いじめっ子

僕はいじめっ子だった。
痛いことをするとき兄は笑っていた。
僕も痛いことを彼にしていた。
その時はいじめだとは思っていなかった。
僕にとってそれが”当たり前”だった。

ある日彼に言われた。
彼が「やめてよ」と
僕が兄に言えなかったこと。
カッターで切りつけられても、殴られ蹴られても、お風呂で犯されても、
飼っている犬の糞を食べさせられても、縄跳びで打たれても、手足を縛られ外に放置されても、知らないところに置いて行かれても、的にされて骨折しても。
僕は何も言えない。
彼が教えてくれた。受け止めてくれた。
最低な僕はいじめっ子なんだと。

不幸製造機だった僕はとても寂しかった。
愛を感じれず、なんで息をしているかわからない。
生きる意味を探しても、殺したい僕しか見つからない。
学校に行かないで部屋でゲームをするようになった。頭の中の怒鳴り声も耳から聞こえる怒鳴り声も、イヤホンをしてゲームをしていれば何もない。
よわい自分も暴力も。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?