訴訟問題で双方のブランドイメージが落ちると、第三者がシェ

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「手を抜かない」一日縦敵、数世之患也

一日敵を縦せば、数世の患い也
―一日縦敵、数世之患也―

[原文](春秋左氏伝)
一日縦敵、数世之患也。

[書き下し文]
一日敵を縦せば、数世の患い也。

[原文の語訳]
一日敵をゆるせば、数世の禍根となる。

[解釈]
わずか一日でも敵を討つ手をゆるめれば、数世の後まで禍の原因となるということです。

追撃の手は途中で緩めてはいけません。余裕やスキを見せると逃走や反撃など、相手につけこまれる可

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「何に影響されるかで決まる」立身成敗、在於所染

立身の成敗は染まる所に在り
―立身成敗、在於所染―

[原文](十漸疏)
立身成敗、在於所染。

[書き下し文]
立身の成敗は染まる所に在り。

[原文の語訳]
立身の成否は、何の影響を受けるかによる。

[解釈]
一人前になれるかどうかは、影響されるものによるということです。

周りの環境に左右されないようになるにしても、基礎となる部分では、やはり何かの影響を受けているはずです。

植物や農作物

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「一歩下がって助走をつける」処世譲一歩為高

世を処するに一歩を譲るを高しと為す
―処世譲一歩為高―

[原文](菜根譚)
処世譲一歩為高。

[書き下し文]
世を処するに一歩を譲るを高しと為す。

[原文の語訳]
世を渡るには一歩譲ることが自己を高める。

[解釈]
社会では一歩下がって譲ることが、結果的に自分を高めることになるということです。

飛ぶときでも、そのまま飛ぶよりも一歩下がった方が飛びやすくなります。

トップよりも一歩下がっ

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「見掛け倒しに注意」羊質虎皮

羊質にして虎皮す
―羊質虎皮―

[原文](揚子法言 吾子卷第二)
羊質虎皮。

[書き下し文]
羊質にして虎皮す。

[原文の語訳]
中身は羊程度の質だか虎の皮を被っている。

[解釈]
外見は立派だが中身がないということです。羊頭狗肉とかありますね。

似て非なるもの、見掛け倒しですね。気は小さいのに大きく見せようとする人がいますね。

大きなことを言って実が伴わないトップには困りものです。対

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「周りに頼る」明月為燭

明月を燭と為す
―明月為燭―

[原文](新唐書)
明月為燭。

[書き下し文]
明月を燭と為す。

[原文の語訳]
明るい月は蝋燭となる。

[解釈]
満月のような明るい月は夜道を明るくする蝋燭代わりになるということから、身近にいる秀でた人は自分を導いてくれる手本にできるということです。

太陽は遠く離れているし明る過ぎて目がくらんでしまいますが、月であれば近いですし光量も柔らかいです。それでい

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「謙虚に」自卑也尚矣

自ら卑うすれば尚し
―自卑也尚矣―

[原文](史記 商君伝)
自卑也尚矣。

[書き下し文]
自ら卑(ひく)うすれば尚(たっと)し。

[原文の語訳]
自らへりくだった態度でいれば自然と人から尊敬される。

[解釈]
へりくだる人は他人から尊敬されるということです。ただ、いかにもあからさまなのは嫌ですね。

できる人に傲慢や横柄な人はあまりみかけません。トップにも物腰や柔らかで気さくな人が多い気

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「名声は周りの評価」流芳後世

芳を後世に流す
―流芳後世―

[原文](晋書 桓温)
流芳後世。

[書き下し文]
芳を後世に流す。

[原文の語訳]
名声を後世に残す。

[解釈]
名声を残すのは自らがそうしようとするのではありません。聖人君子も自分で言ったわけではなく、周囲の人たちによる後の評価なのです。

著名人が口にする言葉に「二度死ぬ」というのがあります。一つは自らの死、もう一つは人の記憶から消えてしまう死だそうです

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「時間を有効活用する」謂学不暇者、雖暇亦不能学

学ぶに暇あらずと謂う者は、暇ありと雖も亦学ぶ能わず
―謂学不暇者、雖暇亦不能学―

[原文](淮南子 説山訓)
謂学不暇者、雖暇亦不能学。

[書き下し文]
学ぶに暇あらずと謂う者は、暇ありと雖も亦学ぶ能わず。

[原文の語訳]
学ぶ時間がないという人は、時間があっても学ぼうとはしない。

[解釈]
勉強にせよ用事にせよ時間がないことを理由にする人は、時間があっても行おうとはしないということです。

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「読書で通じる」君子以文会友

君子は文を以て友と会す
―君子以文会友―

[原文](論語 顔淵第十二)
君子以文会友。

[書き下し文]
曾子曰、君子は文を以て友と会す、以友輔仁。

[原文の語訳]
曾子曰く、君子は文を以て友と会し、友を以て仁を輔く。

[解釈]
君子は書物や学問を介して友と交わるということです。

読書会やビブリオバトルを契機に新たな仲間を増やす人もいます。

できる人たちは読書量も多く、共通の本を読んでい

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「軽い言葉は無責任」人之易其言也、無責耳矣

人の其の言を易えるは、耳に責無し
―人之易其言也、無責耳矣―

[原文](孟子)
人之易其言也、無責耳矣。

[書き下し文]
人の其の言を易(か)えるは、耳に責無し。

[原文の語訳]
人の言葉が変遷するのは、責任を持たないからである。

[解釈]
軽口をたたいたり、ころころと言うことを変えるような人は、発言に責任を持たないからだということです。

自分に責任はないと思っているから安易な言葉を口に

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